カルチャーが生まれる発端を辿ると、何かへの反発や反動があります。それが無数に連鎖して時代はつくられて、継承されていく。だから世の中に退廃的なムードが流れるほど、その反動も大きく、カルチャーが豊かになりやすい傾向にあるとか。皮肉なものです。
〈ビルケンシュトック〉のプレミアムライン「BIRKENSTOCK 1774」の新しいコレクションがローンチされましたが、今回のテーマはそんなことをふと考えてしまうほどの壮大さです。
まずはビジュアル写真から。
デザインのイメージソースになったのは、1920年代のベルリン。
第一次世界大戦が終わったベルリンの街では、ひとびとが貧困とインフレであえぎ、売春やドラッグが横行しました。しかしそれによりキャバレーやナイトクラブなどの大衆文化が花開き、さらにラジオや映画なども普及。芸術家や学者がベルリンに集いました。黄金の20年代、またの名を「狂騒の20年代」と呼ばれました。
そんななか生まれた建築様式アール・ヌーヴォーとアール・デコのディテールを拾いつつ、現代的なデザインと融合させてつくったのが本コレクション。20年代独特のテクスチャーや素材、カラーを取り入れ、大胆で自由な造形でシューズを完成させました。
アイテムはこちら。
自然に由来する曲線が多いアール・ヌーヴォーと、幾何学的で直線が多いアール・デコ。その両者の特徴をモデルに合わせてチョイスして落とし込む。〈ビルケンシュトック〉のものづくりのストーリーにはいつもうっとりしてしまいます。
具体的に見ていくと「FLORIDA」と「ARIZONA」にエレガントなリボンディテールが取り入れられていたり、その他のサンダルにはアール・デコを彷彿とさせるバックルを採用していたり。こっくりしたカラーリングにも不思議とあの時代の色調が重なります。
さらにアーカイブシルエットを復刻した「MARIA SUEDE BLACK」と「MARIA SUEDE DEEP BURGUNDY」も登場。現代の技術で新たに甦ります。
今回のコレクションは、1920年代のベルリンの空気感を醸しながら、現代の感性をもってシューズに落とし込んでいます。これを機に、着用者があの時代に思いを馳せ、新たな気づきを得られますように。すでに発売中。ぜひお見逃しなく。