衣食住を網羅し、ひとびとに人生の楽しみを提供しているファッションカンパニー「ベイクルーズ(BAYCREW’S)」。そんな「ベイクルーズ」がフェスまで手がけていることを、みなさんは知っていましたか? 今回で通算7度目の開催となる「ベイクルーズ フェスティバル(BAYCREW’S FESTIVAL)」とは一体どんなイベントなのか、現地に行ってこの目で確かめてきました。
Photo(Snap)_Wataru Kakuta
Edit_Seiya Kato
うめきた公園にかえってきた“最高に素敵なチャリティーフェス”。
これまで名古屋、京都、仙台、福岡、横浜を巡り、昨年大阪に上陸した「ベイクルーズフェス」。ファッション、音楽、アートを五感で楽しむことができる都市型フェスとして注目を集め、回を重ねるごとにスケールも拡大されています。そしていまでは、日本各地で行われている音楽フェス、アウトドアフェスにも引けを取らないイベントにまで成長を遂げています。
今年の舞台となったのは、前回に引き続き、JR大阪駅直結の「うめきた公園」。隣接する「グラングリーン大阪」や「ルクア大阪」でもショッピングが楽しめるという好立地で、オープンから程なくして会場がほぼ埋め尽くされる賑わいをみせていました。
多くのショップやアーティストによるライブパフォーマンス、ワークショップなど多彩なコンテンツが展開されるなか、広大な敷地の中央には“NOTO”と大きくかかれたブースが。そう、今年の「ベイクルーズフェス」の大きなキーワードの一つにあげられているのが、能登へのチャリティだったのです。
このブースでは、能登の魅力が堪能できる洋服や雑貨、珈琲豆などが豊かな顔ぶれでラインナップ。また、能登でレストラン「ラトリエ・ドゥ・ノト」を営む池端隼也さん、200年以上の歴史を誇る「輪島キリモト」の桐本泰一さん、地域に根ざしたさまざまなイベント・企画を手がける辻野実さんのそれぞれの想いと愛着が綴られたパネルが掲出されているのも非常に印象的でした。
「ベイクルーズ」なりのチャリティはこのブースだけにとどまらず、入場料は能登半島地震・奥能登豪雨被災地への支援として全額寄付され、会場では募金の受付も行われていました。
そして、チケットがなくても入場可能なストリートマーケットには、「ベイクルーズ」のアイテムが幅広く並ぶ「BAYCREW’S BAZAAR」も登場し、ここでの売上げも被災地へ寄付。“最高に素敵なチャリティーフェス”と名付けられた理由にも深く納得しました。
俯くのでなく、前を向くひとびとの姿勢に自分まで勇気と元気をもらい、何かできることはないかを考えさせられるきっかけにもなるのが「ベイクルーズ フェスティバル」なんだな、と。
そんなことをしみじみと思いつつ、大きな会場をぐるっと回遊してみることに。高層ビルと緑の芝生が共存するロケーションが心地よく、フイナムでもたびたびご紹介しているブランドやセレクトショップ、飲食店も数多く出店していて、その見応えといったら一日じゃ足りないほど。
一角で開催されていたワークショップには絶えずひとが集まり、家族で笑い合い協力し合う風景を眺めていると、心が浄化されていくような温かい気持ちになりました。
その場にいるだけでハッピーになる「ベイクルーズ フェスティバル」ですが、来場者の服装は本格思考なアウトドアファッションというより、どちらかというとデイリーでカジュアルな印象。それぞれの塩梅で機能的なアイテムを取り入れていて、都市型フェスを軽快に楽しんでいる様子がうかがえました。
会場で出会ったひとびとのコーディネートを参考にしつつ、来年に備えて自分なりのスタイルを考えてみてはいかがでしょうか。
脳裏に刻まれる感動的なフィナーレ。
すっかり日も暮れて、会場は夜仕様にライトアップ。雰囲気もガラリと変わり、今年の「ベイクルーズ フェスティバル」のメインイベントともいえるファッションショーがはじまります。
“野外フェス×ファッション”をテーマとしたこのショーは、「ベイクルーズ」が手がける人気ブランドの新作アイテムを使用して、2025年秋冬シーズンのルックをお披露目するというもの。普段はなかなかみることができないランウェイがモデルの息づかいすら聞こえそうな距離感で体感できるというまたとない機会に、多くのひとが引き寄せられてきました。
「うめきた公園」がランウェイへと姿を変え、手を止めて魅了される来場者。会場全体の一体感はなんとも言葉では言い表せないもので、ファッションの持つパワーを改めて感じる瞬間でした。
メンズのスタイリングを手がけた山田陵太さんに少しだけお話を聞くことができたので、読者の皆さんにもお裾分け。なお、オフィシャルECサイト「ベイクルーズストア」で購入できるアイテムもあるので、ルックとあわせてチェックしてみてください。
山田陵太(スタイリスト)
Instagram:@ryotayamada______
ー今回のファッションショーで表現したかったことを聞かせてください。
各ブランドごとの個性を活かしつつ、ショーなのでショーアップ感というか、強さみたいな部分は意識しました。
ー“野外フェスとファッションの融合”が大きなキーワードとしてあがっていますが、意識したことはありますか。
普段ファッションショーというものに触れる機会がない方達にも見てもらえるということで、ある種のわかりやすさみたいな部分は大事にしました。
ーファッションショーのスタイリングを担当した感想を聞かせてください。
関わるメンバーが多くチーム感があって楽しかったです。普段は割と孤独な作業なので(笑)。ウィメンズスタイリストの飯島朋子さんとご一緒させていただき学びになることがたくさんありました!
イベントの締めくくりは、国内外で活躍するアーティスト・YOSHIROTTENさんのインスタレーション「SUN」。さまざまな手法とメディアで構成されるアートプロジェクトは年代や性別を問わず多くのひとびとに支持されてきましたが、今回もまた特別。小さな池のうえに映し出された作品が会場に彩りを与え、雨が降りしきる水面に反射する“太陽”が幻想的なムードを演出します。
デジタルツールを用いてひとつずつ手作業で制作された太陽はすべてが異なる独特な印象を持ち、見るひとによって捉え方が変わるのも深みを感じます。このプロジェクトは今後も継続していくとのことなので、その動向にもぜひご注目を。
末長く続いてくれることを願って。
「ベイクルーズ」、そして能登の魅力がぎゅっと詰め込まれた今年の「ベイクルーズ フェスティバル」。ファッション、音楽、アートのそれぞれが持つ力を再確認し、それらが混ざり合ったときに起こる化学反応を体感できる最高なイベントでした。
チャリティーを通じてひとびとが繋がり、互いをリスペクトし、協力し合う。そんな素敵な空間にいることができて、本当に感無量です。
出演アーティストも運営スタッフも、大人も子どもも、誰もが笑顔になれるイベント。この先もずっと続いていってほしいと強く感じました。
当日の様子や開催に至るまでの軌跡などは「ベイクルーズ フェスティバル」のオフィシャルInstagramでも発信されているので、お時間のある方は覗きにいってみてください。

