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PUNKROCK BELIEVERS 緊急掲載!パンクロックに魅せられた男達

2014.06.02

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「Ken Yokoyama」や 「SA」といったパンク界の雄から「04 Limited Sazabys」や「NOISEMAKER」のような若手の成長株までが出演者として名を連ねる『SATANIC CARNIVAL'14』。その中、大きな存在感を放つのは「マキシマム ザ ホルモン」に代表される中堅バンドたち。彼らは、日本のパンクシーンが1990年代後半に大きなうねりをもって盛り上がっていく光景を目の当たりにした世代。偉大なる先輩たちに憧れて楽器を手にし、彼らから多大な影響と恩恵を受けると同時に、独自のアイデンティティを確立しなければこのシーンでは生き残っていけない。そんな危機感に胸にもがき続けてきたバンドが多いのも特徴だ。今回は、そんな世代を代表してTAKUMA(「10-FEET」ボーカル&ギター担当/1997年結成)、JOJI(「dustbox」ベース&ボーカル担当/1999年結成)、NOBUYA(「ROTTENGRAFFTY」ボーカル担当/1999年結成)に登場頂いた。〝同期〟3人にこれまでのバンド人生を振り返ってもらい、今後の野望を語ってもらった。

「俺らの世代を、シーンをちゃんと見てくれよと思います(JOJI)」

-3バンドとも試行錯誤しながら'00年代を駆け抜けてきて、今も最前線で活動されてますけど、これまでどんなバンド人生を歩んできたんですか?

JOJI:うちはもう言い方悪いですけど、儲けモンみたいな感じでやってたんで。

-儲けモン?

JOJI:すごい紆余曲折だったんですよね。「ロットン(=ROTTENGRAFFTY)」も「10-FEET」もそうだったと思うけど、東京にライブハウスがあることすら知らないから、地元のちっちゃい公民館みたいなところでやってた時にいきなりデビューが決まって、メジャーから出して。で、メジャーでコケて、「もう解散しよう!」って覚悟を決めて、それで『triangle』(2ndミニアルバム)っていう音源を作る時に、「好きなことをやってやめよう」ってことで、全部英詞でやったんですよ。そうしたら数字が伸びてくれて、それがあったから食いぐことができたというか。そこから凄い友達の数も増えて、「音楽って楽しいんだなぁ」と思うようになって。だんだんフェスとかに呼ばれるようになりました。だから、ウチラの中では「dustbox」っていうバンドは一度終わってたんですよ。基本的にいつでも辞表は胸にはあるんです。だから、怖いものはないですね。売れて当たり前とか一度も思ったことないし。「なんでうち、こんなにお客さんがいるんだろう?」って今でも思いますし。

-お二方はどうですか?

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NOBUYA(ROTTENGRAFFTY)

NOBUYA:僕らは結成した時に決めてたことがあって。地元・京都でライブやる時は、動員100人切ったら解散。1年以内にレーベルが決まらなくても解散っていう。それまでにメンバー各自バンドをやってたんで、そこで得たモノを「ROTTENGRAFFTY」に全部つぎ込もうと。でも、ライブハウスで泥臭く活動していくやり方は知ってたんですけど、いざメジャーに放り込まれた時に、メジャーってものについて何も分かってなくて順応できず期待されてたこともまったくできなくて、凄い卑屈になって。メジャーに対して中指立ててたものが、だんだん立てられなくなったんですよ。だから、端から見たら「チャラいバンドやな」って思われてたかもしれない。「ダスト(=「dustbox」)」ともその頃に出会って、JOJIからもはっきり「あの頃のロットン、嫌いだった」って言われたし。

JOJI:大嫌いでしたね(笑)。

NOBUYA:それで、どん底まで落ちていったときに、いろんなことに気づくきっかけになったバンドが「10-FEET」ですね。僕らは仲間を作ることをしてなかったし、全員敵やと思ってたんで、「10-FEET」から学んだことがいっぱいありました。それは、僕だけじゃなくてうちのメンバー全員がそう思ってて。何回も助けてもらったし。

TAKUMA:もうちょっと大げさに褒めておいて(笑)。

NOBUYA:...でも、根本的には嫌いなんで(笑)。

一同:(爆笑)

NOBUYA:でも、(再起の)きっかけをもらったのは確実に10-FEETですね。

-そう言われてますけど?

