FEATURE
スタイリスト松川総の、極私的なタイマーケットの歩き方。
Thailand is the land of happiness.

スタイリスト松川総の、
極私的なタイマーケットの歩き方。

探さずともSNSやAIが勝手にファッションを提案してくれる時代に、自分の足で歩いて探す。時間はかかるし失敗もするし先が見えないけど、見つけたときの高揚感は何にも代え難いものです。 スタイリスト松川総さんとともに2日間にわたってタイはバンコク周辺のマーケットを巡りながら、そんなことを考えました。ほぼ営業終了していた真夜中のチャトチャック市場にはじまり、有数な古着マーケットであるシーナカリン鉄道市場まで。 驚愕の36点の購入品はどのような経緯で手に入ったのか、現地で撮影した写真と帰国後の回想インタビューを合わせてお楽しみください。松川さんならではのニッチな尺度も必見です。

PROFILE

松川総

スタイリスト。1981年生まれ、長崎県出身。橋本敦氏に師事した後、2011年に独立。ストリートの旬とトラディショナルなメンズクロージングどちらにも造詣が深く、テイストや世代の垣根を超えた数々の人気ファッション誌で辣腕を振るう。
Instagram:@so_matsukawa

Chapter 1_真夜中のチャトチャック市場に現れた、謎のメガネ屋。

ータイに到着した日の深夜23時、最初に行ったのがバンコク市内から車で30分ほどにあるチャトチャック市場でした。

松川: 初日ということもあってそこまでギアが入ってなくて、肩慣らし程度にチャトチャック市場についた記憶があります。ほぼ店が閉まってて、何か収穫が欲しいと思っていた頃にこのメガネ屋を見つけましたね。思い返せば、このあとも同じような店があった気もしたんですけど、開いてる店がどこも大量消費型の古着屋だったのでその中では何か感じるものがありました。

ほとんどの店は区画内にあったが、このメガネ屋は隙間のスペースに簡易的な什器を置いて商いをしていた。

わずか2畳ほどのスペースに、サングラスとメガネが数百個陳列されていた。

ーここで買ったものは何でしたか?

松川: もう今は販売していないような老眼鏡です。帰国してからあるビジュアル撮影で使いました。

付属のケースはメガネが入っているとは思えないほど薄く、持ち歩きやすさを考えたものだと思われる。

〈フレッシュサービス〉が〈ブラームス〉に別注したセットアップのビジュアル。男性モデルにタイで購入した老眼鏡を掛けてもらった。

ー老眼鏡を使う意味はありましたか?

松川: モデルの方には申し訳ないけど、老眼鏡を掛けて眉をしかめている表情や、分厚いレンズで目が大きくなっているビジュアルは個人的に好きで。レンズ入りだと反射するからフォトグラファー泣かせな部分もあるんですが、その異物感がいいですよね。

ーモノによってリアルな表情が引き出されるってすごいですね。

松川: キャラクターも付けやすくていいし、日本で同じものを探せと言われても難しいので、本当に貴重な買い物でした。あと、元からコンパクトなメガネなのに、テンプル部分も折り畳める。これを当時つくった方に意図を聞きたいですね(笑)

店頭で松川さんも試着。たしかに目の見え方が変わる。

松川: あとここで買ったサングラスは電気グルーヴのライブで使用させてもらいました。電気に関しては、お二人とも私物でたくさんサングラスを持っている中で、日本で調達するのには少し限界を感じていた頃だったので、タイで見つけられたのは大きかったです。かっこいいものを探す気はなかったので、こういう変なサングラスを見つけられてよかった。

この店のラインナップは、都心のマーケットでも出回っているものだとのちのち気づいたんですけど、初日のハイな勢いもあって買っちゃいましたね。

雑に保管されている箱の中にも掘り出し物がザクザク。

ー海外旅行でマーケットをまわる時はその問題が付きまといますね。また戻ってくるのも億劫だし、でもこれが無二のものなのかわからないっていう甲藤というか。あと、他の店は区画の中でやっていたけど、この店は野良感が強かったですよね。

松川: 今日の売り上げは俺の買い物、みたいな感じで哀愁がありましたね(笑)

1本50バーツ(約250円)という破格の値段。閉店間際に売り上げが立って、店主もご機嫌。

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