王道ブランドの定番品はやっぱりいい。定番と言われるだけあって歴史があるし、信頼できるスペックもあって、何歳になっても飽きない。でもこれはちょっと天邪鬼なひとに向けた連載企画。あのブランドの、実は知られていない、けどグッとくるものを紹介します。第5回目は〈バブアー〉のマイナーグッド。
Photo_Arata Suzuki
Styling_So Matsukawa
Text&Edit_Yuri Sudo
ブランドの定番品を語るときに、デザインではなく素材が前に立ってくるブランドはそこまで多くありません。パッと思いつくのは、プリーツのあそこと、オイルドの〈バブアー(Barbour)〉でしょう。今回は後者にフォーカス。
1894年にイギリスはサウスシールズで創業した〈バブアー〉ですが、ほどなくして生まれたオイルドのジャケットは当時紳士の必需品としてすぐにブランドの定番となりました。日本でもここ数年ファッション層から大衆にも広がってきましたが、そんな彼らが春夏に打ち出すアイテムは、実はオイルドとは程遠い雰囲気なんです。
ワンポイント ロゴ レイン ポンチョ
¥7,700
秋冬にブランド力を発揮する〈バブアー〉ですが、夏にはその技術力を生かしたこんなアイテムをつくっています。
こちらはフード付きのナイロン素材のレインポンチョ。つくりは至ってシンプルで、上からパっと羽織るだけ。大きめに設計されているから中にいろいろ着ていても干渉しないし、手足も自由に動かすことができます。持ち運び用の袋も付属しているから、これからの梅雨時期はもちろん、キャンプやフェスでも活躍するはずです。
カラーリングはイエロー、グリーン、ブラックの3色展開。ハードな天候の日に使うのだから、これぐらい能天気な色が気分です。
“JAPAN LIMITED” ナイロン パンツ
¥19,800
〈バブアー〉と言えば、カーキやネイビーなどの無骨なカラーリングが多い印象ですが、こんなビビッドなものもあるんです。こちらは日本限定モデルのナイロンパンツ。スペイ以上、ビデイル未満の着丈が特徴のジャケット「トランスポート」に合わせてデザインがされていて、ゆえに太腿まわりがややゆったりめです。同色のトランスポートもあるので、セットアップのようにして着ることもできるそう。
特筆すべきは、必要な機能が過不足なく備えられていながら、スタイリッシュだということ。ポケットは4つあるうえに、サイドポケットは表からジップが見えないフラップ付きなのが嬉しい。さらに裾にはドローコードがついていて、シルエットを変えればあらゆるシーンに対応できそうです。
“JAPAN LIMITED” ナイロン ショーツ
¥13,200
こちらはショーツバージョン。同じくトランスポートに合わせることを推奨しているアイテムです。太腿まわりを大きめにつくっているのでトランスポートのみならず、トップスとのバランスが取りやすいのが特徴。また、機能的なショーツはウエストの紐がだいたい外側についていますが、これは内側。シンプルに穿きこなせます。
パンツは4色展開、ショーツは6色展開と豊富なラインナップなので、ご自身のクローゼットと相談しながら決めましょう。
〈バブアー〉でカラフルなナイロンアイテム。意外に思えるかもしれませんが、歴史を少し振り返ると納得するはず。
創業当時から、北海に面した厳しい気候で働く港湾労働者のために雨風をしのぐアウターウェアを提供してきた〈バブアー〉。また、時代が変わってもなお、乗馬やハンティング、フィッシングなどのタフなアクティビティに合わせたプロダクトを生み出したという背景もあります。
だから形は違えど、悪天候やタフな状況に耐えうるアイテムを生み出せるのは当然のこと。冬だけではなく、春も夏も〈バブアー〉はぼくらを守ってくれます。
ロケ地メモ:映像業界で働く夫婦の家のベランダ。数週間後にマンションが撤去になる。