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栗原道彦フリーバイヤー(?)1977年生まれ2010年に有限会社ロストヒルズを退社。2011年よりフリーでの活動を開始(?)。

クリちゃんがイクッ。

栗原道彦
フリーバイヤー(?)

1977年生まれ
2010年に有限会社ロストヒルズを退社。
2011年よりフリーでの活動を開始(?)。

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古着講座。 HISTORY OF ALL STAR'S CARTON。

2007.06.20

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今回のネタは、アメリカ製のオールスター。とは言っても....

箱です。箱っ!

スニーカー本体の変遷は雑誌なんかでもたまにやるので知ってる人は多いと思うんですが、箱の変遷はさすがに雑誌もあまり取り上げませんよね。
なので今回は普段フィーチャーされない日陰者、実はなかなか面白い箱の変遷について書きたいと思います。

まずは60年代後半~72年頃までの箱。

チャックテイラー3つ星の後半から1つ星の初期にかけて使用されていた箱です。
特筆すべきはモデル名の上に小さく記されている地名。「MALDEN. MASS,」
コンバース社は73年にマサチューセッツ州モールデンから同州ウィルミントンに本拠地を移している為、このモールデン表記の箱は73年以前に生産されたモノたという事がわかります。

そしてコチラが73年~70年代中頃の箱。

上の60年代後半~72年までのモノと全く同じモノに見えますが、2箇所だけ異なるところがあります。
1つは前述の所在地。モールデンからウィルミントン表記に変わっています。
もう1つはその左に記されているan[Eltra]companyという表記が加わったという点。
これはコンバース社が71年にエルトラ社に買収された為で、その年以降、コンバースブランドは79年までこのエルトラ社の傘下に置かれる事となります。
ちなみに79年から82年まではアライド社の傘下にあり、それ以降は2003年にナイキに買収されるまでの約20年間、コンバース社として独立した企業でした。

※※※※※※※※※※※※ホントはこの間(上の箱と下の箱の中間)に短期間、チャックテイラーの1つ星の末期に使用されていた、白本体にシンプルなデザインの赤蓋の箱が存在するんですが、現在ウチのお店になかったので、近日中に僕の私物を使ってアップします。※※※※※※※※※※※

そしてコチラが78年頃の箱。

通称「赤箱」と呼ばれるモノ。
前出のようにコレ以前も赤い箱を使用していましたが、一般に「赤箱」といったらこのデザインの箱を指すことが多いようです。
今まで蓋正面に記載されていた社名が、コレ以降、蓋側面に移動。
この箱がエルトラ社時代最後のモノで、その後、アライド社傘下にあった79年から82年の間は同デザイン、蓋側面の社名がAn ALLIED Companyになっているモノが使用されていました。
その後、独立後も84年頃まで同デザインのモノを使用。

そしてコチラが84年頃の箱。

通称「銀箱」と呼ばれるモノで、その初期のモノ。
本体側面にロス五輪(84年)公式スポンサーのロゴが入っているので、84年前後に使用されていたモノということがわかります。
ソレまでの「赤箱」と比べるとかなりスペーシーなカラーリング。
この80年代中頃というのは、スニーカー業界全体がそれまで長らく進化していなかったシンプルなローテク(特にバッシュ。)からハイテクな素材、機能を駆使した新しいモノへの大幅なモデルチェンジを競っていた時代なので、それゆえコンバース社もこのように大幅な箱デザインの変更をしたんじゃないでしょうか?
ちなみにオールスター以外にウエポン、スターテックなどのモデルにも同デザインの箱が使用されていました。

そしてコチラが80年代末~90年代初頭までの箱。

コチラも同じく「銀箱」ですが、それまで箱本体正面にあった☆マークが蓋正面に移動。
僕の経験上、この箱の中身には、80’sオールスターの代表的なディテール、「サイドステッチ&あて布」の内、サイドステッチは入るが当て布が入らない後期のモデルが入っているケースがほとんどですね。

そしてコチラが90年代前半の箱。

久しぶりに大幅なデザインチェンジ。
僕が今の会社に入った95年頃には確かこの箱を使用していました。ちょうどカラー物のオールスターが流行っていた頃で、LAのスポーツショップでも在庫の1割強くらいはまだ銀箱が混じっていたのを覚えています。
ちなみに現在、生成り(または普通に白)と呼ばれている「アンブリーチドホワイト」も、この箱まではただの「ホワイト」表記になっています。

そしてコチラが90年代後半の箱。

デザイン上の変更はほとんどありませんが、今までの蓋、本体に分かれる2体式から1体式へ変貌。
これは間違いなくコスト削減の為だと思います。コレになってから箱の強度も著しく弱くなり、デッドストックで出てきてもボロボロの状態になってしまっている事がほとんどです....
またこの箱からカラー、サイズ等の詳細が箱本体にプリントされるのでなく、それらが記されたシールが付くようになりました。
この時期になって今さら「MADE IN USA」の表記が入るのも、その後を予感(もちろんしていないとは思いますが。)しているようで皮肉な感じですね。
ご覧の通り、この箱から「アンブリーチドホワイト」表記に変更されています。コレ以降、若干ですが少しずつ生成りの色が濃くなっていったような気がします。

そしてコチラが90年代末~2001年までの箱。

MADE IN USA末期に使用されていたモノなので、皆さんもまだ見覚えがあるんじゃないでしょうか?
この箱をもって(2001年)、それまで80年以上に渡ってアメリカで作られ続けてきたオールスターの歴史に終止符が打たれる事に。
ある意味記念すべき箱になってしまいました.....

皆さん、いかがだったでしょうか?
随分と長くなってしまいましたが、途中、飛ばさずに最後まで読んでもらえました?
今までスニーカーを買っても、家に着いた瞬間に箱をポイ捨てしてしまっていた人も多いとは思いますが、コレを機に箱にも愛情を持ってもらえるようになったら幸いです。
中身(スニーカー)の話はまた今度。

今日の格言 「靴に歴史有り。箱にも歴史有り。」

Comment: 1

はじめまして。
検索してたどりつき、拝見させていただきました。

当方、最近コンバースUSAの魅力に熱病のようにやられてしまっています…。

スニーカーはガンガン履いて潰す派なので、
とりあえず気に入ったものを見つけてはキープのため買いあさってます。

それにしてもハコひとつとっても奥深いですね。
中身の話、ぜひ聞かせてください。
よろしくお願いします!

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