NEWS

連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.123 “懐かしさとフレッシュの狭間”。大人もいいよ、ベリベリのウォレット。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

新たにショップが全て入れ替わり、迎えた16シーズン目! 第123回目は、古着激戦区・高円寺の人気店「Mr.Chubby」の姉妹店である「FiLo__Store」のYUTAさん。今回は、どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


YUTA / FiLo__Store オーナー
Vol.123_色々なウォレット

ーシーズン13で「ミスターチャビー(Mr.Chubby)」としてご登場いただいた際に「ニュー・ヴィンテージとは?」という質問をしましたが、この「フィロストア(filo Store)」でも基本は一緒ですか?

はい。その際に、SNSを介して相場が急高騰するようなアイテムをそうなる前に適価で売って、お客さんの手に渡ったのちに価値が上がる。それができるアイテムがニュー・ヴィンテージたり得ると思うとお答えしましたが、その姿勢はこちらの店舗でも変わりません。

ー「ミスターチャビー」と「フィロストア」ではコンセプトも異なるんですよね?

雰囲気的には、こちらの方がゆっくり対話したりしつ選んでいただけるよう、落ち着いたテイストの内装に仕上げていますが、アイテムセレクトの根幹的な部分はほぼ一緒です。なので今回紹介するアイテムも、「ミスターチャビー」で扱っていてもおかしくないようなノリで。

ーというワケでご用意いただいたのが…色々なブランドのウォレットです。

(笑)。色々なブランドをバラエティ豊富に集めてみました。一般的にはなんか面白いと思ったんですよね。店頭ではゴチャッとひとまとめで置いていますが、お客さんも「なんだ、これ?」って感じで手に取ってくれますし、古着ならではの「なんだこれ? 見たことないけど、面白そうだぞ」っていう感覚が味わえるアイテムということで。

ー興味というか知的好奇心を刺激するようなアイテムとの出会いですよね。

それです。お客さんとのコミュニケーションツールにもなりますし。では、順番に見ていきましょうか。まずは、ストリートの王道として若い世代から裏原世代まで、年齢性別問わず支持の厚い〈ステューシー(STUSSY)〉から。

上段:ステューシーのウォレット ¥8,800、中段:ステューシーのウォレット ¥8,800、下段:ステューシーのウォレット ¥11,000(すべてフィロストア

非常にバリエーションが豊富で、未見のアイテムが多いのもココならでは。このモノグラム柄なんかは同じ生地で作られた帽子もリリースされていたことを考えると、「生地が余りそうだから、ちょっと作ってみようかな」なんてノリでしょうね。ウェアに比べると小物の方が格段に見つけづらいので、掘る楽しみもあります。

迷彩柄は90年代に人気を集めた「ステューシー アウトドア(STUSSY OUTDOOR)」ラインから。このウッドランド迷彩とオレンジの組み合わせが当時の雰囲気でたまりません。ネイビーにロゴが刺繍されたこちらは、マチあり&ラウンドジップで当時の感覚だと8cm CDケースのよう(笑)。使いやすさはさて置き、時代を感じさせる佇まいが30代以上には懐かしく、若い世代には新鮮に映るのではないかなと。

ー90年代〜00年代にかけて、どこのブランドでもウォレットをリリースしていましたよね。

そうですね。ブランドがインラインで出していたモノ以外にライセンス生産されたモノもあるでしょうし、本当に膨大な数が、まだまだ市場には眠っていると思われます。続いてはちょっと面白い系。まず目に付くのがマーク・ゴンザレス創設のスケートブランド〈ブラインド(blind)〉。ウォレットチェーンが付属された、いわゆる“バイカーウォレット”型ですが素材はナイロン。ゴンズがデザインしたロゴが泣かせます。意外性を狙うなら〈アンブロ(umbro)〉もアリ。表面がコーティングされた防水仕様でタフに使えますし、近年はスケートブランドとのコラボも盛んなので、スケート繋がりでどうぞ!

