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どらま道。「まほろ駅前番外地」スタート記念!

2013.01.18

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一昨年公開された映画「まほろ駅前多田便利軒」の跡を継ぎ、今年1月より公開されているドラマ「まほろ駅前番外地」。映画では表現しきれなかったエピソード、そして作品内に漂う絶妙にゆるいムードを作品に落とし込むのは、ドラマ界の深夜番長、大根仁監督。意外?なところで大根氏と繋がっているライター渋谷直角氏が、大根氏の征く「どらま道」について切り込みます。

Text_Chokkaku Shibuya
Photos_Erina Fujiwara
Edit_Ryo Komuta

大根仁 Hitoshi one
1968年東京都生まれ。演出家・映像ディレクター。「モテキ」「湯けむりスナイパー」などのテレビドラマ、いきものがかり「KISS KISS BANG BANG」フジファブリック「夜明けのBEAT」などのPVや舞台演出を手掛ける傍ら、コラム執筆、イベント主催など幅広く活動する。監督・脚本を手掛けた映画「モテキ」が2011年に公開し大ヒット。最新作となる連続ドラマ「まほろ駅前番外地」はテレビ東京系で放送中。

渋谷直角 Chokkaku Shibuya
ライター/まんが。シブヤパブリッシングブックセラーズ(SPBS)のZINEシリーズで 「チョッちゃんジャーナル」という32P書き下ろしのZINEを1月末に発売(店頭とウェブ通販のみ)。雑誌『食べようび』(1月19日発売)にて、まさかの料理連載「俺のここぞ飯!」スタート。「直角の友達の店」で入手できるフリーペーパー『直角主義マガジン』第2号が久保ミツロウさん特集で配布開始。

テレビでやるなら、もう少し安くて美味しい店の匂いを漂わせようかと。

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-どもです~。よろしくお願いします。

大根: よろしくお願いします。

-えっと、たぶんこのインタビュー記事のアップ日が、ドラマの1話めか2話めか、その間くらいになります。僕が順調に原稿を上げれば...。

大根: あなた、順調に原稿上げてくれないじゃん(笑)。

-はあ、まあ。

大根: ハニカムのブログ、なんでやんないの?

-うは(笑)。や、なんか...こう、フイナムと連動企画でやろうと思ってたんですけど、ちょっと色々あって。

大根: そうなの? 競合なの? フイナムとハニカムは。

-や、違くて、ちょっとフイナムのブログの方で諸々あって...。そうこうしてたら、ハニカムの100日が終わっちゃって(笑)。

大根: そうですよ。「コイツ、何しに来たんだろう?」と思って(笑)。頼みますよ。俺、孤軍奮闘ですよ。あのオシャレサイトの中でどうやってふざけたらいいんだ、っていう(笑)。ふざけそうな人もあんまりふざけてなかったりするでしょ。みんな割とマジメな感じで書いてますよね。

-大根さんのハニカムブログ、ファッション好きの人たちからリアクションあります?

大根: ないですよ(笑)。黙って見てるんだろうなー、って。見てます! とも言いづらいでしょうけど。普通の人にはたまに言われますけどね、小声で(笑)。まあ、とにかく早く書いてくださいよ。

cf_mahoro_sub03.jpg ©「まほろ駅前番外地」製作委員会 2013

-がんばります。で、今日はドラマ『まほろ駅前番外地』なんですけど、まず三浦しをんさんの原作(まほろ駅前多田便利軒)があって、映画があって、で、今回のテレビドラマがあって、ってことですよね。最初からそれは決まってたんですか?

