サウナ小屋は無理だけど、テントなら買える。
近ごろ、サウナにハマっているひとによく会う。メディアでも取り上げられているし、仲間で連れ立って行くという話も耳にする。サウナブームの火付け役はタナカカツキさんだろうと話を聞いてみたら、「テントサウナパーティ」のメンバーも、やはりそうだった。
「 ぼくと林(由利子)さんで、アプリの仕事を依頼したのが最初の出会いです。(タナカ)カツキさんは仕事の話をしないで、サウナことばかりしゃべるんですよ。その頃は興味がなかったので『あーそうなんすか』って聞いていたんですけど、気になって行ってみたらハマってしまって。いまでは、日々サウナに入っています」(藤山)
「 東京出張のときに会社からホテルを取ってもいいよって言われても、あえてラクーアに泊まりますからね(笑)。東京支社も近いので便利なんです」(林)
ふたりはカツキさんと同じ京都精華大学出身ということもあり、プライベートでもやり取りする仲に。その結果、藤山さんはテントサウナを自腹で購入してしまう。
「 サウナにハマって本場のフィンランド式サウナについても調べてみると、自然のなかに小屋が建っていて、照明は暗め。テレビも音楽もない。日本のサウナとぜんぜん違う感じがいいなっておもったんです。ぼくらは拠点が関西なんで、お金を貯めて琵琶湖にサウナ小屋を建てようかなって妄想してたんですけど、そんなお金もないんでね(笑)。
それで色々調べているうちに、ネットでテントサウナをみつけて。『うわっこれやったらどこでもできるやん』ってことですぐに買って、琵琶湖で試したんです。それで実際にできるってことがわかったので、去年の5月に『テントサウナパーティ』を立ち上げました」(藤山)
メンバーは前述のふたりに、サウナ好きの吉田直裕さんを加えた3名。皆、大阪にあるウェブ制作会社「TAM」(社員数が200人弱という大所帯!)の同僚だ。スタートから1年。いまでは関西を拠点に、様々な場所にサウナテントを立てては、その魅力を広げる活動を行っている。
そもそも、関西を拠点にするチームがなぜ長野のキャンプ場を指定したのかと言えば、スキーが大好きで1年前に木崎湖近くへ移住してきた村岡利恵さんから、「湖もあってテントサウナに絶好のロケーションだよ」と聞いていたから。今回の取材を機にやってきたというわけだ。
また、キャンプ場近くで山登りを楽しんでいたIAMAS(イアマス)で教鞭を執るジェームスさんと、〈コモノリプロダクツ(COMMONOreproducts)〉の水谷美知さんも参加してくれた。
サウナで侘び寂びの境地に至る。
テント横の椅子に深く座る。大学生グループが帰ったあとのキャンプ場は、ハイシーズンを過ぎた平日ということもあり利用者はまばらで、時折テントの方から「バチッ」と薪のはぜる音が響くだけ。気がつけば、コロナビールを飲みながら、みんなもすっかりととのっていた。
今後の活動について尋ねてみると、「Tシャツとサウナハットと茶碗。オリジナルのプロダクトをつくってECサイトで販売する予定です」との返答。みんながかぶっていたカラフルなサウナハットは、オリジナルだったのか。しかし、なぜ茶碗なんだろう。
「 諸説あるんですけど、日本にサウナを持ってきたのは千利休だろうと言われてて。カツキさんの本もタイトルが『サ道』じゃないですか」という藤山さんの言葉に、「まこっちゃん、茶道の道具もそっくりってよく言ってるな」と林さんが合いの手を入れる。たしかに、柄杓で湯を汲み茶碗に入れるのと、バケツなどからサウナストーンに水をかけるロウリュは、道具も動作もよく似ている。
「 湯を沸かす風炉(ふうろ)のことも、“風炉釜(ふろがま)”って言うてもうてるんでね(笑)。これはサウナと深い関係があるな、と。茶碗にしても、それまでは歪んでない完璧な形が美しいとされてたけど、利休は歪んでても美しい、“侘び寂び”というあたらしい視点を提唱したわけです。
サウナと水風呂を繰り返していくと、水面のキラキラとか普段やったら気にも留めないような不完全なモノも美しいと感じるようになるんです。もしかしたら、利休もサウナを体験することで侘び寂びの境地に達したのかもしれませんね」(藤山)
なるほど、それで茶碗か。そういえば、藤山さんはメールで「サウナとビールは最高の組み合わせです!」とも書いていたが、ほかのみんなもビールが大好きみたい。みながみな、なんともいい笑顔でコロナビールを飲んでいる。
これもテントのなかで林さんから聞いた話だが、フィンランドにはサウナ外交というものがあるのだそう。性別も年齢も国籍も超えて、サウナに入れば誰もが一発で仲良くなれる。サウナで距離感が縮まったあとには、冷えたビールでさらにととのう。これこそが、仲間とともに生きていることを実感する「THIS IS LIVING」な瞬間だろう。
時刻は16時をまわり、日が暮れて風も出てきた。藤山さんたちは大阪まで戻るのかと思いきや、かなり楽しかったようで「エクストリーム出社しよか」と、明朝の出立に変更したらしい。晩メシの相談をするみんなに別れを告げながら、ぼくらは一路東京へと戻る。テントサウナという最高の体験とともに。
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