TAKUMA:いやいやいやいや(笑)。

-CDデビューした翌年'02年にシングル『RIVER』がヒット。そして、そこから1年も待たずにメジャーデビューを果たして、今では大型ロックフェス『京都大作戦』を主催するまでになった「10-FEET」は、端から見てると着実にステップアップしているように見えたんですけど。

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TAKUMA(10-FEET)

TAKUMA:僕はバンドをやる前までは、閉鎖的な人しか知り合いがおらへんかったんです。けど、服屋さんのイベントかなんかで、バンドやってなかったら会えへんようなイケてる人たちと知り合えるようになったんですよ。(「10-FEET」のメンバーの)KOUICHI(ドラム&コーラス担当)とNAOKI(ベース&ボーカル担当)もバンドやってへんかったら絶対仲良くなってないような人種で。で、3人でできる範囲内のことをやって盛り上がるのが楽しくて、1年間で仲間をどこまで増やしていけるかっていうのを目標に25歳ぐらいの時に上京して今に至るという。だから、「ロットン」とか「ダスト」もバンドやってなかったら、絶対に仲良くなってなかった。でも、今は一緒に過ごしてきた時間もたくさんあるし、絆もあるし、よかったと思うなぁ。今やバンドやっていく理由のひとつやからねぇ、"仲間"って。

―そういう思いを根っこに持ちながらここまで来たんですね。

TAKUMA:今もそうですね。作曲して、ライブやって、みんなが盛り上がってくれて楽しいっていうこと以外にも、仲間がおるからできる。後ろ向いたら不安なこともいっぱいあるけど、みんなも同じもん持ってるから怖さは減るし、勇気出てきますよね。

-ところで、お互いのバンドに対して最初はどう思ってたんですか?

TAKUMA:"嫌い"以外に(笑)?

JOJI:「ロットン」と「10-FEET」は俺らに友達がいなかった時に初めて会ってるんですよ。「ロットン」の第一印象はただ単に怖い連中。メンバーも多いし、ややこしい(笑)。みんなスーツ着てるし、全然分かんないと思って。「10-FEET」と初めて会ったのはたぶん、高田馬場のライブハウス・PHASE。ちょうど「10-FEET」の名前が知られ始めた頃で。ライブ観ながら俺は鼻くそほじってましたけどね。「ふーん」つって。

TAKUMA:あははは!

-それはなんとも意識してなかっていなかったのか、それとも、嫉妬混じりだったんですか?

JOJI:なんとも思ってなかったっすね。俺は基本的に、ライブを観て「こいつらすげぇ!」とかは思わなくて、打ち上げとか楽屋で確かめ合うのが好きなんです。だから、「10-FEET」もその日の打ち上げで「この人たち、すげぇ面白ぇな!」と思って仲良くなったんですよ。

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JOJI(dustbox)

-ロットンはいわゆるパンクシーンとは違うところにいましたよね。

NOBUYA:ぶっちゃけて言うと......めっちゃ付き合い長いですけど、僕はTAKUMAともJOJIともガチで喋ったことないんですよ。2人とも一本筋が通ってるんですよね。もちろん俺にもあるけど、俺の筋はTAKUMAもJOJIもめっちゃ嫌いやろうなって。

JOJI&TAKUMA:あっはっはっ!

TAKUMA:この男はホンマ本音で喋らへんからね(笑)! でも、なぜ喋らへんかっていったら、たぶん本人も分かってると思うんやけど、たくさんたくさん誤解を生む人だからなんですよ(笑)。(語気を荒げて)でも、実はそこが凄い魅力的な人なんですよ。でも、喋ると誤解を生むんですよね(笑)。

NOBUYA:俺、2人のことをすげぇ尊敬してるんですよ。どのバンドにもメンバーのど真ん中でドン!ってしてる人がいるじゃないですか。TAKUMAもJOJIもそれなんですよ。メンバーのことをうまくコントロールしてるし、仲の良いバンドマンに対して窓口になったりしてるし。俺はそういうことが苦手で。この2人はどつき合った後に「ああ、NOBUYAの言ってること分かるわ」って言ってくれると思ってるんですけど、まだどつき合ったことないからいっぱい誤解を生むやろうし、今喋ってても生むと思う。

-TAKUMAさんに向けてNOBUYAさん、じとーっとした目で見てますけど。

TAKUMA: JOJIとNOBUYAを見てて、僕が「そういう想い、絶対大事にしていこう」って思うのは、2人とも「自分以外、全員死ね!」って思ってるところなんですよね。もちろん、ホンマに死ねとは思ってないんですよ! その「死ね」には愛もあって。「どうせお互いそう思ってんだろ?」っていうことを踏まえた上で仲良くなってるところが格好いいんですよね。でも、大人になってだいぶその感じを出さずに喋ることを覚えてるから、さっきから話を聞いてて気持ち悪いんですよ(笑)。

NOBUYA:この3人が同期じゃなかったら......もし、俺が2人の後輩やったら仲良くなれてると思うんですよ。絶対慕ってると思うんです。「こんなことあったんですよ~」って相談しに行くだろうし。でも、同期やから無理なんですよ、俺が意地張ってるから。

