スタイリスト、プレス、ショップオーナーが語る 三者三様の"アメカジ"考察。
2011.11.04

廃れることの知らない、普遍的なファッション及びスタイルといえば「アメリカンカジュアル」こと、アメカジです。老若男女問わず、多くの人々に愛される。ファッションでは希有なポジションをキープし続けるアメカジの魅力とは。〈ファイブブラザー〈FIVE BROTHER〉〉に〈チペワ(CHIPPEWA)〉、〈オルタナティブ(ALTERNATIVE)〉などといったブランドを軸に、無類のアメカジ好きのショップオーナーをはじめ、スタイリスト、さらにはセレクトショップのプレスという異なる視点から、各々の「アメカジ考」を語っていただきました。
Photo_Shota Matsumoto
Edit_Hiroshi Yamamoto

小林新
スタイリスト。1978年 神奈川県生まれ。大学卒業後、渡辺康裕氏に師事。2006年に独立。メンズファッション誌にミュージシャン、広告などを中心に活動。洋服にとどまらず、その周辺にある美術などもスタイリングの一環と考え、独自の職人的な視点を持つスタイリストとして定評がある。現在アシスタント募集中。
www.takahashi-office.co.jp
―そもそも小林さんがファッションとして「アメリカ」を意識するキッカケはなんだったんですか。
小林:実は意識したことは無いんですよ。というのも横須賀出身で、横須賀基地がすぐ近くにあったので。生活しているなかで日常的にアメリカに触れていたんですよね。
―ということは、アメカジを強く意識するというよりも、自然と慣れ親しんでいったということですね。
小林:そうですね。物心ついた頃から普通に身の回りにありましたからね。僕自身も中高生の頃にはどぶ板通りで遊んでいたり、ベースにも頻繁に出入りしていましたからね。そういった生活をしていると、軍物のピーコートやベトジャンといった物は、とても身近な存在だったんです。
―逆に「アメリカ物」に嫌気がさす時期とかは......?
小林:裏原と呼ばれていた時期に、ドメスティックブランドに傾倒しましたけど、その背景に「アメカジ」を感じていたというのもありますからね。それと高校生の頃にはハイブランドが流行ったりしましたね。それでも、僕は頑なに古着とか着ていたんです。結構、頑固なのかもしれません(笑)
―スタイリストとして「アメカジ」というのは、どのように捉えていますか。
小林:自分らしさを表現できる場合は、必ず忍ばせるようにしていますね。もちろんトレンドや時代背景が前提にありますが。自分の個性の1つとして、こだわりながら取り入れていこうとは思っています。
―今回着ていただいた〈ファイブブラザー〉と〈チペワ〉には、どんな印象をお持ちですか。
小林:ともに歴史のあるブランドですよね。古き良きアメリカの良さをキープしながらも、きちんと現代的な提案もしている。
―「現代的」というのは具体的に言うと?
小林:〈ファイブブラザー〉に関しては生地感とかは風合いは、良い意味で変わらない仕上がりですよね。アメリカ特有の野暮ったさが残っていながらも、着丈や袖丈が絶妙に調整されている。古着だとアメリカ人の体型に合わせて作られていることが多いので、買っても着られないんですよ。そういった意味で今買うなら断然、現行物でしょうね。
―〈チペワ〉に関してはいかがでしょう。
小林:この佇まいは、歴史があるからこそ。エンジニアというとレースアップが主流ですけど、モックタイプもあらゆるシチュエーションで使えるので、今回履いたモデルはかなりお勧めです。クレープソール特有の程良いカジュアル感がスタイルに幅を出してくれる。
―なるほど。そういった具体的な活用法は勉強になります。それでは最後に、小林さんにとって「アメカジ」の魅力とは。
小林:幼少の頃から自然と触れてきたので、明確に何がよいのかというのは難しいんですよね。ただ、僕自身も長いこと着続けてきたし、大きく流行に左右されることもなく、時代を経ても変わらない普遍的な魅力があるのは事実だと思います。今着るための服ではなく、長く付き合っていけるプロダクトと言えるんじゃないでしょうか。
ファイブブラザー
www.topwin.co.jp/brands/fivebrother.html
チペワ
www.topwin.co.jp/brands/chippewa.html