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3人のファッショニスタが語る、ドクターマーチンの過去・現在・未来。 VOL.3 栗野宏文

2012.02.16

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VOL.1 小野田史
VOL.2 大村鉄也
VOL.3 栗野宏文

カルチャーを意識せず、ファッションとして。

―一番最初に〈Dr.マーチン〉という存在を意識したのは?

小野田史(以下小野田/敬称略):中学生くらいのときですね。海外雑誌からの情報を読みあさっていて、パンク以降の『i-D』や『FACE』などで見るジュディ・ブレイムの表現というか。ファッション・パンクからの影響は強かったです。それで、日本だと雑誌の『CUTIE』ではそういった流れを汲んでパンクなスタイルに〈Dr.マーチン〉を履き合わせるスタイルが見られるんですが、かたや『Fine』ではクラバー(クラブに行くときのスタイル)と呼ばれる人達が〈Dr.マーチン〉を履いていて。かなり太めで長めのショーツに 3アイレットの〈Dr.マーチン〉で、〈STUSSY〉なんかのTシャツにニットキャップみたいな。

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―夜のスケーターというか、ダークな感じですよね。

小野田:そんな中で〈Dr.マーチン〉は、どちら側にもマッチするので重宝してました。あと、当時隣りの名古屋ではパンクの大きなムーブメントがあって、僕らの友だちは情報を仕入れるなら名古屋へ行ってて。「ア・ストア・ロボット」の存在が大きいと思うんですが、それでファッション・パンクも盛り上がっていたんです。

―〈アンダーカバー〉が誕生する前の〈ミルクボーイ〉などがブレイクしていた時期くらいの話ですね。

小野田:もちろん、そういう時代を謳歌して、そんなスタイルもしていました。僕は〈Dr.マーチン〉をカルチャー的な側面から取り入れていたんですが、時が経つにつれ そのカルチャー部分を強く感じ過ぎてしまって、いまはファッションとして、英国的なメーカーの靴として捉える方が気分なんですよね。英国的なパープルのスーツに〈Dr.マーチン〉を履き合わせるような。この少しキドい(※少しアクを出しながら 気取っている様)感じが、〈Dr.マーチン〉にはまだ残ってるように感じるんです。

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―となると、カジュアルに履くというよりは、スーツやジャケットスタイルに履き合わせるのが気分ですか?

小野田:そうですね。いまはカルチャーを感じさせるスタイルが、自分的につまらなく感じて。もちろん、そういう側面も大切だとは思うんですが。例えば、このシューズはアッパー部に魚の革を使っているんですが、そのセレクト感覚がキドい感じにシンクロするんですよね。今シーズンのなかでは、とくに響きました。

―2012年春夏に履くなら、どんなスタイルに仕上げたいですか?

小野田:ただ〈Dr.マーチン〉の存在感だけに引っ張られるスタイルにはしたくなくて。どちらかと言うと、ニューコンサバティブというか、Tシャツにデニムというよりはシャツにスラックスで合わせるような、〈ジョン・ピアース〉のシャツに履き合わせるようなスタイルが気分ですね。

―イケメン サラリーマンがしてるようなシャツ×パンツではなく。

小野田:そうですね。その辺はストリートナイズされたシャツ×パンツで、ドレスシャツをあえて気崩すとか、その辺の着地点はストリートの方がカッコ良いと思うので。

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―一時期、〈Dr.マーチン〉から離れている時代があったような話もありましたが?

小野田:最初は3アイレットのチェリーカラーを履いていたんですが、意匠だったソールの存在感も含め、カルチャー的な部分を強く感じすぎてしまって、東京に出るときに存在ごと置いてきたというか。カルチャー的な部分は、本気の人達に任せようと思ったんです。それからは随分長く履かなかったですね。

それが、アリになったというか、再度履きたくなったキッカケは?

小野田:最近ファッション的な側面を強く感じられるようになってきて、先シーズンに紹介したオイルドコットンのモデルなんかは、とくに。トレンド的な要素が落とし込まれたモデルなんかに、メーカーのリノベーションも感じますし、これを面白く履けなかったらダメなんじゃないかって。ブラックウォッチのダブルに白いTシャツで〈Dr.マーチン〉履くようなスタイルがカッコ良いと思うんですよね。
スタイルとして完成させるのは魅力なんですが、僕らの年代って完全に天の邪鬼な世代だから、やっぱり崩していく方向に憧れる。そっちを面白いと思っちゃうんですよね。だから、良い意味で英国靴メーカーのひとつというか、歴史とかカルチャーをあえて消して履くような着こなしに、いまはチャレンジしたいですね。

―それで、「その靴、どこの」と聞かれて。

小野田:自分的には、いまはクロージングの方が気になるし、水が合ったというのもあるので、そういう見方で〈Dr.マーチン〉をピックアップして、先ほども話したようなキドいスーツやセットアップスタイルに合わせて着こなせていけたらと思っています。

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CORE 3989 BROUGUE SHOE
フィッシュレザーに切り替えたロングウィングチップシューズ。
¥47,250(ドクターマーチン・エアウエア ジャパン 03-5822-6810)
http://www.dr-martens.co.jp/
http://firstandforever.drmartens.co.uk/jp/

DM_vol1_profile.jpg Hitoshi Onoda

小野田 史


フリーランスのファッションエディターを経て、現在は男性ファッション誌やタレントなどで活躍するスタイリストに。ファッション、カルチャーへの造詣も深く、知識も豊富。1976年生まれ。
www.onodahitoshi.com

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