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小西康陽×坂本慎太郎 対談"音楽のはなし"--後編

2013.01.10

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作ったらまず自分より音楽に詳しい人に分析されたいという願望がある(坂本)。

坂本:あ、そうだ、僕ずっと小西さんに訊こうと思ってたことがあって。僕はレコードとかについて書かれている文章を読むのが好きなんですけど、要は評論と言いますか、そういう文化が今どんどん無くなってきているじゃないですか?

小西:ええ。

坂本:そこで、小西さんがその状況をなんとかしようっていうのはないんですか? というのはですね、ミュージシャンにインタヴューをして新作のことを聞くのが音楽雑誌の大方のパターンじゃないですか? 自分もそういうのに出てるからあんまり大きな声では言えないですけど、あんまり面白くないんですよ。

小西:面白くない。

坂本:特にミュージシャンが自分の新作について語るっていうのは本当に面白くないなと思っていまして。それだったら、すごく音楽好きな人が、間違っていてもいいから、自分はこう思うとか、構造的にこの音楽はこうなっているから面白いとか、もしくは、この音楽の背景にはこういう音楽があってその流れでこうなっているのではないかとか、ミュージシャン本人の意図とは違っててもいいんですけど、そのレコードを聴いてみたいと思わせるような文章がもっといっぱいあればいいなあと思ってるんですよ。そういうの、やりません?

小西:僕がピチカート・ファイヴをやっていた頃はもちろん、こないだのピチカート・ワンの時もそうでしたけど、自分でプロモーション用の紙資料で作っていて、そこにけっこう長い文章を書いてたんです。しかし、それを渡されちゃうと音楽評論家はもう何もやることがない。結果的に音楽雑誌でよく扱われないという所もあって、僕もジレンマを感じているんです。もっと言うと、たいていの音楽ライターの人がつまんないことしか聞かないから、そういう状況になっちゃうんでしょうけど。

坂本:小西さんは評論の仕事はしてないんですか? 人のレコードに対して評論するとか。

小西:やってないですね。

坂本:ま、でもなかなか悪く書きづらいですね。

小西:そうなんです。結局難しいのは、普段耳にするほとんどの音楽が嫌いで、自分たちの仲間内ではひどいことばっかり言ってるんだけど、やっぱりそれを文章にしたら「じゃあお前はどうなんだ」ってことになりますし。そこは(音楽家が文章を書くということの)辛いところですよね。僕も音楽とか映画の本を読むのがすごく好きなんですけど、最近のミュージシャンの新作インタヴューは本当につまらないと思ってます。

坂本:僕は作品を作ったらまず自分より音楽に詳しい人に分析されたいなっていう願望があって。構造的なことはもちろん、自分が思ってもないようなことを分析してくれて、それを読みたいなあっていう思いが昔からあるんですよ。でも、今の世間の感じだとそういう文化もなくなってくのかなあと。

小西:じゃあ今度、機会があったら坂本さんの音楽について書いてみますね。

坂本:あの、本当に全然褒めてなくてもいいんですよ。なんかこう、自分が納得する感じで、「あぁ、なるほど」ってなりたいだけなんで。

***

ー時間も迫って参りましたので、最後に何かあればお願いします。

坂本:えーと、これはそもそも何の対談だったんでしょうかね?

小西:すいません、無駄な話ばかりで。このシングルのプロモーション、しなきゃですよね?

坂本:全然いいんですよ、そんな。

cf0109_sakajk.jpg 坂本慎太郎『まともがわからない』
初回限定盤(zel-007s)¥1,575(2枚組/ボーナスCD付き)
通常盤(zel-007)¥1,260
[収録曲]
1. まともがわからない Don't Know What's Normal
2. 死者より From The Dead
3. 悲しみのない世界 World Without Sadness

HK-FM『小西康陽 これからの人生。』
毎月最終水曜夜11時~放送中

八代亜紀『夜のアルバム』完全生産限定アナログLP
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2月20日発売

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音楽:小西康陽
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