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I Just Felt Like Running.vol.2 山を50km走る、ということ。
MONTHLY JOURNAL NOV.

I Just Felt Like Running.
vol.2 山を50km走る、ということ。

なんとなく走り出してみたものの、意外と難しいのが継続すること。そこでぜひともトライしてほしいのが、レースにエントリーすること。それだけで目標がはっきりするし、自然とモチベーションアップに繋がるんです。というわけで11月のランニング特集後編では、トレイルランニングのレースレポートを掲載。主役を務めるのはフイナム編集部の安田天音。初となる50km超のレースを乗り越えるために、彼女はどんな面持ちで挑むのか。ある意味自由奔放なスタイルから、走ることを楽しむためのヒントを探っていきましょう。

まさかのコースロスト、からの!?

高山エイドを過ぎてしばらく進んだ場所にいいロケーション発見。樹林帯を行く選手たちの横顔をドラマチックな夕陽が照らしています。

そこからはストンと一気に夜に。ヘッドランプを点灯する選手が目立ってきましたが、安田がなかなか現れません。

なにかのトラブルでしょうか。いや、もしかしたら予想外に早くてすでに通過しているのかもしれません。いい想像のほうを信じて次のエイドで待機することとします。

最終エイドである「県民の森」で待っていると、安田からLINEが飛んできました。

「ロストしちゃいました!」

なんでも4kmほど違う道を進んでしまって、いまコースに復帰しているといいます。時刻は18:00。最終関門が19:00だから、かなり厳しい戦いとなってきました。

18:37。最終エイドに安田が戻ってきました。

ここまで順調だっただけに、これは痛い、と思いきや本人は全然気にしている素振りはなく、弱音ひとつ吐きません。

「1人だったら完全に遭難でした!」となぜか笑顔。取材班の心配をよそに、予期せぬトラブルさえも楽しんでしまう、強靭なメンタルをレース終盤で見せてくれました。

気温がだいぶ下がってきたので、ここでアームスリーブを装着することにしたようです。

「スリットが入っているから、付けた状態でも時計を使えるんです」

たしかに、このスリーブなら心拍なども計れるし、視認性や操作性も高い。だけど、そろそろ出発しないとじゃない?

「あと12キロですよね。絶対ゴールまで行くんで待っててください!」と心強いひとこと。

とはいえ、ここから2時間で12kmとなるとかなり厳しい戦いとなることでしょう。しかも、ロストした分を加えるとすでに50km近く走っています。本人は飄々としていたけれど、メンタル的にも相当キツいはずです。

時刻は19:40。フィニッシュゲート。ロストする前は安田の付近にいた選手たちが、続々帰ってきます。データを見ると、最終エイドからだいたい2時間半くらいかかっている人が多いようです。何回計算してもギリギリです。

制限時間まであと30分。続々と選手が帰ってくるなか、タイムリミットが迫ります。来い、来い!

そして制限時間まであと20分のところで、ようやく安田の姿がフィニッシュゲートに!!

タイムは11時間45分40秒。最後のエイドからは2時間かからず駆け抜けてきた計算になります。

「ぶっ飛ばしてきました! でも、このレースではいろんなひとに助けてもらいました。ロストしたときも近くにいた人と協力しながら道を探したりして。みんな競争相手じゃなくて一緒に走ってる仲間なんだって本当に実感しました」

そして水分補給を済ませたあと、すぐさまビールも補給。彼女にとって特別な一杯となったことでしょう。

そして翌日、早朝4:30。トレイルランナーがエイドに入ったタイミングを教えてくれる「トレイルサーチ」というサイトによると、山本が最終エイドに入ったというではないですか。なんと昨年よりも約4時間も早いタイム。これは想定外のことで、スタッフ陣は急いで準備をして、ゴールである「羊山公園」へと向かいます。

スタートから24時間を経過した頃、ゴールテープのある「羊山公園」に山本の姿が見えてきました。タイムは25時間1分12秒。昨年よりも5時間近く早く帰ってきました。

「こんなはずじゃなかったんですけど、調子がよくて」とちょっと照れたように笑う山本。

「とりあえず風呂で身体を温めたいんですけど、まずは一服ですかね」 と言い残すと、静かに公園の草陰の奥に消えていきました。

そして、山本がゴールしてから3時間半後、「ととけん」の小田も帰って来ました。力を出し切った顔でひとこと。

「一生終わらんすね〜」

小田のメンタル、安田の負けん気、そして山本の経験値、それぞれの強さが吉と出た結果でした。同じレースを走った3人ですが、それぞれがまったく別の経験をしてきたのでしょう。共通するのは、終わった後の達成感といい表情。

安田が笑顔で振り返って言います。

「ちなみに東京戻ったら、宴らしいです!」

100kmを走り終えた面々を出迎えるには少々過激な発言のようだけど、それがフイナム ランニング クラブ♡のスタイルなのでしょう。楽しみ方は人それぞれ。走るということは自由なのだから。

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