古きよきワークウェアを彷彿とさせる〈ロエベ(LOEWE)〉の新作は、ラギッド・ラグジュアリーの本命といっていい風格が漂う。
ボディに採用したのはモールスキン。密に織り込んだそれは柔らかな手触りとは裏腹にこよなく強靭だ。20世紀中ごろのフランスの炭鉱夫はそのカバーオールに好んで袖を通したという。
カーキ ブラウンという色合いがまたたまらない。ところどころ白茶けたカラー・グラデーションからは、かつて “黒いダイヤモンド” といわれた石炭に命を賭けた、炭鉱夫の矜持が浮かび上がってくる。
オーバーシャツ ¥411,400
縫い目にはワックスを塗り込んでおり、このひと手間がビンテージの風合いをさらに深める。
見逃せないのが襟だ。コーデュロイに見えるそのパーツの素材はスエードである。エンボス加工でコーデュロイの織り目をかたどっているのだ。
胸元にはアナグラムを刻んだレザーパッチが。ボディと同色のアナグラムはさりげないアクセントになってくれる。
胸元にはアナグラムの小さなレザーパッチがあしらわれる。
Photo_Kazuma Yamano
Text_Kei Takegawa

