左からランニング専門誌『Runners Pulse』の編集長・南井正弘氏、フイナム副編集長の山本、ビーミング by ビームスのバイヤーを務める井上雅博氏。
最初から「このブランド面白いなぁ!」と思ったんです。
南井 自分が〈オン〉というブランドを知ったのは2013年だったんですが、みなさんはいつ頃このブランドの存在を知りましたか?
山本 2015年くらいだったと思います。〈ホカ オネオネ〉や〈アルトラ〉のような、いわゆるランニングカテゴリーにおけるサードウェーブ的な存在の1つとして認識したのが最初ですね。なかでも〈オン〉は、とにかくデザインがスマートな印象が強かったです。
井上 ビーミング by ビームスで扱う新たなスニーカーブランドを探しているときに出会ったのが〈オン〉でした。予備知識はまったくなかったにもかかわらず、最初から「このブランド面白いなぁ!」と思ったんです。その後、スポーツ系のセレクトショップでも目にして、やっぱり格好いいなと。それで2017年から取り扱いを始めました。
井上 〈オン〉のなかでもっともベーシックなモデルである「クラウド」ですね。ラバー製のストリングス(ゴム紐)のおかげで、脱ぎ履きがとにかく楽なんですよ。普通のシューレースも同梱されているのですが、そのままでも充分に走りやすい。フルマラソンを走って以来、ヒザが痛くなりやすくなったのですが、「クラウド」で走ったときは、ヒザの痛みが出なかったことにも感動しました。
山本 昨年末に「クラウド」と「クラウドフロー」を同時に試したのが最初です。まず驚いたのが、アンボックス(箱を開ける)するのにワクワクしたことなんですよね。それだけシューズボックスのデザインが洗練されている。しかも、箱を開けるとシューズと一緒にオーナーズカードまで入っていて。ブランドとしてのおもてなしの精神を感じさせてくれるんですよね。
ファッションシーンから注目されるのも必然。
南井 最初履いた時は、あまりに履き心地がよくて、いきなり30キロ走っちゃったんですよね?
山本 そうなんです(笑)。箱を開けるだけで興奮しちゃったので、履き心地への期待も自然と高まってしまい、せっかくならその性能をたっぷり堪能してやろうと。実際に履いてみるとクッション性もさることながら、力強く反発してくれるのが心地よくて、ついつい30キロも走っちゃったんです(笑)。それだけ高性能でありながら、シャープなフォルムで、色の組み合わせも美しい。ファッションシーンから注目されるのも必然だなと。
南井 スポーツブランドとして急速にシェアを伸ばしていることは、どう思われますか?
井上 スピード感が凄いですよね。世界規模で認知度がどんどん上がっている印象です。半年に一度、ニューヨークに出張するのですが、そこでも街で履いている人が増えている気がします。
山本 もともとはトライアスロンで愛用者が多かったイメージですが、最近ではトレイルランニングのシューズも出していますよね。トレランを嗜む1人としては、その履き心地も気になるところです。
スーツやジャケットスタイルにも相性がいい。
南井 2018年は、ハパルア、ゴールドコースト、ベルリン、ホノルル、チェンマイと海外マラソンを走ったのですが、数年前と比べるとレースデイの〈オン〉の着用率がかなり上昇していると思いました。あと、〈オン〉はカジュアルシーンでも履いている人が増えているのですが、受け入れられている理由は何だと思いますか?
井上 デザインがシンプルでスポーティ過ぎないところは、〈オン〉の魅力ですよね。だからこそカジュアルシーンでも、すんなりと受け入れられているのかなと。カラーリングやマテリアル使いも、他のスポーツブランドとは明らかに違い、とてもスタイリッシュです。
山本 シンプルなデザインにシャープなフォルム、カラーバリエーションはどれも美しいし、シューズボックスのデザインも素晴らしい。〈オン〉というブランドそのものが、見事なまでにアートディレクションされているのは魅力ですよね。僕自身、箱を空ける段階から、ワクワクさせられちゃいましたし(笑)。
南井 ヨーロッパだとグレーのフランネルパンツやチェックのウールパンツと「クラウド」のブラックやネイビーをコーディネートしてる人をよく見かけて、格好いいなぁと思ったのですが、みなさんは〈オン〉をカジュアルシーンでどのようにスタイリングしますか?
井上 今日のコーディネートもそうなんですが、スラックスに合わせることが多いですね。クリーンなイメージのスタイリングが、〈オン〉には合うと思います。大人の人が合わせやすいというか。それこそスーツやジャケットスタイルにも相性がいい。あと、スキニーなシルエットのパンツに合うんですよ。世の中の流れはダッドシューズのボリューミーなスタイルも強いですが、〈オン〉はそれとは対極にありつつ、しっかりとマーケットで主張できていると思います。
山本 プロダクトとしてモードな佇まいを持っているので、シックなスタイルで合わせるのが良さそうですよね。スポーツブランド、ランニングシューズだからといって、スポーティなスタイルに寄せないほうが、ハマりそうかなと。
トレイルランニングの景色を変えそう。
南井 こんなカラーリングやマテリアルミックスがあれば、というように、〈オン〉がファッションシーンで、もっと受け入れられるアイディアはありますか?
井上 次のシーズンで凄く気になるアイテムがありました。詳しくはいえませんが。個人的には「クラウド」あたりは、すでに新たな提案をしていると思うんですよね。
山本 むしろ、今のスタンスをキープすることが大事だと思います。ピュアにパフォーマンスを追求しながら、デザイン性の高いものを作り続けていけば、自然とファンは増えていくのかなと。
南井 ファッション、パフォーマンス問わず、〈オン〉に対する要望はありますか?
井上 シューズだけでなく、アパレルの拡充をお願いしたいです。
山本 確かにアパレルのデザインも、格好いいですよね。個人的にはトレイルランニングのロングレースのレギュレーションに沿ったアパレルがあると嬉しいですね。世界観が独特なので、トレイルランニングの景色を変えそうだなと。
南井 ブランドとして急速に成長しながら、まだまだ可能性を感じさせてくれますよね。ランニングシーンはもちろん、スニーカー及びファッションマーケットにおいても、今後〈オン〉がどのように存在感を示していくのか。注目しておきましょう。
(写真左から) Cloud Black/White ¥13,800+TAX、Cloud X White/Black ¥15,300+TAX、Cloudflyer Waterproof Black/Lunar ¥18,800+TAX、Cloud All White ¥13,800+TAX、Cloud All Black ¥13,800+TAX