廣山直人と倉石一樹。 新譜と新店舗、そしてバンド。
2011.10.31

先頃発売されたdelofamiliaのサードアルバム『Spaces in Queue』。そのアートディレクションを担当しているのが東京を代表するクリエイター、倉石一樹なのです。廣山直人と倉石一樹、表現の異なるこの2人が共鳴する理由とは。アルバムリリースにショップオープンと、新たな船出を飾ったばかりの両者が今、考えること。
Photos_Nahoko Morimoto
Edit_Hiroshi_Yamamoto
―まずは、そもそもどういったキッカケで出会ったのかを教えていただきたいのですが。
倉石:最初はトミー・ゲレロのライブの日だよね、2006年かな。僕は少し関わっていて、いろいろお手伝いしつつ、ライブも観て、という感じで。その後の打ち上げに直人が来たんですよ。
―直人さんは、なんでまたトミー・ゲレロのライブの打ち上げに顔を出したんですか?
直人:倉石さんとの共通の知人に突然呼び出されて、何も知らずに行ってみたら、その打ち上げ会場だったんです。
倉石:さっきまでトミーのライブだったんだよ、という話をしてね。
直人:ええぇ!? って驚いて回りを見渡してもトミー・ゲレロはいなくて。それで改めてきちんと倉石さんとお話をしたのが最初ですね。
―お互いの第一印象はいかがでしたか。
倉石:道玄坂を上がってくる姿を見ながら「なんかボビー・ギレスピーみたいのがいるなぁ〜」って思っていたのは憶えていますね(笑)
―直人さんはいかがでしたか。
直人:謎の人でしたね。何をしているのかさっぱりわからなくて。お会いしてから半年くらいかけて、徐々に見えてきた感じですね。
倉石:その頃僕は、直人の兄たちのユニット・RYUKYUDISCOのジャケットデザインをしていて、そっち関係の人に思われていたようです。

―あまり良い出会い方はしていないんですね(笑)。
倉石:そんなことないですよ(笑)。その打ち上げのときに、トミーのことはもちろん、いろいろな音楽の話をしたら、僕が好きなジャンルとリンクする部分が多くて。しかも、かなり詳しい。
直人:ストーン・ローゼス、プライマル・スクリーム、ファクトリー・レコード、ハシエンダ......、そのあたりの話をしましたよね。そしたら、倉石さんがイアン・ブラウンのジャケットのデザインをしているとか言い出して、なんだかすごい人が目の前にいるぞ、と。
―実際に一緒に物作りをするようになったキッカケはなんだったんですか。
直人:音楽の話で意気投合したのもあったので、delofamiliaのファーストのリリース前の音源を渡したんですよ。
倉石:絶対聴かないだろうなって思っていたんですけどね(笑)。仕事柄たくさんのサンプルを頂きますけど、聴けないほうが多いですからね。オレンジレンジも進んで聴いたこともなかったし。ただ、本当になんとなく聴いてみたんです。そしたら思いのほか良くて(笑)。それからは、逆に僕が直人に興味を持ち始めちゃって(笑)。
直人:だからといって、すぐに一緒に何かをって感じでもなかったですよね。
倉石:僕もいまいち憶えていないんだけど(笑)。アディダスの「Originals by Originals」のイベントが最初かな。そのときに音楽をお願いして。
―その後、アルバムのアートディレクションに携わったりするようになったんですね。逆に直人さんにとって、ファッションデザイナーとしての倉石さんはどういった印象なんですか。
直人:倉石さんに出会うまでは、洋服にあまり興味が無かったんですよね、実は(笑)。
―ええぇっ!? 様々なファッション誌に登場していたのに......。それれで、いきなり倉石さんの洋服というのは、ハードルが高いような気もするのですが。
直人:詳しいことはわからないので、本当はそうかもしれません。ただ、倉石さんの作る洋服はすごい好きです。空気感というか、雰囲気というか、とてもフィットするんですよね。オレンジレンジのメンバーには「服装が変わった」と言われるようになりましたけど(笑)。