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光を見つけに行く道具——長場雄とRICOH GR。
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光を見つけに行く道具——長場雄とRICOH GR。

カメラを持つと、積極的に世の中を見るモードになる——そう語るのは、アーティスト、イラストレーターの長場雄さん。20年前に一度手にし、また最近手にしたのが〈リコー〉の「GR」。今年、フィルムのGR1から30周年を迎えるカメラについて、長場さんが語る、その魅力と日常にもたらした変化とは?

  • Photo_Ari Takagi
  • Edit&Text_Shinri Kobayashi

上っ面ではない、間違いない道具。

── 今回、またGRを手にしたのはどういうきっかけで?

マネージャーに子供が生まれるというので、仲のいいアートディレクターに「おすすめのカメラありますか?」って聞いたんです。そうしたら「起動が早くて小さくて、パッと撮れるから日常を撮るには一番いいよ」って。ちょうど僕もその場にいて、話を聞いているうちに自分でも欲しくなってきちゃって。

── サイズ感としても、日常づかいにちょうどいいですよね。

そうなんです。それで、GRでうちの子供を撮ろうと思っていたら、逆に子供にカメラを取られちゃって。「僕が撮る」って言い出して(笑)。子供も持てるいいサイズだし、ちょうどカメラに興味が出てくる年頃でもあって。子供が撮った写真を見るのも、悪くなかったですね。

── GRを持つことで何か日常に変化はありましたか?

GRを改めて使ってみると、カメラを持つと積極的に世の中を見るモードになるんですよね。やっぱりカメラを持つっていいなと。いい光とか、持っていないと見過ごしちゃうものがある。GRを持つことで、世の中を深く知るというか、つぶさに見てちゃんと気づけるきっかけを作ってくれる感じがしましたね。

── スマホで撮ろうとは思わないですか?

スマホでも撮るんですけど、写真が補正されちゃうんですよね。デジタル感がすごく強くなっちゃう。GRで撮ったものと、仕上がりがちがうなって。

── 光の曖昧さや空気感が、スマホのカメラだと残らないですよね。

そうそう、パキッとしちゃうんですよ。綺麗には撮れるけど、この曖昧な感じや雰囲気は残らない。別に綺麗に残したいわけじゃなくて、空気感やトーンを撮りたいんです。今日も午前は曇りだったんですが、午後から日が出てきたら「これチャンスだ」ってうろうろして撮ったり。昼に30分歩いて蕎麦屋に行くことが多いんですが、そのときもスマホとGRだけ持っていきますね。

── GRは、どんな道具だと感じますか?

すごく使える道具、という感じです。構えることなく、スナップシューターって言われてますけど、本当にまさにそうで。気になったものをボンボン撮っていって、後から見てみて、これはよかったなって考えればいい。ファインダーも見ないでとっさに撮って、意外といいのが撮れた、という楽しみもあるし、光がいいと感じたときはちゃんと構図も考えて撮れる。両方できるのがいいですね。

── プロのひとでも使っている方は多いですよね。

知り合いのアートディレクターの方もそうだし、複数台持っているプロの写真家が、その中の一台として使っている、というひともいますね。上っ面じゃないカメラだな、というのは改めて感じました。間違いない道具というのが前提にある、という感じで。

── (書棚を拝見して)好きな写真家はいますか?

(ウィリアム・)エグルストンとか(ヴォルフガング・)ティルマンスとか好きですね。日常のなんでもないものを素敵に撮っているじゃないですか。ああいうのに憧れて、そういう画はないかな、探している感じで撮っています。今回撮ったものだと、ガラス越しに何かが映り込んでいるのとか、レイヤー感があっていいなって。普段使わない目で世の中を見ている感じがしますね。

── そう聞くと、長場さんのイラストはシンプルでモノトーンですが、写真のレイヤー感、質感とは対照的かもしれないですね。

写真はレイヤーが重なっている感じがあって、光でいえば淡い光の写真が好きなんです。一方、自分の絵は逆で、そぎ落として、どうやってエモーショナルなものを作るか、ということを考えている。少ないもので、どう何かを喚起できるか。レイヤーを重ねることはできないから、ちがうやり方を探す感じです。

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