蛍雪ジェダイ
森山真司
ディストリクト ショッププレス
プレス兼ディストリクト
ホームページのコントロールとウィンドウディスプレイ担当。キャリア20年超のジェダイを目指す名物販売員
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『Virgin Suicides』
2009.09.14
『ヴァージン・スーサイズ』virgin suicides
脚本・監督:ソフィア・コッポラ 原作:ジェフリー・ユージェニデス「ヘビトンボの季節に自殺した5人姉妹」主演:キルスティン・ダンスト、ジョシュ・ハートネット、ジェームズ・ウッズ、キャスリーン・ターナー
公開当時、劇場で観ましたがそのトーンにクラクラさせられた一人です。当時原作も読みました。その後も数回鑑賞し、最近DVDも棚に加わりました。買ってから見るのは初めてかな。
キルスティン・ダンストは以前から『ジュマンジ』の頼りになるお姉ちゃん、『インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア』での妖艶な子供吸血鬼と演技派子役の名をほしいままにしていましたが、カワイイのかも...とわたしに思わせたのはこの映画が初めてでした。親しみやすいキュートさっていうのかな。決して美人とは言いませんが。
映画デヴューは『ニューヨークストーリーズ』というウッディ・アレン、マーティン・スコセッシ、やはりお父さんコッポラの三人が描くオムニバス形式の作品中(これも劇場に行ったな)コッポラが撮ったエピソード"Life without Zoe"で劇中の娘役...気付かなかった。
原作では周囲の少年たちの回想トーンがもっとつよく、この映画に見られるような"ガーリーな"(そんな表現自体この映画がきっかけで市民権を得たんじゃなかったっけ?)トーンを加えたのはまったくのソフィア・コッポラの脚色。そしてこれがあったからこそ人々の記憶に残る映画になったのではと思います。
原作の解釈の違いから全くの駄作とまで一部では評価されていますが(結局彼女たちの死が厳格な母親へのあてつけのように受け取られる)この映像にある独特のトーンが少女たちのはかなさ、不安定さがもつ美しさとその終わり、逃れられない成長とともに明らかになる現実世界の虚飾に対する絶望感を確実に表しています。
病気になった木を切り倒すシーンもまた象徴的。
彼女たちが何から逃げたかったのか?はっきり明言はできませんが子供時代の終わりを自覚するあの悩み多い世代を通ってきた人ならなんとなくわかる(自殺を肯定はしませんが)ぼんやり・ひんやりした後半の映像は饒舌です。ラストのナレーションが蛇足なんだろうな...。
「昼間なのにくらい部屋」...色彩の氾濫のような少女たちの存在と対照的なあの冷たいよどんだ空気が妙にわたしを納得させます。
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