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小西康陽×坂本慎太郎 対談"音楽のはなし"--後編

2013.01.10

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小西康陽と坂本慎太郎。ミュージシャンとして20年以上のキャリアを誇る二人は、2011年、奇しくも時を同じくして、互いに自身初となるソロ作品をリリースし、忘れ難き震災が起きたこの年のシーンに強烈な痕跡を残した。そして2013年、この対談で意外にも二人は初めて互いの音楽について語ることになる。距離を縮めるようにゆっくりと、しかし着実に進む会話の中から、彼らに漂う「今」のムードを読み取る。これは、その後編。

前編はこちらから。

Photo_Shota Matsumoto
Edit_Yohei Kawada
Thanks to ひげたか

小西康陽 Yasuharu Konishi:
1959年生まれ。札幌出身。1985年に「ピチカート・ファイヴ」のメンバーとしてデビュー。2001年の同バンド解散後も、作詞や作曲、編曲、DJ、リミキサーとして幅広く活躍。2011年5月にはピチカート・ワン名義で自身初のソロ・アルバム『11のとても悲しい歌』を発表。昨年10月、八代亜紀の本格ジャズアルバム『夜のアルバム』をプロデュースし話題を集めた。

坂本慎太郎 Shintaro Sakamoto:
1967年生まれ。大阪出身。1989年にバンド「ゆらゆら帝国」を結成。「日本語のオリジナル・ロック」を追求し、独自のサウンドでシーンに圧倒的な影響を与えた。同バンド解散から1年後の2011年、レーベル「zelone records」を立ち上げ、自身初のソロ・アルバム『幻とのつきあい方』を発表。2013年1月11日(金)にNewシングル『まともがわからない』をリリース。

「君はそう決めた」のPVも驚きでした。(小西)
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坂本慎太郎『幻とのつきあい方』

ー小西さんは坂本さんの『幻とのつきあい方』を初めて聴いた時に、どんな印象を持たれましたか?

小西康陽(以下、小西):僕は正直、坂本さんの去年のソロ・アルバムを聴いたときは意外でしたね。

坂本慎太郎(以下、坂本):意外でしたか。

小西:大学生の頃、ニュー・ウェイヴが出てくる前に聴いていた音楽に近いと思ったんですよ。当時はそういう言葉ではなかったのですが、AORのような音楽だなぁと。ジャケットがとても象徴的で、大学生の時にマーク・ジョーダンの『マネキン』というレコードを買ったんですが。

坂本:持ってます、僕も。

小西:坂本さんのソロ・アルバムのジャケットを見て「コレだ!」と思ったんですよ。

坂本:ほんと、その通りなんですよ。

小西:やっぱりそうでしたか。僕はあのレコードがすごく好きだったんですが、坂本さんがこういう音楽をやっているということで、すごく驚きました。もうひとつ、ボブ・ウェルチの『フレンチ・キッス』というアルバムがあって、そのレイアウトもまた思い出しましたね。

坂本:マネキンに関しては初めからやろうと思ってたんですよ。最初に、マーク・ジョーダンのアルバムみたいにしようと思ったわけではなくて、『幻とのつきあい方』っていうタイトルのジャケットを考えた時、自分とマネキンのツーショットっていうのを思い付いたんですよ。ただ、カメラマンに説明する際に資料的になんかないかなあと探してたら、コレだと思って。「ざっくり言うとこんな感じです」って見せたんです。

小西:まさにマーク・ジョーダンの『マネキン』のコンセプトを、ボブ・ウェルチの『フレンチ・キッス』のレイアウトで撮った作品ですよね。

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(左)ボブ・ウェルチ『フレンチ・キッス』/(右)マーク・ジョーダン『マネキン』

坂本:とあるレコード屋さんに行ったら並べて飾ってありました。もちろんわざとなんでしょうけど。ソロでアルバムを出す時は、マネキンか水中写真のどっちかはやりたいなと思ってましたから。スーツ着て水の中に入って、水中の写真っていうのは、僕の中で勝手にソロ・アルバムのイメージになってるんですよ。

小西:南佳孝さんのセカンド・アルバムが確かそうだった気がする。スーツを着てプールに入っていたような。

坂本:あ、そうなんですか? まあ、よくありますよね。

小西:『まともがわからない』のジャケットは坂本さんの手描きですよね。絵は昔からお描きになってたんですか?

坂本:多摩美ではグラフィックデザイン科だったんですけど、バンドばっかりやってたんで、そんなに本腰入れてはやってなくて、一応卒業できた程度で。普段はあんまり描かないんですけどね、目的がないと。

小西:「君はそう決めた」のPVも驚きでした。8ページとか16ページの、普通のコマ漫画を見てみたいですよ。

坂本:漫画は、でもちょっと。やっぱりね、自分の中で漫画家に対する尊敬みたいなのがあって、なかなかおいそれとはいかないんですよ。ミュージシャンになる前はずっと漫画家になりたくて、投稿したりしてた時期もあるくらいなんで。漫画家はすごいですよ本当に。

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