革靴は手入れをすればするほどに応えてくれます。

―今までのお話で〈オールデン〉の魅力は理解できました。それでは実際に入手した後で気をつけておくポイントなどを教えていただけますか?

血脇:まずご購入されて帰宅しましたら、クリームで一通り磨き上げてください。ただ、ソールにミンクオイルなどを塗っていただいたりする必要はありません。上質素材ですので、馴染みが早いですから。当然ですが、下ろす日が雨の予報でしたら控えた方がいいと思います。

―不意の雨ほど靴好きにとって腹立たしいことはないですから。

血脇:しっかりケアをしてあげれば大丈夫です。あとは、どんなに気に入っていただけたとしても毎日の着用は避けてください。1回履いたら2、3日は休ませるサイクルをキープしてください。

―履いていない時の保管方法などはどうすればいいのですか?

血脇:脱いだらシューツリーを入れてください。そして湿気のない場所に置くこと。シーズンが変わって長期間履かない状態になるような時は1週間を目処に入れておいたシューツリーを抜いてあげるのが大事です。特にコードバンなどは形状記憶に優れている素材なので、変なクセがついてしまうこともありますから。

―そうだったんですね。ずっと入れっぱなしにしていました。

血脇:他には定期的に点検してあげることです。汗などが原因でカビが生えたりしていないか、革の表面に粉が出ていないかなどです。ブラッシングなどですぐに改善できますので。あとは意外と知らない方が多いのですが、箱に入れて保管する場合は、特にコードバンはシューレースの先端を靴の中に入れるようにしてください。アッパーに跡がついてしまいますので。上質な革靴はオーナーが愛情をもって手入れをすれば、しただけ応えてくれますよ。

―いつか修理したい時にはどうすればいいですか?

血脇:ショップにお持ちになられても結構ですし、私どもにお問い合わせいただいてもよろしいかと思います。というのも〈オールデン〉は全てを自社で一貫して製作しているシューズで、特にレザーソールは自社で特殊加工をしているので、パーツが純正でないと同じ履き心地をキープすることが出来ません。幸い、本国の工場にはストックもありますし、弊社にもオリジナルパーツが揃っていますのでご購入時の状態に近づけるようにアドバイスさせていただいています。

―それでは最後に再度〈オールデン〉の魅力を教えてください。

血脇:繰り返しになってしまいますが、やはり履き心地が良くて疲れにくいという部分。これは外せません。時代を越えて流行り廃りのないトラディショナルなルックスはタイムレスですし、世代を問わない懐の深さはエイジレス、どんなスタイルにも合ってしまう部分はカテゴリーレスだといえます。それに加え、長い月日を経て刻んだ歴史に裏打ちされたスペシャル感は一朝一夕には築けません。ギアであると同時に上質な嗜好品でもありますので、ずっと添い遂げてくれる存在になり得るのも魅力ではないでしょうか。大事にリペアしながら長年着用できるのでエコでもあるといえますね。

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定番モデルである♯990のプレーントゥ。一目瞭然ですが、右側が長年使用したものです。新品には出せない経年変化の重みを感じることができます。

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普段はラコタハウス店内のミュージアムスペース内に展示されている1足。一朝一夕には生み出せない存在感を発揮しているのが分かります。

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シューケア用品も万全の品揃えです。正しい手入れの方法もしっかりと伝授してくれるので、臆することなく聞いてみましょう。

日本において誰よりも〈オールデン〉を知り尽くした血脇さん。機能面はもちろんですが、レザーシューズの持つ嗜好品としての素晴らしさを再確認できたと思います。直営店のラコタハウスも今年10周年。記念モデルの展開もあるとのことなので楽しみに待ちたいところですね。

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