怪作、奇作、変態、残酷……、カルトにカルトを極めたカルト映画のみを集めた奇々怪々な「奇想天外映画祭」が今年も開催されます。
まずは予告編から。阿鼻叫喚のご準備を。
昨年よりもスケールアップした今回は百鬼夜行ばりの豪華ラインナップ。それでは私が水先案内人としてご紹介していきましょう。
『死刑台のエレベーター』や『地下鉄のザジ』などで知られるフランスの巨匠ルイ・マルが1975年に撮った『ブラック・ムーン』。シュールすぎる変態性ゆえにフランスで未公開となったいわくつきの作品。
続いてはアメリカで300人以上もの市民を手にかけたと伝わるシリアルキラー、ヘンリー・リー・ルーカスの生き様をドキュメンタリータッチで描いた『ヘンリー』。くれぐれも“感情移入”なされないように。
『デス・レース2000年』で知られる異色の監督のポール・パーテルの処女作『プライベート・パーツ』。
幻想に満ちたアルメンドロスの魔術的映像美と神秘と魔性のメッセージを伝えるピンク・フロイドのテーマソングが夢幻的な『ラ・ヴァレ』。
妻と間男との戯れを覗き見る老紳士とそれに抵抗する妻の物語『ロベルトは今夜』。こちらは原作者であるクロソフスキー自身と妻が演じるという究極のスキャンダラスに挑戦したプライベートフィルムです。
ロシア・アヴァンギャルド最後のひとり“異端の作家”こと、ダニール・ハルムスの摩訶不思議な2日間を描いた異色中の異色作『ハルムスの幻想』。
あまりに性的かつバイオレンスな内容から、公開当時はメディアや評論家の酷評の嵐となった『血を吸うカメラ』。
映画史にその名を深く濃く刻んだ怪作『フリークス』をはじめ、サイレント期からトーキー時代にかけて多数の恐怖映画を連発した鬼才トッド・ブラウニング。その生誕140周年を記念した「トッド・ブラウニング傑作選」は、愛する女性のために自らの腕を切り落とす男をロン・チェイニーが演じたサイレント時代の傑作『知られぬ人』ほか5作品が上映されます。
そして、今回日本で初公開となる作品が『ウィッカーマン final cut』。出演したクリストファー・リーをして「この映画こそ、私の最高傑作だ」と言わしめた作品ですが、その過激すぎる内容がゆえに73年の公開当時は、まったく持って正当な評価を得ることのなかった本作。しかし、40年の時を経て、2013年にロビン・ハーディ監督が未使用のフーテージも使用し再編集し完成させたのが、公開バージョンより6分長いのがこの一本です。奇祭、土着信仰、生贄の儀式など、昨年話題をかっさらった『ミッドサマー』の元ネタのひとつとも言われる最注目のカルト作品です。
また公開初日となる8月29日(土)『ウィッカーマン Final Cut』の上映後には、映画評論家の滝本誠、柳下毅一郎のトークも予定されています。
フェスも花火もない今年の夏にヒリヒリとするほどの刺激をお望みなら、8月29日(土)から天外魔境と化す「新宿K’s cinema」へと足を踏み入れましょう。これを観たあなたは、もう普通の映画じゃ満足できない身体に……、なるやもしれません。
「奇想天外映画祭 vol.2 Bizarre Film Festival~Freak and Geek アンダーグラウンドコレクション2020」
日時:8月29日(土)〜9月18日(金)
場所:新宿K’s cinema
配給:アダンソニア
宣伝:岩井秀世
デザイン:渡辺純
字幕:林かんな(『ウィッカーマン final cut』)
協力:仙元浩平
「新宿K’s cinema」オフィシャルサイト