Special Interview M.W FOR TOMMY 渡辺真史、個人として。トミーとの協業について。 ~SLUM BEAUTIFUL~
2014.02.07

〈トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)〉のエッセンスに新たなプレッピースタイル【NEW YORK DOWNTOWN PREP with "TOKYO TWIST"】をコンセプトにデビューした〈トミー(TOMMY)〉。そんな〈トミー〉が〈ベドウィン & ザ ハートブレイカーズ(BEDWIN & THE HEARTBREAKERS)〉のディレクター、渡辺真史氏とまさかのコラボレーション。この意外性溢れるタッグは、何故生まれたのか。そしてこのコラボレーションの目的とは。渡辺氏自らが語る〈M.W FOR TOMMY〉の真実。
Edit_Hiroshi Yamamoto, Yuji Nakata
-ブランドとしての背景や歴史、ファッションに対してのアプローチもまったく異なる〈トミー〉と〈ベドウィン〉の渡辺さんがタッグを組むこと事態、異例というか意外性を感じます。
渡辺真史氏(以下渡辺/敬称略): そうですね。僕もそう思います。(笑)
-前回の〈アディダス オリジナルス〉とのプロジェクトについてお伺いしたときには、もう話は進んでいたんですか?
渡辺: 水面下ではありますけど、動いてはいました。〈アディダス オリジナルス〉や〈ステューシー〉といったナショナルブランドと仕事を進めていくなかで、コラボレーションの面白味というか、あり方そのものを見つめ直すようになって。そういったなかで社内の人間を通じて〈トミー〉の方を紹介されて、という流れですね。
-渡辺さん自ら積極的に動いたんですか?
渡辺: 積極的というよりも、今の心境を素直に話して、コミュニケーションを重ねていくなかで「日本、東京発のプロジェクトをやりませんか?」とお誘いを受けた感じですね。僕自身も、これまでとは違う世界で勝負をしてみたかったので、是非お願いします、と。
-その時点で渡辺さんは、〈トミー〉でやるべきことが見えていたのでしょうか?
渡辺: 僕らとはスタンスが違うからこそ、できることが多いんですよね。とはいえ、アメカジやプレッピーといった共通するキーワードはたくさんある。しかも〈トミー〉は、ニューヨーク・ブルックリン発祥のブランドの東京発信のラインじゃないですか。つまり、東京ならではのトレンドやサイズ感といった細かい部分は共有できている。そういったなかでやるべきことは自ずと見えてきますよね。
-それは具体的に何だったのでしょう?
渡辺: やるべきことの1つに挙げていたのは、デザイナーの顔を見えるようにすることです。ブランドとしての規模が大きいと、組織的で匿名的な物作りになってしまうんですよね。そこをあえて名前を立たせることで、顧客の反応にも違いが出てくるのかなと。だからこそ、今回は僕個人の名義で取り組むことにしました。
-そもそも〈トミー〉、〈トミー ヒルフィガー〉というブランドに対してどんな印象を持っていたのでしょうか?
渡辺: 〈トミー ヒルフィガー〉といえば、アメリカを代表するプレッピーなブランドですよね。僕らのようなインディペンデントなブランドとは、歴史もスタンスも、もちろん売上もまったく違う。見上げるような存在ですよ。〈トミー〉に関しては、〈トミー ヒルフィガー〉をベースに展開されている日本独自のディフュージョンラインという印象でした。
-ブランド規模が違うというのは、渡辺さんにとってプレッシャーになりましたか?
渡辺: いや、むしろそこがポイントです。規模が大きいほど、多くの人に目にしてもらえますからね。僕らの培ってきたクリエイティブが〈トミー〉という大きな舞台で、どんな反応が起きるのか。プレッシャーどころか期待の方が大きい。
-これまでのコラボレーションプロジェクトとは、意識が異なるわけですね。
渡辺: これまではある程度、ターゲットの近いブランドとコラボレーションをしてきましたからね。〈トミー〉のお客様は、良い意味で一般層。僕の名前どころか〈ベドウィン〉も知らない人がたくさんいると思うんです。そういった方々こそ、服を買うことに対してシビアだったりするじゃないですか。だからこそ、物作りという純粋な部分で評価していただける。そこに、やり甲斐を感じたんですよね。