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【FOCUS IT.】ジャン・ジュリアンが手掛けた、パルコのためのとっておきのホリデー。

毎年華やかなホリデー企画でお客さんを楽しませる「パルコ」。今年のホリデーキャンペーン「HAPPY HOLIDAYS」はアーティストのジャン・ジュリアンを起用し、彼が描いた色彩豊かなイラストで館内を彩ります。このキャンペーンの裏側や今日本に住んでいるというジャンの近況について、話を伺ってきました。

Photo_Teppei Hoshida
Text_Shinri Kobayashi
Edit_Yuri Sudo


PROFILE

ジャン・ジュリアン

1983年フランス生まれ。2008年にロンドンのセントラル・セント・マーチンズを卒業後、2010年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修士号を取得。イラストレーション、絵画、彫刻、インスタレーション、写真、映像、書籍、衣類、デザインオブジェなど、ジャンルや形式を横断する幅広い表現で知られるフランス人アーティスト。2022年には、Phaidon Pressより初の包括的作品集を刊行。また、彫刻作品シリーズ「Paper People」「Paper Society」は、DDP(ソウル)、MIMA(ブリュッセル)、GINZA SIX(東京)、ル・ボン・マルシェ(パリ)などで展示され、国際的に注目を集める。現在は一時的に東京を拠点として制作を行っており、2025年5月には大阪・関西万博でタラ オセアン財団のための特別インスタレーションを発表。2026年3月1日まで、NANZUKA ART INSTITUTE(上海)にて《JUJU’s Castle》を開催中。
Instagram:@jean_jullien

日本で見つけたインスピレーションと創作の現在。

ー 今年1月から日本に滞在されていますが、特にインスピレーションを受けたお気に入りの場所はありますか?

ジャン:中野ブロードウェイは特に好きな場所です。独特のポップカルチャー感があって、歩くたびに刺激をもらえます。本がたくさん並ぶ神保町もよく訪れますし、旅が好きなので下田や沖縄などさまざまな地域にも行きました。どこも個性的で、見た風景が自然と作品へと投影されることが多いです。東京の郊外を少し歩くと、色あせた古いポスターが並んでいることがあります。そういうノスタルジックな景色にも強く惹かれます。

ー 日本文化のどんな部分に魅力を感じますか?

ジャン:大都市のカオスと静かな空間、その2つが共存するのが日本らしさだと思います。今住んでいる目白は本当に静かで、鳥の声が聞こえる心地良い場所です。一方ですぐ近くの高田馬場や池袋にはゲームセンターや映画館など活気ある空間が広がっています。この対照とリズムがおもしろい。

ー 世界中の商業施設を知っているジャンさんですが、日本の「パルコ」の印象は?

ジャン:「パルコ」はカルチャーへの力の入れ方が独特で、単なる商業施設でなくクリエイティブな発信地だと感じます。若くダイナミックな雰囲気もあり、ファッション、展示、ミュージアムが一体になっているのがおもしろいです。


「HAPPY HOLIDAYS」とその裏側。

館内には、イラストが施された販促物のボックスも。

ー 今年のパルコのホリデーキャンペーン「HAPPY HOLIDAYS」のコンセプトについて教えてください。

ジャン:ホリデーシーズン直前は誰もが欲しいものが増える、欲望が高まる季節です。そんな「コレクションしたい」という気持ちを表すため、カエルのキャラクターを用いました。日本ではカエルは縁起物でもあるし、手塚治虫の『地球を呑む』からも着想を得ています。

ー 消費や欲望というテーマを今回どう捉えましたか?

ジャン:地球規模で考えると、ホリデーシーズンの消費が正しいかどうかは悩ましいということもあり、今回のカエルキャラクターは少しシニカルな表情をしています。一方で、自分自身もキャラクター集めや大切なひとへのプレゼントが大好きという側面もあります。その両面性をカエルに投影しています。

浦和パルコ館内の装飾の様子。ジャンのクリエイティブがそこかしこに飾られていて、世界観をダイレクトに感じられる。

エスカレーターの手すり下にはキャラクターが。一緒にショッピングしているような感覚になって楽しい。

写真映えするようなスポットも多数。ホリデー気分を自然と高めてくれる。

ー 他にもキャラクターが目白押しですが、キャラクター造形で意識したことは?

