蛍雪ジェダイ
森山真司
ディストリクト ショッププレス
プレス兼ディストリクト
ホームページのコントロールとウィンドウディスプレイ担当。キャリア20年超のジェダイを目指す名物販売員
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『GRAN TORINO』
2009.09.16

朝鮮戦争を経験した元フォードの自動車工ウォルト。増えていくアジア系の隣人、懺悔に来いとしつこく迫る青二才の牧師、思いやりに欠ける息子、孫達...と時代に取り残され、イライラの種が耐えない頑固爺。
...と人種差別も露骨な辛らつなキャラクターとして描かれているが、自分の慣れ親しんだ世界がなくなってしまい苦々しく思っている彼の心境がわからないでもない。本編の彼の心情を察し、共感できるように描かれている点はさすが。彼と一緒に孫の無作法に怒り、景観を損ねる近所のすさみ具合に悲しむことが出来る。いい脚本です。
無遠慮で思いやりに欠ける自分の子供たちよりも伝統と礼儀を重んじる得体の知れないはずのモン族のお隣さんとすこしずつではあるが関係を築いていく過程も丁寧に描かれ心が温まります。
派手なアクションもなく、大事件も起こりませんが人種の坩堝アメリカの郊外で実際に起こっているだろうトラブルも丁寧に描かれあっと言うの間の鑑賞でした。もうカメラの前に立つことはあまりないと言っていたイーストウッド、題材が適切で自分がやるべきと思ったからやったまでと語っていますが、こうして新作を見ると俳優としてもまだまだすばらしい。むしろ同世代でここまでスクリーンに引付ける俳優がいなくなってきただけに是非ともまた出て欲しいと思いました。
ラストのウォルト選んだ"男のけじめ"...さすがです。
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