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ひりひりとした緊張感を観客に伝染させる。荒々しいフィルム・ノワール映画『ケンとカズ』公開。

ひりひりとした緊張感を観客に伝染させる。荒々しいフィルム・ノワール映画『ケンとカズ』公開。

2015年・第28回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門の作品賞を受賞した映画『ケンとカズ』が7月30日から東京・渋谷のユーロスペースほかで公開されます。


監督・脚本・編集は本作が長編デビューとなる小路紘史。海外映画祭で上映を重ねた同名の短編版を基に、全員新人のスタッフ・キャストによる自主制作で長編映画化しました。現代の社会問題である覚醒剤密売を舞台に、裏社会でしか生きられない男たちの哀しすぎる運命を、映画作りそのものに殴り込みをかけるように強烈でストイックに描いた本作。ドラッグ密売に手を染める、ひりひりとした緊張感をまとったフィルム・ノワール(犯罪映画)として描きつつ、男と男、家族や恋人との切っても切れない関係性を描いています。


〜STORY〜
郊外の自動車修理工場を隠れみのに、覚醒剤の密売をするケンとカズ。ケンは恋人の早紀が妊娠したこと、カズは認知症である母を施設に入れる為金が必要なことを言えずにいた。敵対グループと手を組み密売ルートを増やしていく2人だったが、ヤクザの追い込みもあり次第に追いつめられていく――。


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『太陽を盗んだ男』『青春の殺人者』などの監督作で知られる長谷川和彦は、同作について「登場人物が、皆それぞれ固有のリアリティに満ち満ちているのに感心した。『覚醒剤密売に関わる最低最悪の人間たち』が、何故か『愛おしく』なってしまうのだ。過剰なクローズアップカットの連打も決して上滑りせず、観る者を『未知なる映画の世界』に引っぱり込んでくれる。『必見の新作!!』だろう」とコメント。


最近の、美男美女ばかりの映画ではなく、長谷川氏のコメントにもあるとおり、リアリティをもち、役を地でいくような顔つきの俳優たちがつぎつぎと登場するのも、監督の挟持と気概を感じます。


映画で終止流れる、ピリついたイヤ〜な空気。登場人物たちの視線や表情、言葉によりその空気感は観客に伝染します。これは監督・小路紘史の演出の力であり、俳優の力によるもの。そしてそれはまぎれもなく、幸福な映画体験の一種であるといえるのではないでしょうか。


そして、作品が境界線を超えて観客の現前に表れるのは、真っ暗ななかでスクリーンと対峙する映画館ならでは。ぜひ劇場へ足をはこんでみてください。

Text_Shinri Kobayashi

『ケンとカズ』

http://www.ken-kazu.com/

公開:7月30日(土)
出演:カトウシンスケ/毎熊克哉/飯島珠奈/藤原季節/髙野春樹/江原大介/杉山拓也
監督・脚本・編集:小路紘史
プロデューサー:丸茂日穂/小路紘史
撮影・照明:山本周平
制作:原田康平/本多 由美
メイク:俵あずさ、特殊メイク:森田優奈、美術・衣装:尾身千寛、録音:市川千裕/長谷川奈映
特別協賛:東京フィルムセンター映画・俳優専門学校
配給・宣伝:太秦
製作:「ケンとカズ」製作委員会(小路紘史/キッス・エンタテインメント/キューズファミリー/ニチホランド)
【2016年/日本/カラー/アメリカン・ビスタ/ステレオ/96分】
(C)「ケンとカズ」製作委員会

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