ジャン:日本漫画のように、表情をシンプルかつ象徴的に見せることを意識しました。漫画のエッセンスを抽出して自分なりの形に落とし込んでいます。また、フランス人としてイギリス人に「カエル」と呼ばれる背景も自己投影と重ね、カエルが日本カルチャーや漫画を貪欲に飲み込む姿を描いています。

ー キャラクターのアイデアは、描きながら浮かぶことが多いですか?

ジャン:はい。手を動かしているうちに自然とイメージが湧きます。実際イベントなどでお客様の言葉をきっかけに、即興で描いたりしています。日々集まった断片的な記憶や経験が、線を引きながらつながる瞬間があるんです。

ー 描き始めるパーツにこだわりはありますか?

ジャン:キャラクターの表情を描くときはまず「目」から、ひとを描く場合は「鼻」から、多様なモチーフの場合は「お腹」から描くことが多いですね。

キャンペーンに合わせたノベルティ「HOLIDAY GIFT PACK」」は、税込10,000円(期間中・複数ショップ合算可)以上お買上げの方にプレゼント。アルミニウムマグネット、フレイクシール、ピンバッジ、マスキングテープ、ワッペンシール、ラバーマグネット、ミニカードの7点がブリスターパックに封入されている。

ー 色使いも印象的です。

ジャン:ヨーロッパではクリスマスカラーが定番で縛りも強いのですが、今回は「パルコ」からの自由なオーダーに合わせて、宗教色に縛られないカラフルでシンボリックな色使いを楽しみました。


創作以外の時間。

ー 日本での日常や制作ルーティンを教えてください。

ジャン:子どもを学校へ送った後、スポーツをして、午前9時半から16時半まで制作します。午後は子どもと過ごす時間です。フランス時代はアトリエが自宅と別で、長時間こもって作業していましたが、日本では自宅制作がメイン。限られた時間に集中し、外での移動中も別の仕事に取り組むなど、メリハリある生活を送っています。

ー スランプや気晴らしの方法は?

ジャン:一気に集中して描き終えたら、意識して外に出るようにしています。子どもや友人と遊んだり、サーフィンや旅行も大切な時間。制作以外の時間が充実しているので、創作が行き詰まることはほとんどありません。

ジャンの視線の先には、先日まで開催されていた彼の個展「PURPLE PONY」の作品が。いずれも日本を旅行中に見た景色だそう。
©Jean Jullien Courtesy of NANZUKA

ー 日本滞在は作品や展示にどんな影響を与えましたか?

ジャン:日本に来てから、目に入るものすべてがとても新鮮で、たくさんのキャンバス作品を描くようになりました。また、イラストと絵画の垣根を越えて自由に行き来できることができるようになり、その境界をあまり意識しなくなったことも大きな変化です。パルコで展示した「PURPLE PONY」はそのいい例だと言えると思います。これまでキャンバス作品では、自分が実際に目にした風景や情景を描くことが多かった一方で、イラストでは想像的な世界を描くことが多かったです。日本での生活が始まってからは、特に看板に描かれたファンタジックなビジュアルや、西洋ではあまり見られないキャラクターたちに出会い、それを描くことで、キャンバス作品の中にも現実とファンタジーを同時に取り込むことができるようになりました。日本での1年間の経験を通して、また一つ新しい表現の扉を開くことができたと感じています。

ー 最後に、今回の来場者やファンにメッセージをお願いします。

ジャン:全国のパルコで開催されている「HAPPY HOLIDAYS」の広告やプロモーションに足を運んで、自分の作品を知ってもらいたいですね。そして、他の作品にも興味を持ってもらったり、背景のつながりも感じてもらえたらなお嬉しいです。

浦和パルコ入口には、大きなツリーが2本設置されている。夜にはライトアップされ、キャラクターたちが愉快に浮かび上がる。

INFORMATION

Happpy Holidays

特設サイト

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