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愛され続けて80年。パラブーツのミカエルを純正ソールで張り替えてみた!

名作。それは優れた作品に使われる言葉。モノであれば、誰もがひとつは持っておきたい、なんてつい添えたくなるような逸品のことです。そう呼ばれるアイテムはいくつかありますが、〈パラブーツ(Paraboot)〉の「ミカエル(MICHAEL)」もそのひとつ。今年で誕生から80周年を迎える名作シューズは、ファッション業界にも編集部にも多くの愛用者がいます。

チロリアンシューズをモチーフにしたデザインはもちろんのこと、油分を多く含んだリスワクシーレザー(リスはフランス語のLisseでスムースの意味)など、アッパーの意匠だけでも語りたくなるポイントはいくつもあります。でももしかしたら、それだけでは名品とは呼べなかったかもしれません。それらにプラスして、シューメーカーとして世界で唯一実現している自社製ラバーソールを、登山靴にも採用される堅牢でソール交換可能なノルヴェイジャン製法で底付けしているところまでを含めて、名作と呼びたくなるのです。

そして、名作と呼ぶには長年愛用できるかも重要になってきます。レザーシューズの場合、それは履き心地とメンテナンス性。ソール交換をして履き心地が別物になった、なんて経験があるひとも多いと思いますが、〈パラブーツ〉はオリジナルのソールと修理体制が整っているところも安心できます。編集部にちょうどソール交換時期に差し掛かっていた「ミカエル」があったので、直営店に純正ソールでの張り替えを依頼してきました。

ソール交換前。週4ぐらいのペースで履かれ、ソールの溝もなくなり、なんならミッドソールまで削れています。

ソール交換後。明らかにきれいになり、「ミカエル」らしいボリューム感も戻りました。ちなみに、メンズとレディースでソールが違うって知ってました?

預けてから待つこと2ヶ月ほど。届いた靴を見てみると、ソールの角がシャキッと立っていて全然違う! ミッドソールも交換してもらい磨かれた姿は、新品よりもずっと魅力的に見えます。使い込んだレザーアイテムでしか味わいがやはりあるんです。〈パラブーツ〉らしいクッション性やグリップ力も回復しています。

部材のストック状況で変わるようですが、おおよそこのくらいの期間で修理は終えるみたいなので、困ったら直営店にご相談を。ちなみにこの靴の持ち主は、購入した2020年にこんな言葉を残していました。個人的な思い入れもまた、大切に長く使いたいと思える条件のひとつなのです。

本店が混んでいると2号店を案内される。あるあるですよね? もちろん居酒屋の話なんですが、私はやっぱり本店がいい。本元なんだから、そのお店の信念みたいなものが隅々まで通ってるに決まってるんです。
でも最近、そんなこともないのかもと思った出来事がありました。
〈パラブーツ(Paraboots)〉のミカエルは、チロリアンシューズの名作。エルメスがファーを使用して、特注したとも言われています。私にとってのミューズ的な人が履いていて、彼女に近づきたいという下心半分、靴を緊張しながら買いたいという背伸び心半分。購入を決意しました。
せっかくならと本店の青山店に行く予定を立てた矢先、たまたま立ち寄ったセレクトショップで見かけ、試着だけ…と足を通しました。
タグに記されたなじみのない数字(値段)にひるみながらも、それに相応しいプロダクトの絶対的誠実さに感服。そしてブランドが積み上げた100年の重みは、足の神経をつたって脳天を突き刺しました。
そんな感動で溺れそうな私に話しかけてくれたのは、妙齢の女性の店員さん。ブランドの創業からほどなくして生まれたであろう、ベテランの方でした。ハードなワイドデニムにショート丈のニット、首元からは柔らかなシャツが覗き、グレーヘアはひとつに束ねられ、一切の妥協もないスタイルでした。接客という接客はせず、長年の経験に基づいたアドバイスをひとつふたつ。
ああ、もうここで買いたい。初めて生まれた靴への感情と、店員さんとの衝撃的な出会いは、本店への頑固なこだわりを覆しました。
…と言いたいところだったですが、私はまだ青かった。というより大きな買い物を、その場でぱっと決断する勇気がありませんでした。結末はそういうことです。にしてもミカエルは最高だし、お店で買うのってやっぱ楽しいよね。

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