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どらま道。「まほろ駅前番外地」スタート記念!

2013.01.18

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1人語りを撮りたくないのかもしれない(笑)。

-その、1話の脚本書くのって、エッセイ1本書くとかマンガ1本描くのとかと近い感じなんですか?

大根: マンガ描くのに近いんじゃないですかね。脚本がたぶんネームにあたる作業で、現場がペン入れって感じじゃないですか。だからネームが面白くないことには、作品が面白くなるわけがない、っていう。

-じゃあ、苦しみまくり?

大根: そうですね。でも、現場は全然ツラくなくて。昔は現場がイヤだったんですけど、今は現場がどんどんラクになってますね。それはカット割りをしなくなったとか、自分のやり方みたいなのができていったからなんですけど。昔は従来のドラマ作りのシステムっていうか、ちゃんとカット割りして、それに準じてスタッフが撮っていくとか、そういうルールが堅苦しくて、そういったものを、ちょっとずつですけど、常識とされてるものを外していって。「もう、カット割りとかいいんじゃね?」みたいに(笑)。そうするとだいぶラクになりましたね。

-逆に脚本がどんどんシンドく?

大根: そうですね。現場が楽になったぶん...。昔、現場がツラかったのは、他人が書いた本がつまんなかったから(笑)。撮影って大変なんで、1本ドラマに入ると、4時起き5時起き、終わるの終電とか、そういう世界が3ヶ月とか毎日続くわけですから。現場のスタッフはね、脚本ぐらい面白くないとやってらんねえ、っていう(笑)。自分で書いてつまんないのは、まだ納得いくじゃないですか。

-そうですね。

大根: 昔はゴールデンもやってたんですけど、ゴールデンのドラマはやっぱり分業制がハッキリしてて、脚本とプロデューサーが本を作るものであって、監督がガッツリ内容に関わったりとか、たくさん口を出したりとか、キャスティングの権限とかって、そんなにできないんですよね。今は割と、自由にやれてる人もポツポツはいますけど。通常はそういうもので。

-へえー。

大根: そういうのが俺はイヤっていうか...、別に作家性が強いとか、オリジナルなタイプってワケではないですけど、もっと自由にやりたいな、っていう。そうするとどんどん......、時間が深夜になっていって(笑)、テレビ局もどんどん端っこの方になっていって(笑)。

-ははは。

大根: テレ東の深夜っていう、辺境の地に辿り着きました(笑)。

cf_mahoro_sub11.jpg ©「まほろ駅前番外地」製作委員会 2013

-大根さんのモチベーションとしては、またいつかゴールデン、とかってあったりするんですか?

大根: まあ、『モテキ』以降、そういう話もあったりしましたけど...、やっぱ他人のは、「脚本がつまんねえ!」っていう(笑)。他人が書いた脚本ってアタマに入ってこなくなっちゃったんですよねえ。何が書いてあるのかすらわかんない(笑)。マズイですけどね、こんなふうに自由にやれる状況がいつまでも続けられるとは思ってないんで......。

-こういうのはやらないようにしてる、とかあるんですか?

大根: 仕事で? ミステリーとかはやらないかなあ(笑)。王道の事件解決みたいな、みんながいる前で謎解きするじゃないですか。あれがキツくて。説明の再現シーンとか、もうギブって感じで(笑)。

-ああ、そこも1人語りですよね。

大根: そうだね。1人語りを撮りたくないのかもしれない(笑)。そんなこと日常にないしなあ、っていう。

-『キーチ!!』とか『ワールド・イズ・マイン』描いてる新井英樹さんも、(ストーリーの進行的に)都合の良い会話は絶対描かない、って言ってて。リアルの日常ではもっとみんな適当に話を聞いてるし、長々と喋るなんてことはないし、訊いてる方も好き勝手なこと喋るし、っていう。

大根: うん。難しいんですよね。良くできた自分語りっていうのもあるんですけどね。山田太一先生とかすっごい上手いし。あの先生ぐらい上手ければ撮ってみたいですけどねえ。

-技術の問題なんですかね。

大根: 技術の問題と気持ちの問題じゃないかなあ。説明になりがちですしね。心情吐露になってないというか。山田太一さん、もう連ドラ書かない、って仰ってますけど、最後の連ドラとされてる『ありふれた奇跡』で、4話くらいだったかな? 加瀬亮くんが、何らかの過去を抱えてて、仲間由紀恵にそれをなかなか言えなくて。要は、昔あることで自殺未遂をして、鬱になって入院してたことがある、っていうのを、台本で言うと2ページくらい、1人語りで言うところがあって。あれは素晴らしかった。やっぱり。

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-へえー。『ありふれた奇跡』、見てみます。

大根: うん。あの一人語りは良いですよ。

-えーと、じゃあ......、フイナム読者の皆さまに、番組のみどころを(笑)。

大根: ええ~っ(笑)!? 急にそんななんだ(笑)!? なんだろなあ...。

-でも、あの二人が立ってるだけで、すごい画として魅力がありますよね。

大根: そうですね。なんかいつも視聴者目線っていうか、自分が見たいものを基準に作ってて。自分は一応、大人の男じゃないですか、子供っぽいけど(笑)。で、大人の男に向けて、っていうのを基準にして、『まほろ』は作ってるんですよ。

-はい。

大根: それは今の視聴者層的には真逆を向いてることでもあって。大人の男、「M3」といわれる層は一番テレビ見てない世代で。テレビって、今は大体若い子と、おばちゃんと、老人子供しか見てないんです。深夜なんてそれこそ若い子しか見てない。でも、男の人たち、中年の男に一番見てほしいんですよね。あと、自分なりのこの作品へのチャレンジとしては、初めて「自分なりのBL」をやってみた、っていう(笑)。

-確かにその匂いは感じますね。......あっ、じゃあ第1話がプロレスっていうのは...。

大根: そうそう。俺の中で許せるBLをやってみた(笑)。今後も、見てればだんだん匂ってくると思いますけどね。二人でごはん作るシーンとか撮りましたよ。『きのう何食べた?』的な(笑)。

-それで、腐女子層も......。

大根: 取り入れたい、っていう(笑)。

-男の人には、二人の格好良さを見せて?

大根: そうですね。今回、その両立がうまく、ちょっとはできたような気がするので。女の子が見ても...、いつも俺が作るのは男臭いのが多いんですけど、今回は女子が見ても大丈夫......、な気がします(笑)。

-でも『モテキ』なんかは女の子ウケしてたんじゃないですか?

大根: あれはビックリした。まさか女の子にウケると思ってなくて。自分的にはAVを撮ってるぐらいのつもりでいたので、これは女子にはドン引きされるだろう、って思ってたんですけどね。なんですかね。やっぱり原作の力かなあ。いまだによくわかんないですよ。女子高生にも言われたりして。思わず「どこが良かったの!?」って訊いたら、「だって超笑った~、超バイブルっすよ~」って(笑)。

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