王道ブランドの定番品はやっぱりいい。定番と言われるだけあって歴史があるし、信頼できるスペックもあって、何歳になっても飽きない。でもこれはちょっと天邪鬼なひとに向けた連載企画。あのブランドの、実は知られていない、けどグッとくるものを紹介します。第16回目は〈無印良品〉のマイナーグッド。
Photo_Arata Suzuki
Styling_So Matsukawa
Text&Edit_Yuri Sudo
ブランドをブランド足らしめるものは何か。象徴的なロゴ、見たことのない素材、ならではのカラーリング、突飛なデザイン、さまざまあります。
「無印良品」の場合は、その名の通り “無印” です。ベーシックなデザインが最大の特徴になるという、異例のブランドづくりをおこなってきました。
そんななか、ちょっと意外なものがこの秋「MUJI Labo」から発売されました。
紳士 ユニフォーム素材で作ったトラックジャケット ¥9,990
紳士 ユニフォーム素材で作ったトラックパンツ ¥7,990
「MUJI Labo」が2025秋冬に注目したのは、ファッションではあまり使われることがない、白衣や学生服などの工業的な素材。日常生活に適した機能性と丈夫さを兼ね備えているその素材は、街着としてもとても優秀なんです。
こちらは、昔懐かしジャージ素材を採用したトラックジャケット。適度な柔らかさと伸縮性がありながら、上品な光沢感のおかげで普段着にもぴったりです。絶妙な色だしだからこそ、ビビッドなインナーや柄物を合わせたいところ。
また、同じジャージ素材でつくられたトラックパンツも。側面には同色のテープが配されていて、シンプルなパンツにも奥行きが生まれます。両脇の裾にはファスナーが付いているので、開閉具合によってシルエットを変えて楽しめるのが嬉しいものです。
紳士 ユニフォーム素材で作ったブレザー ¥19,990
※店舗により在庫状況が異なります。
紳士 ポリエステルタックワイドパンツ ¥9,990
一見きれいなセットアップですが、素材はなんと学生の制服で使われているポリエステル生地。ウールのような肌触りだから気軽に着れて、適度なハリコシがあるから機動力もあります。
同素材のパンツはややシルエットに余裕を持たせたワイドタイプ。後ろベルトにゴムが入っているからストレスなく穿けて、かつタック入りですっきり見えます。
これまでも機能性に優れたアイテムは多々リリースされていましたが、だれもが袖を通していた学生時代のジャージや制服の素材を採用するとは。見過ごされているものに焦点を当てたり、当たり前になっているものを改めて取り上げたり、無印良品の審美眼はこまやかです。
そして商品名もやはり斬新。情報を端的にそのまんまのせた商品名は、お客さんの心にすっと届きます。
ブランドの世界観を形づくっていくうえで、いろいろ肉付けしていきたくなるところを、ひたすらベーシックを貫き、そのなかで挑戦をつづける。それでいて老若男女に好かれるものづくりに励む。これぞ日本が誇る世界的ブランドです。
ロケ地メモ:あるセレクトショップの店主の家。週1で早朝サーフィンをしていて、お気に入りのスポットは神奈川の鵠沼と千葉の一宮。

