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『No Country for Old Men 』

2009.12.17

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jedi_no-country-for-old-men.jpg『ノーカントリー』原題No Country for Old Men (年寄りに居場所はないって意なので邦題では意味を成さない)
監督:ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
主演:ジョシュ・ブローリントミー・リー・ジョーンズウッディ・ハレルソンハビエル・バルデム

アカデミー賞4部門受賞、コーエン兄弟の評価をさらにたかめた作品ですが、予想された惨殺シーンを見る気にならなくて今までスルーしていました。レンタルにてようやく...。

ベトナム帰還兵でもあるモスは猟の合間に、失敗し相討ちになった麻薬取引現場を見つけてしまう。殺戮の現場をハンターの目で冷静に分析しながら取引されるはずだった大金を盗み帰るモス。結果的に組織が放った冷酷な殺し屋アントン・シガーに追われることに...。

"レクター以来史上最高の死の運び屋"とも評されたシガーを演じるハビエル・バルデムが不気味で素晴らしい!(公開前のトレーラーで彼の見開いたギョロメをチラ見してロバート・ダウニー・Jr.かと勘違いしていました)自らのルールのためには雇い主さえ殺してしまう異常な心理と、それを体現するような牛の屠殺用の空気銃を用いた静かで絶対的な殺戮シーン。冒頭の登場シーンから激することなく黙々と自分の手錠を使ってチョークスリーパーで警官を後ろから締めあげる表情...。そしてリノリウムの床に残された断末魔の警官が蹴ったであろう靴底が擦った黒い跡をなにげなくわれわれに見せてくれる...。

暴力の連鎖の映画でありながら、ヒトの心理を超越したかのようなシガーの登場は「純粋な悪(災厄)」から逃れたり、逃れられなかったりの分かれ道って結局は偶然でしかないと達観させられる。

大金を持ち逃げする小悪人モス(ジョシュ・ブローリン)とシガーの追跡劇として、どうしてもモスに感情移入しがちだが、タイトルからあるとおり脇役とも思われたモスを助けようと事件を追う保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)の視点が重要。事あるごとに最近の犯罪の無秩序性を嘆き、引退を決意する彼。ラストでエーッ!!?と思わないためにもトミー・リーの心理を追ったほうが理解できます。

まったく音楽を用いず、ボンベの音、足音、息遣いなどの"音"が臨場感と緊張感をかきたてます。唐突に始まるエンドロールに唖然としますが、やはり忘れることのできないテーマ性と不条理な暴力の数々が病んだアメリカをずっと考えさせてくれる流石の名作です。

ジョシュ・ブローリン...『プラネット・テラー』、『アメリカン・ギャングスター』と活躍が続いていますが懐かしい『グーニーズ』のお兄ちゃん役がデヴュー。全く面影はありません( ^ω^)

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