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FEATURE|THE NIGHTS OF FUJI ROCK FESTIVAL ’17

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THE NIGHTS OF FUJI ROCK FESTIVAL ’17

今年の7月末に3日間開催された「フジロックフェスティバル ’17」。アーティストのラインナップ、会場の規模、訪れるファンとその熱量と、あらゆる面で日本一ミュージックフェスティバルであることは疑いようもない。他のフェスにはさんざん行ったことがあるのに、大本命であるフジロックはなぜか縁がなかった編集が今年フジロックに初参戦した。特に思い出深かった“夜”のライブを公式写真と文章で振り返る。

  • Photo_宇宙大使☆スター(main)
  • Edit_Shinri Kobayashi

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プロローグ

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©宇宙大使☆スター

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©Yasuyuki Kasagi

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©宇宙大使☆スター

あいにく、3日間はほぼすべて雨、雨、雨。合間に曇りになるくらいだった。おかげで雨具がよく売れたと聞く。これが最悪の天気かと思いきや、ベテランのフジロッカー(フジロックファン)に聞くと、快晴は快晴で砂埃が舞って大変らしい。しかも気温が高いと体力が奪われるので、逆に3日間フルに動いていてもヘトヘトにならなかったのは、雨のおかげか。

The xx

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©Masanori Naruse

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©Masanori Naruse

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©Masanori Naruse

マッシブアタックを輩出したイギリスから出てきた、The xxは今やアメリカでも大きな支持を受ける世界的なバンド。新進気鋭の若手として出てきた数年前のダークでメランコリックなサウンドから少し変化して、ポップスとして聴ける、懐の深いサウンドを奏でるバンドへと大きく成長している。「Intro」、「On Hold」、「Angels」といった新旧の名曲をほどよく散りばめて、ライブはすすむ。そして彼らのライブは音も抜群にいいけれど、メンバーが真摯に語りかけるMCにも耳を傾けさせるチカラがある。世界の美しさや愛について語る彼らの言葉は、とても素直に耳に届く。ジョン・レノンが偉大なミュージシャンであると同時に、強力なアジテーターであったことは周知の事実だけれど、彼らの声は非常に控えめながらも、夜の闇に届けることなくその声は深く響く。

この夜、フジロックで観たThe xxのライブは、サウンドや雰囲気、観客席から見える景色も含めて、すべてが完璧だった。それは彼らが口にする、世界の美しさをそのまま体現するかのようだった。

Rhye

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©Tsuyoshi Ikegami

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©Tsuyoshi Ikegami

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©Tsuyoshi Ikegami

2013年の“昼間”のレッドマーキーに出演し、その年の話題をかっさらったというRhye。今年は、フィールド・オブ・ヘブンで夜、その魅惑のライブを披露してくれた。このバンドの洗練されたサウンドと甘美なボーカルは、やはり夜という時間帯がよく似合う。暗さとあいまって、魔法的ですらある。なぜならボーカルのマイクの歌声は、CDよりもライブの方が圧倒的にうまく聞こえるという妖しさと美しさを兼ね備えているから。ストリングスやドラム、管楽器などの演奏も夜の暗がりに溶けていくようで、夜のRhyeこそ、その真骨頂なのではと、初見ながらも感じた次第。

yahyel

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©Tsuyoshi Ikegami

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©Tsuyoshi Ikegami

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©Tsuyoshi Ikegami

レッドマーキーの深夜帯「PLANET GROOVE」で、音と映像の洪水で空間を飲み込んだyahyel。フロアを直撃する爆音は、直立不動か一心不乱に踊らせるのか、その二者択一を迫るほどハードに体に響く。初めてライブを観たけれど、ライブでも顔をあらわにはしない匿名性、グラフィックと漂白されたグロ画像がミックスされた映像、光源を使ったインスタレーションと、近未来のライブを見せられているかのようだった。まるで現代アートの一種のような。でも、そこにあの骨太のサウンドで体を物理的に揺らされると、観るのではなく、体感せざるをえない。そんな強さをこのバンドからは感じたのだった。

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初参戦のフジロックを振り返ると、夜のアクトが印象的だった。どれだけ人で溢れかえる会場であろうと、そこは都会の密な空間とはひと味ちがう。暗闇と雨は、いち観客としての自分をよりパーソナルに、そしてより自由にしてくれる。その心地よい開放感は、ほかのどんな場所よりも、音楽とその風景をより脳内に深く刻み込んでくれた気がする。あれから2ヶ月がたつけれど、たまにフジロックで観たライブを日常のなかで思い起こす。これも一種の“フジロックロス”というものだろうか。(了)

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