vol.14

ALDEN

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オールデンのイロハを改めて血脇社長に聞きました。

フイナム誌上でもことあるごとに取り上げている〈オールデン〉。今やお馴染みとなった名ブランドです。日本総代理店ラコタの血脇社長に話を聞いて、しっかりイロハを勉強しておこうと思います。

オールデンは歩くためのギアとして突出しています。

―すでに説明不要なほどに浸透している〈オールデン〉なのですが、今一度ここでオフィシャル感のあるお話を聞かせていただきたいなと。紙媒体やウェブ、店頭などで多様な情報が混在していることもあり、これから〈オールデン〉を買おうとしている人にも分かるように、血脇さんに改めて教えていただければと思います。

血脇さん(以下血脇、敬称略):よろしくお願いします。お陰様で色々なところで取り上げていただくことも増えてきましたので、情報を整理することができたらいいですね。

―まず、〈オールデン〉のことをほとんど知らない人にも分かるように、初歩的な内容から聞かせてもらいます。このブランドの特徴とはどんなものなのでしょうか?

血脇:簡単にいうと歩くための上質なギアですよね。それを突き詰めていると。素材に使われているコードバンやグッドイヤーウェルト、独自のラストなども含めて、全てが快適に歩くための工夫なんです。それに加えて、アメリカ製ならではのトラディショナルなデザインも挙げられるのではないでしょうか。

―コードバンは今や〈オールデン〉とセットの単語といえるくらい、切っても切り離せない素材ですよね。この革の特徴とは何なのでしょうか?

血脇:まずはカーフでは出せないシワと艶感でしょう。これは一目瞭然です。農耕馬の尻部分の革で繊維が緻密になって深い輝きが生まれるんです。見た目だけでなく、非常に丈夫で使い込むほどに馴染むのも特徴となっています。さらに形状記憶する特性があるので、オーナーの足にフィットしていき古艶が出てオーダーメイドのシューズのように手放せなくなるといえますね。

―素人考えだと手入れが大変そうというイメージがあるんですが。

血脇:確かに特殊な素材なのですが、基本的なケアは一緒ですよ。ただ、雨に濡れた時などは注意が必要です。水分には気をつけたほうがいいですね。

―そういった場合にはどのようにすればいいのでしょう?

血脇:濡らした雑巾で全体に水分を与え、その後よくしぼった雑巾で拭き取ります。その後は陰干しで乾かします。

―それだけでいいんすか?

血脇:あとは翌日に通常のケアをしていただければ大丈夫です。アメリカの靴ですからね、そんなに神経質になる必要はないと思いますよ。

―今、アメリカの靴という単語が出ました。やはり他の国とはフィッティングなどが異なるものなんでしょうか?

血脇:あくまで概念的にですが、フランスやイギリスの靴はタイトなフィッティングを好む傾向があります。〈オールデン〉は気持ちリラックスしたサイジングで履いていただきますから、日頃スニーカーやワークブーツなどを着用されている方にはすんなり違和感なく履けると思います。

―そのフィッティングなのですが、〈オールデン〉は適正サイズの啓蒙というか、しっかりとしたサイズでの着用に注力されているイメージがあります。

血脇:やはり革靴はサイズが合っていないとダメです。メーカー毎に最適なフィッティングがありますが、〈オールデン〉の場合はアメリカのメジャーメントを基本にしたアーチフィッティングを中心に接客します。レングスとウィズはもちろん、足を入れた際の空間や締まり具合などを実際に手で触って判断させていただいています。

―ただ履くだけでなく、触診してもらえるのは心強いです。

血脇:もちろん、ご本人の履かれた感覚というのも重要ですから、そこは実際に言葉のキャッチボールをして最適な1足を選べるように配慮します。素材感が変わると同じ型やサイズでも微妙に感覚が変わってきますし、体調やコンディションでも誤差が出てきます。そういった部分もヒアリングとアドバイスで補正していくという感じですね。

―日頃レザーシューズに慣れている人じゃなくても大船に乗った気分でいられるのは助かります。事前に頭に入れておいたほうがいい事や準備などはあるのでしょうか?

血脇:ご使用いただくシチュエーションなどはハッキリしていた方がオススメはしやすいと思います。合わす服装はスーツなのかジーンズなのか、短靴がいいのかブーツなのかもざっくりと考えてきていただければ。もちろん素足にサンダルなどでご来店されてもショップにはソックスもご用意してますので心配無用です。

―でも、私の場合、「今日はキャップトゥを買おう」と思って来店したのに、ラインナップを見たり試着したりしているうちにスエードの6インチブーツを買ってしまったこともあります。

血脇:それは仕方ないことだと思いますよ。やはりウェブや雑誌で平面的に見るのと実物を手に取るのとは違いますからね。履いてみてしっくりくる靴が目当ての1足とは限りませんし。

―確かに、以前すごく欲しいブーツのサイズがなかった時は「適正サイズではないのでお売りできません」と血脇さんに言われて驚いたことがあります。

血脇:靴は飾って眺めるものじゃなく、歩くためのギアですから。〈オールデン〉本来のフィッティングに合わない以上、お勧めはいたしません。

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取材は青山にある〈オールデン〉の総本山、ラコタハウスにて行いました。懇切丁寧な血脇さんの説明はもちろん、レザーシューズ全般に対する知識と愛に感服しました。

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取材当日、血脇さんが着用していたのがチャッカブーツ。手入れが行き届いているのが分かる光沢と、年季の入った皺が凄味を出しています。

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本国の工場の様子を1枚。こちらはソールをオイルに染み込ませる工程です。昔ながらの製法ですが、今も連綿と継承されています。

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