蛍雪ジェダイ
森山真司
ディストリクト ショッププレス
プレス兼ディストリクト
ホームページのコントロールとウィンドウディスプレイ担当。キャリア20年超のジェダイを目指す名物販売員
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「The Girl Who Loved Tom Gordon」
2010.12.07

スティーヴン・キング著
先週の土曜日、こどものプール教室に付き合って、待っている時間に手早く図書館に立ち寄って借りてきました。
まったくタイトルからは想像のできない9歳の少女の森での厳しいサバイバル物語。
話はいたってシンプルですが、両親の離婚とともに転校を余儀なくされ、不満をぶちまける兄と母の絶え間ない口論。無邪気に装うのにも疲れハイキング中にちょっと用を足そうと先を歩く二人の行く道をそれてしまうトリシア。
人目を気にして森の中に入り、ちょっと近道のつもりでさらに奥に進んだが最後、彼女は9日間森をさまよう結果になってしまう。
これだけのプロップだけで何の筋書きも用意せずに思うがまま書いてしまったとキングが語る中編程度の物語は、それだけに日常の裏側に潜む敵意に満ちた世界との境は道一本ほどのささいなものだと恐ろしい事実を読者に突きつけ、ページを繰る手が止まらない^^
面白く、そしてちょうどいい分量で3日で読んでしまった。
たまたま持っていたウォークマンのラジオで聴く、大ファンのレッド・ソックスのリリーフピッチャー、トム・ゴードンの試合だけに支えられた彼女のサバイバル。真に迫る森の恐怖とその孤独感は、彼女と同程度かそれ以下の都会育ちの知識だけで森に放り込まれたら、わたしならもっと前に諦めるんじゃないかと思わせるほど過酷でした。
ラストの家族の姿が清々しい。
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