音楽好きにとって、ミックスCDはスペシャルなもの。デジタルが主流になりプレイリストが当たり前になったいま、ミックスCDの存在はより深さや奥行きを感じさせてくれるものです。
そして日本でレゲエといえば、夏や海、なんだったらタオルを振り回す姿なんかを思い浮かべるかもしれません。ただ、それとはまったく別のレゲエの世界があります。
今年の7月に公開された映画『RODEBOY The Story of Trojan Records(ルードボーイ トロージャン・レコーズの物語)』で映し出される世界がまさにそれで、1967年にイギリス初のレゲエ専門の音楽レーベルとしてスタートした「トロージャン・レコーズ(Trojan Records)」は、多くのジャマイカ人だけでなく、労働者階級の白人ユースカルチャーとも共鳴。
そこには日本のステレオタイプとは対照的な、硬派で尖りながらも甘くスウィートなレゲエの姿があります。
そんな「トロージャン・レコーズ」の音源を贅沢に使用した、DJ HOLIDAY a.k.a今里 from STRUGGLE FOR PRIDEのオフィシャルDJミックスCD。
その魅力伝えるのに、宮田信氏(BARRIO GOLD RECORDS / MUSIC CAMP, Inc.)と、LA在住フォトグラファーのSALVADOR HERNANDEZからのメッセージがすべてを物語っています。
6曲目に収録された「シン・ライン・ビトウィーン・ラヴ・アンド・ヘイト」で思わずニヤリとする。オリジナルはブロンクス出身のコーラス・グループ、ザ・パースエーダーズのヒット。だが、俺たち日本のチカーノ音楽フリークの間では、バリオ発ヒップホップのOG、キッド・フロストが92年にその名も「シン・ライン」というタイトルでサンプリングしたナンバーとしても良く知られる。フロストのヴァージョンはエモーショナルな女性コーラスにパチューコのサックスが絡みつくバリオ仕様。その甘さ、妖しさは、かの地で密かに継承されてきた蜜の味だ。ロンドンのジャメイカン、ロサンゼルスのチカーノ、その音楽嗜好の共通点には興味が尽きない。とにかく驚くのは越境者たちのコミュニティが創り出すカルチャーの強靭さとしなやかさだ。トロ―ジャンが始まった68年、NYでもジョー・バターンが『ライオット』、そして『サブウェイ・ジョー』をリリースしている。どちらの音もとびっきりロマンティック、だけどそこに一種の政治性も孕んでいることを忘れてはならない。一言でいえば越境者たちの「誇り」だ。今の時代に継承され伝播されている理由はまさにそこなのではないか。といつも思っている。ー宮田信(BARRIO GOLD RECORDS / MUSIC CAMP, Inc.)
As a Mexican or Chicano growing up in Los Angeles, oldies are deep rooted into our culture here. Even as a punk & street kid; soul and rocksteady were always apart of our music rotations. Imazato’s mix brings me back to a time of my youth where only today mattered. Songs like ‘Sitting in the Park’ or ‘Rudies All Around’ take me to a time where the burdens of life didn’t weigh down so heavily. These songs were always the calm before the storm and the soundtracks after the dust settled. Trojan Records was and will always be the sound of the youth.ーSALVADOR HERNANDEZ
オールディーズのスタンダード・カヴァーを多数収録し、ソウルにレゲエ、モッズファン全員注目の極上ロック・ステディーDJミックス作品。クリスマス前にリリースされるのも、ちょっとロマンチックです。