大根: 最初は特に(ドラマをやるのは)決まってなかったんじゃないですか。リトルモアの孫さんって社長が、映画版のプロデューサーなんですよ。有名なとこだと『東京タワー(東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜)』とかやってる方で。それで大森立嗣さん、大森南朋さんのお兄さんですけど、大森さんが映画を監督されたんですけど、原作が基本オムニバスなので、孫さんが「まだコレ行けるんちゃうか」っていう(笑)。

-そういう流れで。

大根: で、これどう書いちゃってもいいですけど、映画がそんなに、思ったよりヒットしなかったんですよね。

-あ、そうなんですか。

大根: だから続編をやるにせよ、もう1回話題作りをしたい、みたいな感じで。それでテレビドラマにするっていう話が出てきたんだと思う。

-それで大根さんに来たんですね。僕、映画も良い作品だなーと思ったんですけど。

大根: うんうん。

-あれをまた、さらに継いでドラマにするっていうのは、最初どういう風に感じるものなんですか?

cf_mahoro_sub04.jpg ©「まほろ駅前番外地」製作委員会 2013

大根: まあ、原作を読んで、大体、(原作の)美味しいところはほぼ映画に使われてて。使われてない面白い部分もいくつかあったんだけど、ちょっとテレビドラマ向きじゃないなと思ったんですよ。でも、やっぱり瑛太と(松田)龍平の2ショットってすごい魅力があるから、あの二人で、便利屋の設定っていうのを守ってれば、好きにやれるかなと思って。それで孫さんに「オリジナルで書きたい」って言って、三浦さんにも許可をいただいて。最初に2本くらい脚本を書いたのかな。第1話のプロレスのやつと、もう1本。それを三浦さんに読んでもらって、「これなら面白いです」って感じで。

-へえ~。じゃあ、大根さんにお任せな形で。

大根: 映画もすごいよくできてたんですけどね。なんだろうな、当たらなかった理由っていうのはたぶん......、ポップさというか、ちょっと偏差値が高い感じがあったのかもしれないですね。アスミックエースで全国公開の割には、単館映画臭が漂っていたような。

-そうですね。ちょっと淡々とした雰囲気の...。

大根: うん。テレビも映画もそうだと思うんだけど、観客って、パッと見のビジュアルで色々と見抜くんですよね。自分が入っていいお店なのかどうか、っていうのは。

-少し敷居が高かった...?

大根: って、見えたんじゃないのかな~、と。俺も公開して観に行くまで、二の足踏んでたところありましたからね。孫さんの映画だし、あの二人だし、観なきゃとは思ってたんですけど、ちょっと入りづらいムードは感じてて。だからテレビでやるんだったら、やっぱりもう少し安くて美味しい店の匂いを漂わせよう、というか(笑)。

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-じゃあ、結構「俺ならこうする!」みたいなやりがいを?

大根: ああいう「バディ物」(※キャラの違う二人が、一緒に事件や問題を解決するもの)って......、たとえば『傷だらけの天使』とか『探偵物語』っていうのは、ねえ。やっぱり、男でこの業界に入ったものなら、みんな一度はやりたいと思うんですよ。でもみんなアレを目指して、やって、コケていくっていうか(笑)。まあ、とはいえオリジナルのエピソードを作るっていうのはなかなか難しかったですけどね。5~6本、こういうのやりたいな、ってストックはあったんだけど、そっから先はひねり出して。原作のエピソードを借りたりして作ったんだけど。第1話って、観ました? どうでした?

-観ました。面白かったです。映画の良さもありつつ、ちゃんと大根さんらしくなってる!という。

大根: 第1話はねえ、ピエール瀧さんが実際に体験した話で。スタンガン高村って、静岡の同級生が未だにインディーズでプロレスラーやってて、それの引退試合にリングアナとして出てくれ、って言われてやったら、結局引退しなくて騙された、っていう話で(笑)。スタンガン高村の奥さんまで騙されてたっていう。あれすげえ良い話だな、ってずっと思ってて。

-『メロン牧場(電気グルーヴのメロン牧場―花嫁は死神)』に載ってたエピソードですね。

大根: ......まあ、あれを良い話だって思う人も少なかったかもしれないけど(笑)、ずっと、「ドラマ化したい、誰にも取られませんように」って思ってたんだけど、そんな人はさすがにいなかったみたいで(笑)。電気グルーヴは知り合いなので、瀧さんに「使っていいですか?」って訊いたら、「良いも何も、高村がいいならいいよ」って。

-だから、「スタンガン西村」と、宇梶剛士さんの役名が「瀧」って...。

大根: そうそう。エンドロールにも「スペシャルサンクス:電気グルーヴ」って入ってて。知らない人にはワケわかんないんだけど(笑)。

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