上段左:エル・エル・ビーンのウォレット ¥6,600、上段右:ブラインドのウォレット ¥5,500、下段左:ワイルドウォレッツのウォレット ¥8,800、下段右:アンブロのウォレット ¥5,500(すべてフィロストア

続いては〈エル・エル・ビーン(L.L.BEEN)〉。カードスロットが多く、チケットなんかも収納できるよう大きめに設計されているので、どちらかといえばトラベルウォレットになるのかな。内側のタグに記された“FREE STYLE”というのは、製造元のOEM会社のものだと思われます。

面白いところだと、花柄の〈ワイルドウォレッツ(WILD WALLETS)〉なんかも古着ならでは。今もメイド・イン・チャイナで現存しているブランドですが、こちらはメイド・イン・USA時代のモノ。〈ヴァンズ(VANS)〉のシューズに使われていた生地の端材が使われているんですよ。

ー懐かしい! 90年代にスニーカーショップやアメカジのセレクトショップのレジ前に置かれていた記憶があります。

あとは、以前「ミスターチャビー」の回でも紹介した〈オーバーランド・イクイップメント(Over Land Equipment)〉なんかもウォレットやポーチを数多く作っていましたが、それに負けていないのが、1990年代に一世風靡してアウトドアバッグの大定番となった王者〈グレゴリー(GREGORY))〉です。

上段左:グレゴリーのウォレット ¥8,800、上段右:グレゴリーのウォレット ¥11,000、下段:グレゴリーのウォレット ¥8,800(すべてフィロストア

ここも先ほどの〈ワイルドウォレッツ〉と同じくバッグと同じ生地を使っていたりするので、セットで揃えるのも楽しいと思います。というか単純にカラバリがめちゃくちゃあるので、見たことのないような色・柄を探し出す楽しみも。

ここはタグの変遷によって、いつ頃のモノなのか判別しやすいのもポイント。この中だとグリーンが通称“青文字タグ”で1993年〜1996年と古め。ちなみに迷彩柄はシルバータグで、その後の1997年〜2015年です。もう1つは…あまり見かけないタグですが、多分90年代の半ばくらいかなと。

ーこういった面ファスナー、いわゆる“マジックテープ”の財布って、ひと昔前までNGアイテムと言われていましたが、時代も変わりましたね。

そうですね。コロナ禍以降、キャッシュレス化が進んだことに伴いコンパクトな財布が人気になったじゃないですか。その辺から潮目が変わってきたように感じます。中には、100円ショップのミニウォレットを使っている人も結構いるみたいですし。

ー収納力という視点での機能性よりも、コンパクト&デザイン性というアクセサリー感覚で取り入れられて、かつ個性も主張できるという点がウケると。それぞれ違いもあって値段も新品で買うのとそこまで変わらない。そう考えるとおおいにアリですね。

どんなに高くとも1万円そこらですからね。個人的にはアウトドアブランドのモノが好きなので、見つけては買い集めていますが、スケートブランドもおもしろいですね。いい意味でイナたい感じで。〈ステューシー〉はこういった小物のラインが90年代〜00年代に確立されていますが、〈シュプリーム(SUPREME)〉の初期モノとかあまり見かけないし種類も少ないので、そういったブランドを掘ってみるのも良いかもしれませんね。

ーストリートブランドでは定番ですが、〈シュプリーム〉だとあまりイメージがありませんし、ちょっと差がつきますね。

ここまでシッカリしたモノではなく、スケートブランドの小物らしくもうちょっとチープな作りだったり、ポーチみたいな感じのコインウォレットとかですけどね。今回紹介した辺りのアイテムもそうですが、先輩や兄弟に聞いてみるとか探せば全然見つかると思います。コレクションしやすく、数を集めても邪魔にならないし置いておくだけで絵にもなるからインテリアにもオススメ。何よりどんだけ持っていても困りませんからね、ウォレットってやつは。

YUTA / FiLo__Store オーナー
相方のKAZUMAとともに古着激戦区として知られる高円寺で「Mr.Chubby」を営む傍ら、2025年4月に姉妹店としてオープンさせたのが「FiLo__Store」。アメリカ、ヨーロッパを中心に買い付けられるアイテムも、ヴィンテージやレギュラーといった“いわゆる古着”のほか、ドメスティックブランドやメゾンブランドなど新旧問わず、自分らのアンテナが捉えた良品揃い。
インスタグラム:@filo__store

TOP > NEWS

関連記事#NEW VINTAGE

もっと見る