フォーマル、ミリタリー、ワークをベースにした、秀抜なテーラリングを駆使したナロウなスタイル。あるいはゆるく、長く、リラックスしたスタイル。今季、〈ジル サンダー(JIL SANDER)〉のクリエイティブ ディレクターに就任し、初の単独メンズショーに臨んだルーシー&ルーク・メイヤーは伝統と真っ向から対立する新たな概念を披露した。
それはバッグのコレクションにも顕著にあらわれている。マッチボックスをイメージしたスライド式のポシェット、そして体にしなやかに沿う、コーデュラナイロンのリュック。いずれもステッチまで同色で揃えたワントーン。浮かび上がったのは、合理的で構築的なデザインの面白さだった。アクセサリーを服の一部ととらえる〈ジル サンダー〉のそれは、オンにもオフにも違和感なく溶け込む。
マッチボックスをモチーフとするあたり、どこかストリートの匂いもする。 クリエイティブ ディレクターのひとり、ルーク・メイヤーは〈シュプリーム〉のヘッドデザイナーを経て〈OAMC〉を立ち上げており、こういう茶目っ気が豊かだ。
クリーンでミニマルという〈ジル サンダー〉のアイデンティティは伝統的なノウハウと、先進的で自由な精神によって更新された。
スマホや小物を入れて持ち運ぶのに便利なポシェット。この他に黒もラインナップ。
POCHETTE “MATCH BOX” 各¥110,000+TAX
一般のバックパックに比べ、背負った時に体に沿う独特のフォルムを描く。合理的かつ実用的なミリタリーアイテムから着想を得たシンプルかつ個性的なデザインが特徴的だ。
BACK PACK “CLIMB” ¥130,000+TAX
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa