王道ブランドの定番品はやっぱりいい。定番と言われるだけあって歴史があるし、信頼できるスペックもあって、何歳になっても飽きない。でもこれはちょっと天邪鬼なひとに向けた連載企画。あのブランドの、実は知られていない、けどグッとくるものを紹介します。第18回目は〈ワイルドシングス〉のマイナーグッド。
Photo_Arata Suzuki
Styling_So Matsukawa
Text&Edit_Yuri Sudo
極寒を耐え忍ぶのに必要なのは、奇抜なデザインのアウターでもなく、昭和的な根性でもなく、機能素材を採用したアウターです。
そこで頼りたいのが〈ワイルドシングス〉。しかし、モンスターパーカやデナリジャケット 、ハッピージャケットが出てくると思ったら大間違い。名作たちは万人の知るところなので、今回はこんなものをご紹介しましょう。
ビバーク ロフトプルオーバー ¥39,600
丸みを帯びたシルエットと弾けるようなオレンジが印象的な一着。オーセンティックなアウトドアジャケットをベースにしつつ、バサッと適当に羽織れるプルオーバーで仕上げました。
やや透け感のある素材は「SHINING NYLON」。10dリサイクルナイロンを使用した高密度軽量素材で、柔らかく軽いのが魅力です。
中綿は「LOFTECH」を採用。アメリカはカリフォルニア州で30年に渡り高品質でトレーサビリティのあるダウンのみを提供しているアライド社のもので、軽量性・耐久性・撥水性をあわせもつ、性能重視の化繊粒中綿です。天然ダウンに劣らない700フィルパワー近くの保温性をもっていて、復元耐久性にも優れています。
リバーシブル ビレイジャケット ¥35,200
ブルーとイエローが爽やかな、リバーシブルジャケット。 表側はブランドおなじみの波キルトで、「WILD CAT」の旧ロゴ復刻ネームが配され、レトロアウトドアな雰囲気たっぷりです。裏側の詳細はオンラインサイトに託しますが、ステッチを表に出さない裁縫のおかげでソリッドなデザイン。両A面な一着です。
素材は表裏どちらも「PERTEX QUANTUM」。薄手で耐久性がありながら、軽くて柔らかく撥水加工もあり、と文句なしの素材です。中綿は「PRIMALOFT BLACK INSULATION」と呼ばれる、100%再生素材を使用した高性能の断熱中綿です。暖かく撥水性、耐久性に優れています。
改めて〈ワイルドシングス〉の徹底した素材選びや使い方に感心してしまいますが、元を辿れば納得。創業者はアメリカの登山家ジョン・ボーチャードと、フランス人女性登山家マリー・ミューニエール夫妻で、日々過酷な自然を相手に本物の機能を追求していました。創業当時から登山家からの信頼が厚く、さらには米軍特殊部隊の極寒地用のアウターを製作したりと、プロからのお墨付きももらっていたのです。
形は違えど、〈ワイルドシングス〉のアウターにはすべて安心の機能あり。名作以外もぜひ目を向けてみてはいかがでしょう。
ロケ地メモ:あるアパレルメーカーで営業をしている男性の自宅。渥美清とカネコアヤノを崇拝している。

