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FEATURE|OAMC 2018SS Collection Interview with Luke Meier in Paris ルーク・メイヤーがファッションを通じて発信する前向きなメッセージ。


 

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OAMC 2018SS Collection Interview with Luke Meier in Paris

ルーク・メイヤーがファッションを通じて発信する前向きなメッセージ。

〈シュプリーム(Supreme)〉のヘッドデザイナーを経て、世界各都市の仲間たちとスタートさせた〈OAMC〉のクリエイティブ・ディレクターとして活躍する、ルーク・メイヤー。 ワークウェアの実用性と、技術を駆使したオリジナル素材やパーツを組み合わせ、モダンで構築的なコレクションを展開する同ブランドが、 パリで2018SSコレクションを発表した数日後、展示会中のショールームで話を聞いた。

  • Photo_Houyhnhnm
  • Interview & Text_Mami Okamoto

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2018SSシーズンのエピローグでは、アメリカの詩人でビート文学の代表格のひとりであるアレン・ギンズバーグの名作『HOWL(吠える)』から“The weight of the world is love. Under the burden of solitude, under the burden of dissatisfaction.”(世界の重さこそ愛である。孤独を背負うこと、不平不満を背負うことなのだ、という意味)という言葉が引用されていました。今シーズンは、何が正しくて何が必要なのかを突き詰めたメッセージを発信している、と伺いましたが、それは具体的にどんなものなのでしょうか?

ルーク・メイヤー(以下ルーク)ここ最近は、世界中で色々なことが起こっています。目を疑うような暴力や差別、不正や腐敗。こんな社会的な状況がこのまま続くとしたら世界はこれからどうなってしまうのだろうと、自分なりにそのことを考え、前向きなメッセージを発信しています。個人的には、最近の世の中は60年代にリンクしている部分があると考えていて、2018SSシーズンは60年代のアイビーリーグやプレッピーを意識したものを展開しました。グラフィックはアイビーリーグのスローガンや当時の抗議運動に関係していて、洋服はアメリカントラッドスタイルからインスパイアされています。ユニフォームのようなジャケット、ボタンダウンシャツ、プレッピー風ニットなど、アイビーの要素を歪めて捉えることで、反権威的なアティチュードを表現しています。伝統的なアイテムのシルエットを遊ぶことで〈OAMC〉らしさを出しているんです。

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その中でも、特に象徴的なアイテムについて教えてください。

ルークこの白いコートが象徴的ですね。ベーシックでありながら、今シーズンのコンセプトを凝縮しています。形はヴィンテージをサンプリングしたもので、ミリタリーウエアの機能的なシルエットやディテールを参考に、生地の品質はもちろん、細部にまでこだわり抜いた、技術的にも素材的にも〈OAMC〉の今シーズンを象徴するようなものです。一見するとわかりづらいですが、さまざまな生地を組み合わせているんです。例えば襟元には肌触りがいいようにシルクを使用しています。

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ルークそれから、このトロピカルウールとコットンツイード素材のコートジャケットには、技術とテクニックが詰まっています。ポケットの下の部分は横糸だけ残して加工し、格子柄のファブリックをハンドで後から縫い付けたものです。

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ルークこのブルゾンはバックに繊細な刺繍を施しています。モチーフにはビートニック作家、アレン・ギンズバーグの著書『HOWL』をあしらいました。タフな素材にソフトなシルクを合わせることでコントラストを持たせています。クチュールで使うような上質な素材を、アグレッシブに加工するのが自分らしさですね。

こうやって間近で見ると、やっぱり素材とシルエットの美しさがよくわかります。そして、テクニカルで繊細にカスタムされたものが多いですね。

ルークカスタムはブランドのひとつのキーワードです。ホームメイド的なカスタマイズやアレンジを通してコレクションにメッセージ性を込め、ブランドの世界観を出しています。すべてのファブリックはこれまで同様、日本とイタリアで開発されたものです。今シーズンのシルエットはシャープさを意識しながらも、随所にラウンドシルエットを盛り込むことで、既存のメンズウエアのシルエットに変革をもたらそうとしています。伝統的なシルエットをアレンジすること、それがMY WAYです。