JOJI:そうだね。だから、この3人っていうチョイスは今現在もちょっとくすぐったいんですよ(笑)。

-繋がりという話で言うと、ダストは去年6月、「HAWAIIAN6」や「locofrank」と3WAYスプリットアルバム(『THE ANTHEMS』)をリリースしたじゃないですか。あれも、「繋がりそうで繋がってなかったところがついに!」っていう出来事でしたよね。

JOJI:まったく繋がってませんでしたからね。あの2バンドもクセが凄いじゃないですか(笑)。でも、好きだからこそ時間をかけたいっていうのはありましたね。音源を出すことが決まった時だってそんなに仲良くなかったんですよ。むしろディスってたぐらいで。でも、音源を出してツアーを回った時に分かったものがありましたね。ちょっと照れくさいんですけど、達成感はありました。

-ジャンルや世代間の壁を取り払ったのは「10-FEET」主催の『京都大作戦』の存在も大きかったんじゃないでしょうか。「10-FEET」でなければできない出演者の組み合わせです。

TAKUMA:そうですかねぇ(笑)? なんつって。いやいやいや。そういう部分ではあるかもしれないですけどね。あの辺は、独特な腐れ歴史がありますから。

-そして、最近のロットンの活躍はいろんなバンドに勇気を与えてますよね。

TAKUMA:バリバリ与えてると思う。

NOBUYA:そうなってたら、いいんですけどね。

TAKUMA:CDの帯に"いくつや思てんねん!"って書いて欲しいもん(笑)。

NOBUYA:40手前やで(笑)。

-今の「ロットン」の快進撃を見てると、最近CDが売れないなんていう泣き言は言えなくなりますね。

NOBUYA:ありがたいですよね。10年前ぐらいにファンでいてくれたヤツがまた戻ってきてるんですよ。「わ、こいつらやめてへんかったんや!」っていう人も、「子供連れてまたライブハウスに戻ってきました」っていう人もいるし。それがめっちゃうれしいですね。

-みなさん、シーンのこれからを本格的に担っていく存在になると思うんですけど、今後の目標はありますか?

NOBUYA:「dustbox」、「10-FEET」、「ホルモン(=マキシマム ザ ホルモン)」、「ハワイアン(=HAWAIIAN6)」、「ロコ(=locofrank)」、「グッフォー(=GOOD4NOTHING)」、この辺のバンドはほぼ同期やと思ってるんですけど、こいつらに「ロットン、行ったな!」って思わすために続けてる、みたいなところもあるんで、あんまりシーンのことは考えてないですね。そこは「ロットン」を始めた時の気持ちとあまり変わってなくて。それがないと命懸けてバンドなんかできへん。俺らは今名前を挙げたバンドに2歩も3歩も先を行かれたんで、まずコイツらをねじ伏せたいっていう気持ちだけで俺は歌ってるのかもしれないです。これ、誤解を生むかもしれないけど、本音です(笑)。

JOJI:じゃあ、俺も誤解を生むかもしれないっていう体で話すけど(笑)。

TAKUMA:生んでいこう(笑)。

JOJI:「ロットン」にはシーンを引っ張っていってもらいたいし、「俺らのロットン舐めんなよ」って思う気持ちがあるんですよ。とあるラウド系のバンドが言ってたんですけど、「(「ROTTENGRAFFTY」は)もってあと何年だな」って。いや、そうかもしれないですよ? でも、「Hi-STANDARD」が作ってくれた俺らのシーンは爆発的にはなってないですけど、一生続くと思ってるんですね。だから、今の時点で「あと何年」とか言ってるようじゃダメなんですよ。「ロットン」とか「10-FEET」とか俺らの世代を、シーンをちゃんと見てくれよと思います。

TAKUMA:「ダスト」も「ロットン」もメジャーやったけど、メジャーかメジャーじゃないっていうのは関係なく、今が一番いい時期っていう状態を作り上げてる。これで勇気をもらったバンドマンが日本にどれだけいるかと。みんなね、心のどこかにあると思う、「60歳までこのノリでできるのかな?」って。できるかもしれない。60歳ぐらいになって、誰かがその時一番売れてる20歳前後のバンドをぶち抜いていったら、日本のバンド好きのオヤジが全員元気になると思うんですよ。そういう前例と勇気ひとつでいくらでもシーンは続くし、大きくなっていく。スキャットマン・ジョンぐらいの年齢になってから世界で一番ヒットするぐらいのことを俺らのうちの誰かがやってくれたらなっていうのは夢かな。

-自分たちでも作りたいって気持ちはあるんですよね?

TAKUMA:めちゃくちゃあります。でも、仲間のうち誰かが行けばいいと思う。

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