ガラケーからガラケーへ。
ー俳優をやっていて、いちばんやりがいや楽しさを感じるのはどの段階ですか?
渋川: やりがいというかね……いちばん楽しいのは、現場で地方に行って、仕事が早く終わって、いい飲み屋を見つけてる時だね(笑)。「なんかいい店ないかな」って探してる時が最高に楽しい。「早く終わんないかな」って、最近は仕事場に行ったらすぐ思っちゃう(笑)
ーお芝居をしている瞬間よりも、その後の解放感がお好きなんですね。
渋川: もちろん演技の楽しい瞬間はあるし、現場の居心地がいいなっていうのもある。でも、やっぱり解放されて街に繰り出すほうが楽しいよ。行った先では、食べログとかも見るけど、店構えと地元のひとの声を大事にする。地元の連中と仲良くなったりしてね。俺、古い店が好きなんだよ。
ーその「遊び」の経験が、芝居に繋がっている感覚はありますか?
渋川: よく「遊べば芸の肥やしになる」なんて言うけど、それって理屈としては成立してないじゃん。でも、感覚的なものだけど、なんかあるんじゃないかなと思ってて。たとえば、酒を飲まないやつが酒飲みの役をやっても、おちょこの持ち方一つにしても実感が伴わないだろうし。いろいろやってるほうが、何かのシーンになった時に役立つ感じはするよね。
ー普段からひとを観察するタイプですか。
渋川: 見てはいるけど、それが芝居に反映されてるかは分かんないね。ただ、見るのは好きだよ。ちょっとひねくれてるから、電車に乗った時なんかは、みんなスマホ見てるじゃん。だから俺はあえて見ないようにして、周りをじーっと観察してる。俺、いまだにガラケーだしね。
ーガラケーですか!
渋川: 最近、ガラケーからまたガラケーに買い直したからね(笑)。電話がメインだし、メールが来てもすぐ電話しちゃう。iPadはあるから台本のデータは見れるしね。電車でみんな黙ってスマホ見てる中で、たまに本読んでるひとがいたりすると「あ、本読んでんな」って。周りを見ないひとがほとんどだから、人間を見てるのはおもしろいよ。
ー影響を受けた役者さんはいますか。
渋川: 30歳くらいの時にハマったのは渥美清さん。ふと「寅さんって見たことないな」と思って見始めたらおもしろくて、結局48本全部見た。寅さんっていうキャラクターも好きだけど、やっぱり渥美さんがかっこいいんだよね。役にそのひと自身が滲み出てる。勝新太郎さんとか田中邦衛さんもそうだけど、昔のひとはキャラクターが強かった。俺はやっぱり「人間力」があるひとが好きだね。