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信仰や風習に込められた祈り。それらに通底する民の感覚。テラダヒデジによる個展が開催されます。

かつて、隣藩との国境警備にあたる武士の屋敷と、その生活を支える商人や職人らによって形成された岡山県建部町中田町。その地にいまも残る旧建部町油屋本家大村邸を改築しつくられたのが、複合ギャラリー「一初」です。

取り扱うのは、衣・食・住・遊・知・美の6カテゴリ。現代美術の展示販売を中心に、工芸品も紹介するほか、茶屋を併設しています。

そんな同ギャラリーで、テラダヒデジによる個展「民が」が開催されます。

テラダは、日本の暦や年中行事や民間信仰など、暮らしのなかに息づく民俗的な営みに着目し、祈りや願いに込められた人々の思いをすくい取るようにして制作しているアーティスト。

ギャラリーは「民が」を以下のように説明しています。

本展は、日常の営みとして受け継がれてきた日本の行事や信仰、風習に込められた祈りや願い。それらに通底する「民」の感性を現代の視点から掘り起こします。テラダはこれまで、古い史料に残された風景や記述、また漢字という表意文字の構造と詩性のあいだに身を置き、かたちと意味の境界を探るように作品を制作してきました。本展では、盆踊りの起源に想いを馳せ、型を持たない原初の舞を自由な身体の動きとして描いた『ODOLI』を軸に、顔をもたぬ群像=「民」の姿を多様な形式で表現します。それは歴史や制度の中で埋もれがちな集合の記憶や声なき声を現代において可視化しようとする抵抗であり、同時にわたしたち一人ひとりの身体に刻まれた無意識の記憶への接続でもあります。「一初」は本展を通じて、観る人の内に眠る「日本」の感覚が呼び覚まされ、過去と現在、個と集団、可視と不可視のあいだに新たな風景が立ち現れる契機となることを願っております。

充実の物販も見逃せません。

こちらは、宮崎県の最南端・串間市にある焼酎蔵「松露酒造」とのコラボ焼酎。テラダによる描き下ろしラベルをまとっています。中身は、伝統的な製法にイノベーティブな蒸留方法を掛け合わせた原酒を、栗製の木製樽に貯蔵した芋焼酎。さつまいもの清らかな香気と白い花のようなハーバルな香り、樽由来のクリーミーな丸みとウッディな余韻が特徴です。

テラダが絵付けをした、デッドストックの九谷焼花入も並びます。

ご紹介した展示は10月4日(土)からスタート。同時期には3年に一度の瀬戸内国際芸術祭が開催されているので、あわせて足を運ぶのがおすすめです。

INFORMATION

テラダヒデジ個展『民が』

会期:10月4日(土)〜11月9日(日)※休廊日:水曜日・木曜日
場所:ギャラリー 一初
住所:岡山県岡山市北区建部町中田171
時間:12:00〜17:00 ※10月4日(土)のみ12:00~20:00

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