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小西康陽×坂本慎太郎 対談"音楽のはなし"--後編

2013.01.10

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そういった意味では、ゆらゆら帝国はジミ・ヘンドリクスを超えてる。(小西)

小西:こないだ、吉祥寺のココナッツディスクで坂本さんが某誌でオススメしてたっていうソウルの2枚組のコンピレーションを買いましたね。

坂本:あ、パーソナルスペースですか?

小西:そう。

坂本:どうでした?

小西:すごく面白かった。あともう1枚、変な12インチみたいな。ああ、ラヴアップル。あれも買いましたね。

坂本:どうでした?

小西:好きです、ハイ。特にラヴアップル。ベースの入ってない音楽はすごく良かった。

坂本:ですよね。良いですよね。あの感じのやつ、もっと聴きたいんですよ。僕、ロックのデモテープとか、ブートで出るようなやつを聴くのがもともと好きなんですよね。ジミヘンがベッドでギター弾いてラジカセで録ってるデモがあって、それとかすごく好きで。だけど、ブラックミュージックってもっとプロフェッショナルな世界だったりするじゃないですか? だから、ああいう感じのブラックミュージックのデモとかないのかなあと思って探すんですけど、あんまり見つけられてなくて。ラヴアップルはまさにそんな感じで、感動したんです。

小西:うん、確かにあれは面白かった。

坂本:ジャケットの中に紙と写真が入ってて、それを見ると3人ともけっこう歳取ってるんです。最初は「トマト」って名前だったらしいんですけど、それが嫌で「ラヴアップル」って名前にしたらしくて。そういうエピソードも含めてすごく良いなあと思って。

小西:吉祥寺のココナッツディスクの矢島和義さんが書いてるブログの中で、ジョン・レノンのブート盤の『THE LOST LENNON TAPES』という20枚ぐらいのデモ集をオススメしていたんですが、それを聴いた時にはやはりガーンっと食らいましたね。すごく良かった。僕はデモを全然作らないし、1回作ったらすぐ採用って感じなんで作ったとしてもすごく少ないんですよ。だけどジョンはその逆で、自分の歌を何回も録ってる。それが全部いい。だから、僕も坂本さんが言っていたジミヘンのデモは是非聴いてみたいです。

坂本:随分前に出たんですけど、正規盤じゃないですからねえ。

小西:じつは、僕がゆらゆら帝国を聴いて強烈に感じたのがジミ・ヘンドリクスなんですよ。ジミヘンってすごいけど、出来不出来がやっぱり顕著じゃないですか? そういった意味ではゆらゆら帝国はジミ・ヘンドリクスを超えてるなと思ってるんです。僕はこの2、3年ほとんど7インチでDJをしてるんですけど、ゆらゆら帝国の7インチを2枚、いつもレコードバッグに入れてるんです。「発光体」という曲と「ゆらゆら帝国で考え中」という曲。掛けると絶対に盛り上がるから、どうしても掛けてしまう。

坂本:いやいや。でも、ジミ・ヘンドリクスって再評価されてるんですかね? 再評価のサイクルからは外れてるような気もするんですが。

小西:すでに1度評価されてしまっているとみんな思ってるんじゃないですか?

坂本:でも、レッド・ツェッペリンって何年かごとに再評価されてる印象があるんですよ。ジミヘンがクラブシーンで再発見されたりすることってないんですか?

小西:個人的には7インチで「Fire」を掛けまくってますけどね。

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