DESIGN UNDERGROUND 家電蒐集家・松崎順一の正体とは?
2013.05.20
-Skatethingさんから直々に依頼が来たんですか?
松崎: そうなんです。もうビックリ。〈C.E〉の期間限定のポップアップストアを渋谷公園通り店で展開するということで、メインディスプレイを全部僕がやらせていただいて。それからも、不定期ですがBEAUTY&YOUTHさんをはじめ、ユナイテッドアローズさんとも色々お仕事させていただいてます。
-実際スケシンさんにお会いしていかがでした?
松崎: すごく楽しい人ですね。お互い妥協しない性格なので何回も打ち合わせして、ここまでやりましょうって意気投合しないと、GOしないんです(笑)。家電の演出をするときはとことん詰めますね。こういうのをやったら面白いんじゃないか、とか。今年もまた何か違う形でご一緒できればいいなと思っています。
-ディスプレイの仕事を機に急速的に広がりましたね。
松崎: 本当にそう思います。家電蒐集の前がディスプレイや展示の仕事が本業だったので、家電を集めてどう見せたら面白いのか考えるのが楽しいんです。僕はコレクターではないので、集めて、それを現代にどう活かせるか、活かすか、というのを考える方が好きで。そういう意味では、昔の仕事と今の仕事が上手く融合して現在に至っていますね。
-22年間の会社勤めは決して無駄ではなかったと。
松崎: その経験が基本的にベースにあって、家電蒐集の仕事に結びついていますね。現在も色々とプロジェクトを進行中なんですけど、全部インテリアとディスプレイが連動していて、集めた家電やサイズとかも向こうの担当の方と図面を見ながらレイアウトを考えたりとか、その場で全部できちゃうので。昔のことが活きている証拠ですね。
-進行中のプロジェクト、聞いてもいいですか?
松崎: 大きなプロジェクトで言うと、2013年6月に東京ガスの大型ショールームが、横浜みなとみらいにできるんですね。その中に「比べるハウス」というのを作っていて、現代の家の快適さと80年代の家の快適さを比較するというものなんです。この実体験型ハウスは、当時の部屋ってこうだったっけ、なんか快適じゃないな、みたいなのを80年代の部屋に入って感じてもらう。その次に現代の部屋に入って、今のテクノロジーはこんなに進化して快適なんだ、というのを体感してもらうという。僕はその中の80年代家電のセレクトを全部任せてもらっているんです。ちゃんと家族構成があって、ポットとか冷蔵庫も主人はこういう趣味でこうだから......とか、子供の趣味はこうだからファミコンのソフトはコレとか。そういうのを生活の中に落とし込んでから家電をセレクトしています。今ちょうど集めていて、ちゃんと使える状態にして納品するんです。
-かなり細かいですね。
松崎: そうなんです。家族の趣味趣向が分かって、かつ良いものをセレクトして提案するんです。その方がより当時のリアル感が増すでしょ。あと、テレビ局とかドラマの演出の仕事も増えましたね。ドラマの中で昔の家電が必要とされることって結構多くて。80年代のドラマを再現することとかよくあるじゃないですか。でも昔の家電って調達する人がいないんですよ。現代だったら何でも揃いますけど、さすがに当時の細かい家電までは舞台美術屋さんには残っていないみたいで。そうすると僕のところに来るんです。ちょうど2年前にフジテレビで80年代に起こった大韓航空機爆破事件の特番があったんですけど、事件の犯人(金賢姫)が機内に仕掛けた爆弾っていうのが、当時の〈パナソニック〉のポータブルラジオで。その再現ドラマを作るために、犯人が仕掛けたラジオから、彼女が泊まったホテルのテレビや家電を全部集めました。
-見つかりました?
松崎: はい。テレビ局内では誰もが無理だって言っていたそうなんですが、一週間で同型のものを見つけました(笑)。あとバラエティ系で言えば「アメトーーク」とか。家電芸人特集で、芸人たちが昔使っていた家電を集めてスタジオに持っていく仕事とか。もう家電を使う仕事であればなんでもって感じですね(笑)。