FEATURE
Y2Kアーカイブモデルを独自の色で再構築。ショーン・ウォザースプーンとテバの新たな試み。
Teva × Sean Wotherspoon

Y2Kアーカイブモデルを独自の色で再構築。ショーン・ウォザースプーンとテバの新たな試み。

異常なほどの猛暑・酷暑が続く2025サマー。これだけ暑いと自ずと足元事情にも変化があるもので、例年以上にサンダルの出番も増えるわけです。その中でも勢いを増す〈テバ(Teva)〉と、ヴィンテージとスニーカーカルチャーの象徴的存在で、数々のグローバルブランドとのコラボレーションを手がけてきたデザイナー、ショーン・ウォザースプーン(Sean Wotherspoon)による限定コレクションが、8月14日にグローバルローンチ。これに先駆けて開催されたポップアップイベントの会場を訪れ、本プロジェクトのキーマンであるショーンに会ってきました。

ショーン・ウォザースプーンは、デザイナーでありドリーマー(夢想家)。

ー〈テバ〉が掲げるアンセム「For Playground Earth」は、同社が自然や環境保全と縁が深いブランドであることを示しています。そういったブランドの背景と、あなた自身の考えや経験、スタイルとの親和性について教えてください。

ぼくは12年前からヴィーガンとして生きています。その中で、自分の生み出す作品やライフスタイルが地球環境にやさしいかどうか。これを生きていく上で最も重要なものとして捉えています。だから素材に天然皮革は使用しないし動物実験も絶対に認めない。それは今回のようなシューズのみならず、過去に〈ポルシェ(Porsche)〉とコラボレーションした時だってそう。シートやハンドルに天然皮革を使用せず、その他のパーツも環境負荷のない・少ないものを選びました。

ー以前、「自分にリーチできて大きな企業にできない、大切な要素がストーリーテリングであり、心に響くストーリーが重要である」とも答えています。では、今回のコラボレーションの背景には、どういったストーリーがありますか?

2つのストーリーがあると考えています。

ひとつはプロダクト自体に関わるデザイン的背景。〈テバ〉とのコラボレーションに際し、過去のアーカイブを掘り起こし、その要素を新たにデザインへと落とし込むこと。それはぼくがこのブランドがこれまで積み上げてきた歴史や、その中で生まれたプロダクトについて知っているからこそ実現できたと思っています。もう1つは、今回のプロジェクトに触れるオーディエンスたちに楽しんでもらえるような仕掛けや物語作りです。これは、ぼくが生み出したデザインに、さらに共感してもらうためのものですが、それだけではなく、皆さんが想像力を高めるきっかけにもなれば嬉しいですね。

ーこのコラボレーションを記念して開催されたポップアップ(すでに開催は終了)が、まさにその想いを具現化したものでした。

最近のショッピングは、ただ列に並んでお目当てのものを買って帰るというだけの味気ないものになってしまっています。ですが、ここでは非日常的で見たことのない世界に入り込んで、キャラクターたちが着用しているのと同じシューズが手に入る。退屈なショッピングではなく、この空間ならではのユニークで面白いショッピング体験を味わってもらいたいと思い、ポップアップを開催しました。

原宿という街は、本当にさまざまなモノで溢れています。その中で自分が手にするモノの理由に、デザインだけでなくストーリーがあったらすごく素敵だし、ポップアップを訪れた皆さんにはもっと自由に想像力を広げて楽しんでもらいたい。たとえば「映画の『ナイトミュージアム』のように、夜中にタカ・ジョーンズたちがいまるで生きているかのように動き出して、お喋りしているんじゃないか?」とかね(笑)。

ーあなたが“幼少期に体験した、アウトドア好きの父親とのキャンプでの思い出”が今回のコラボレーションの出発点だそうですね。その思い出がなぜ、2050年を舞台とした伝説の宇宙探検家「タカ・ジョーンズ」とそのクルーの“銀河を超える地球への冒険”というストーリーに繋がっていったんでしょうか?

たしかに幼少期の父との思い出と〈テバ〉は、ぼくの中で密接に結びついています。ただそれだけでは、やや堅苦しく感じられると思いました。そこで、もっと楽しいアイデアを取り入れる方法はないかと考え、自分の中のもっともクレイジーでふざけている部分を表現してみました。

通常、ぼくはデザイナーとカテゴライズされていますが、自分自身をドリーマー(夢想家)だと思っています。ゆえに、ブランドや他者とコラボレーションする際には、ぼくの中にある夢や想像の世界を形にできるようなプロジェクトを心がけています。その結果、今回は〈テバ〉のサンダルが未来の宇宙探検家たちの必需品になったというわけです(笑)。

ーアクロバティックなアクションが目を惹くムービーやキービジュアルも実にユニークです。こだわった部分を教えてください。

西暦2950年の地球で発掘された“未来の歴史ミュージアム”で、2900年の映像作品を見るというのがコンセプト。なのでただのオフザケではなく、かつて実際に存在していたリアルなものとして観る側に受け取ってもらえるようリアリティを追求しました。

各キャラクターの演者にはプロのスタントマンを起用し、彼らが着用するヘルメットや宇宙服もカリフォルニアのカスタム工房でエイジングを施すなど細部までこだわっています。ハリウッド映画を観るのと同じ感覚で、ぜひ楽しんでもらいたいですね。