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ティム・バーバー"僕は僕にしかできないことをやっている" 聞き手:菅付雅信

2012.12.13

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「バランスは考えているけど、システムなんかは存在しない」。

-ライアンは当時、どのようにハードな仕事をこなしていたのですか?

ティム: 本当にすごかったよ...。あの頃は僕もライアンもまだ若くて、撮影にものすごい情熱を注ぐと同時に、毎晩パーティに明け暮れているような感じだった。今の彼はプロとして作品を作ることに集中するようになったね。本当に、仕事に対して熱心な人だ。

-彼と撮影のために旅行へ出掛けることも?

ティム: ああ、『ニューヨーク・タイムズ』でアメリカのオリンピック選手を撮影するシリーズも撮影していたからね。彼の初めての撮影旅行にも同行したんだ。すごく素晴らしい時間だった。ただ、例の洞窟での撮影には参加しなかった。あれに関して言えば、あまり羨ましい気持ちはないね。見るからに大変そうだったし。

-先日、ライアンに取材をした時も、当時の大変さを語っていましたよ。ところで、あなたが子どもの頃、特に魅力を感じた写真にはどんなものがありましたか?

ティム: 僕の両親も、学生の頃は同じように写真を勉強していた。結局、フォトグラファーにはならなかったんだけど、彼らはアマチュアのフォトグラファーだったと言えるかもしれない。家にはたくさん写真集があったよ。

-大判のカメラも家に?

ティム: 僕の両親は小さいカメラをたくさん持っていたね。家にはとても魅了的な本があって、『In Our Time』っていうマグナム・フォトの歴史を一冊にまとめたものなんだけど、僕はそれにすごく興味を引かれたんだ。他にも、ロバート・フランクの『The Americans』や、リー・フリードランダーの『Self Portrait』は、写真に興味を持ち始めた頃によく見ていた写真集だね。あとは、『ナショナルジオグラフィック』なんかも好きだったし、スケートボードやスノーボードもやっていたから、そういう類いの雑誌も見ていた。そのうち、自分でもスケーターやスノーボーダーの友人を撮影するようになったんだ。

-ラリー・クラークやナン・ゴールディンといったドキュメンタリーフォトグラファーには、影響を受けたりしましたか?

ティム: 若い頃は彼らのことを大して知らなかった。ラリー・クラークの『Kids』を観た時はすごく影響されたけど、当時は彼の写真についてはまったく知らなかった。ナン・ゴールディンについても、高校を出た後、アートスクールで学んだんだと思うよ。

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-あなたはその後、「Tinyvices」というウェブサイトを立ち上げましたね。フォトグラファーとしての活動も同時期に始めたわけで、写真家であり編集者でもあるというのはなかなか大変なのではと思うのですが。

ティム: おそらく、何に関してもそうなんだけど、時間を見つけてはなんとかやっている感じだね。バランスは考えているけど、システムなんかは存在しない。ただ両方、やってみているだけさ。2年程前に、フォトグラファーとしての活動に集中するために「Tinyvices」のプロジェクトを一旦中断しようとも思ったんだけど、今またデザインも、コンセプトも一新しようと思っていて、すぐに動き始めるよ。多分サイトが色々と変わって、これまでとはまったく違ったものになると思う。それがすごい楽しみだね。来年の頭には再開できればいいんだけど...。

-それは楽しみですね。どのように変わるのか、差し支えなければ教えて欲しいのですが。

ティム: デザインもそうだけど、編集の仕方も変えて、新しい機能を加える予定。複雑だけど...まあやってみるさ。

-「Tinyvices」は、他のエディターと共同で運営してるのですか? それとも、あなた一人で?

ティム: オーガナイズは僕自身でやってるよ。世界中のアーティストとコンタクトを取りながらね。

-「Tinyvices」では、あなたはフォトグラファーではなく、キュレーターとしての役割を担っている訳ですが、この2つの考え方の間で、どのようにバランスを保っているのでしょうか?

ティム: うーん、僕はおそらく、まったく一緒というわけではないにしても、この2つはすごく近いマインドにあると思っているんだ。キュレーティングは誰かと一緒に撮影や編集を行うけど、僕にとってこれはエクササイズに近い。自分の作品作りの時にも頭の同じ筋肉を使うわけだけど、その場合はもっと、その筋肉を強く使う感じかな。2つの役割を同時に行うことで、それぞれ刺激し合っている。写真において編集は不可欠なプロセスだけど、僕は自分の写真を編集していても、どこか他人の作品を編集しているかのように感じる。だから使っている頭の筋肉は近いよね。

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