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ショーでは、コートの袖をまくり上げた赤いクリップピンなど、スタイリングを際立たせるアクセサリー使いやワッペン使い、そしてダークカラーに映えるファブリックも印象的でした。

ルークはい、今シーズンはクリップピンの使い方もポイントになっています。60年代のフォーマルは、ピン使いも印象的でしょう? これらのアクセサリーは、シルバーやガルバリウムを使ったハンドメイドです。ワッペンには、シーズンを象徴する抗議のメッセージが込められています。カモフラージュ柄はハンドペイント。靴はスチールトゥのワークブーツやハンドペイントのスニーカーを展開しています。メッセージを込めた〈OAMC〉の洋服を手にしたそれぞれが、思い思いに解釈しカスタマイズし、ファッションを通して個人の考えを発信してもらえたらいいなと思います。ファッションはアイディアがすべてじゃない。アイディアも大事だけど、プロダクトとしての完成度も大事。アイディアをきちんと形にして、人が着ることをイメージしながら洋服を作らないといけない。伝統と先鋭をミックスしたカスタムで遊び心を入れるクリエイションが〈OAMC〉流のアドベンチャーなんだと思っているんです。

現在は、パリとミラノを拠点にしているそうですが、服作りのプロセスはどのようにしているのですか? また、レディスコレクションを待望する声も聞かれますが、展開の予定は?

ルーク今まではパリとミラノを行ったり来たりしていたんですが、今は製作に関してはミラノがほとんどになってきています。パリはショーとリラックスのために来ている感じですね。レディスに関しては、すでに女性たちがメンズコレクションを着てくれていることもあり、始めるのは自然なことだと思っています。メンズの服をそのままレディスサイズに落とし込むのか、レディスならではのシェイプにアレンジするのがいいのか? 僕の妻はそのままがいいんじゃないかって言っていっているんだけど、みんなはどう思います?いろんな人に意見を聞きたいですね。

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ルークさんは〈シュプリーム〉のヘッドデザイナーを経て〈OAMC〉を立ち上げ、さらに2018-19AWシーズンからは妻のルーシーさんとともに〈ジル・サンダー〉のクリエイティブ・ディレクターにも抜擢されました。ファッション界で多様な活躍をされてますが、ファッションに興味を持ったきっかけは?

ルーク10代の頃、スケートボードを始めて、ファッションにもカルチャーがあると感じたのがきっかけです。適当に着ていても単純にカッコいい。そういうこともあるんだと知ったんです。〈シュプリーム〉のヘッドデザイナーになる前、僕はイタリアのテーラーで働いていたこともあるんですが、テーラーにはテーラーの良さがあるし、ストリートとはファッションへのアプローチは違うけれど、ジャンルは関係ないですね。とにかくカッコいいと思うことを表現できればいいんだと実感しました。それは〈シュプリーム〉をはじめとするファッションの現場で学んだことのひとつです。

最後に〈OAMC〉をひとことで例えるなら?

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〈OAMC〉は自分自身だと、ズバッと言い切る姿からは自信が感じられた。カナダに生まれ、イギリスやNYの学校を経て〈シュプリーム〉でストリートのインフルエンサーとなった。グローバルな視点を持つ彼ならではのスタイルでテーラーとストリートを融合させた。それから3年の時を経て、次なるステップへ進む彼の今後の活躍に注目したい。


Luke Meier / ルーク・メイヤー
多様なインスピレーションをもとに、現代の空気感を反映させたメンズウエアを提案する〈OAMC〉のクリエイティブディレクター。2017年4月、妻のルーシー・メイヤーとともに〈ジル・サンダー(Jil Sander〉のクリエイティブ・ディレクターに就任。

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