3_吉岡レオ
あのひとの顔を思い浮かべて。
〈ウィズダムツール〉のセットアップ、〈パイレックス ビジョン〉のシャツ、〈マイスドロートーキョー〉のアイウェア、〈デニムティアーズ〉のキャップ、〈ジェイエムウエストン〉のシューズ
PROFILE
大手セレクトショップ勤務を経て、デニムティアーズジャパンディレクター、ウィズダムツールPRとして活動中。広告・ファッション・カルチャーなど多領域で活躍する。
Instagram:@129oer
“あえてチグハグなスタイリングに挑戦してみた”と話してくれたのは、某セレクトショップのバイヤーとして活躍したのち、現在はフリーランスとして幅広い領域で活躍する吉岡レオさん。その発言と、目の前の計算され尽くされたかのようなスタイリングの辻褄の合わなさに違和感を覚え、まずはその発言の意味から探ってみることに。
「自分のなかでは、セットアップは(ジャケットのみでも)ハズさずにかっちりとタイドアップするのがいちばんかっこいいものだと思っていて。それ以外は基本的に合わないものだと考えているんです。で、どうせ合っていないんだったら、とことんチグハグなものを合わせてみようかな、と思ってのこれです。インナーは〈パイレックス ビジョン〉の厚手のチェックシャツを、しかもタックインせずに着ています」
それなのにどうしてここまでハマりがいいのか。やはり秘密はセットアップでした。
「セットアップは〈ウィズダムツール〉のオーダースーツです。スーツは結構持っている方なんですけど、意外とダブルのものって久しく着ていなかったなと思って、昨年の秋くらいにオーダーしました。このバーズアイの生地に惚れ込んでしまいまして」
胸元できらりと光るのは、ヴィンテージのトンボブローチ。トンボは前にしか進むことができず、昔から縁起のいい“勝ち虫”として愛されている昆虫。そういうところが好きなんです、と吉岡さん。
ディテール、サイジングについてもこう続けてくれました。
「6ボタンでクラシックな見え面なんですけど、袖ボタンを無くしてたり、パンツは少しワイド目にしたりと、昔の〈アルマーニ〉や〈ピエール・カルダン〉みたいなムードに寄せつつも、絶妙に年代が分かりづらいスーツに着地させたつもりです」
数多くのジャケット・セットアップに触れてきたからこそ、吉岡さんには並々ならぬこだわりがあり、自分のなかでの指針がしっかりとあるのでした。最後に、どのように服選びをしているのかたずねてみると、ひととの出会いや関係性を大事にする吉岡さんらしい考え方がそこにはありました。
「ぼくは場所というよりも、会うひとによって着るものを選ぶことが多いですね。これ着て行ったら喜ぶだろうなとか、だいぶニッチなディテールだけどあのひとだったらこの仕込みに気づいてくれそうだな、とか。場所でいうと、美術館に行くときはセットアップですね。ビシっとしたセットアップにツバの短いハットを被って絵を眺める…、そういう老後を送りたいなと思っています」
シングルと異なり、ダブルはボタンを外して着たときに形が崩れがち。吉岡さんはそれを防ぐために“引っ張りボタン”を付け、いかなる場合もジャケットの見え方にこだわる。