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FEATURE|過去から未来へ、足掛け100年。進化し続けるKappaの魅力。

過去から未来へ、足掛け100年。進化し続けるKappaの魅力。

Kappa HISTORY BOOK LAUNCH EVENT “PATH to the FUTURE”

過去から未来へ、足掛け100年。進化し続けるKappaの魅力。

サッカーファンでは既にお馴染み。オーセンティックなスポーツブランドとしてはもちろんのこと、ストリートファッションでも人気を呼んでいるイタリア・トリノ発のブランド〈カッパ(Kappa)〉。その歴史を知るブック『Kappa 完全マニュアル』が先日リリース。その出版を記念したローンチイベントが、3日間に渡って開催。過去から未来へ、足掛け100年。関係者の話から、進化し続ける〈カッパ〉の魅力に迫ります。

  • Photo_Shunsuke Shiga
  • Text_Kana Yoshioka
  • Edit_Jun Nakada
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ヨーロッパを代表する老舗スポーツブランドとしてだけでなく、カジュアルなファッションウエアとして、またここ最近は、〈クリスチャン・ダダ(CHRISTIAN DADA)〉や〈エー.フォー・ラブス(A.FOUR LABS)〉、〈ゴーシャラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)〉、〈マルセロ・ブロン(Marcelo Burlon)〉といった名だたるブランドとコラボレーションを行い、さらなる展開を迎えている〈カッパ〉。今回の展示では、『Kappa 完全マニュアル』の中にも掲載されている、ブランドの過去の貴重なアーカイブの数々が一堂に会し、改めてヨーロッパ発のスポーツブランドの中でも老舗中の老舗だということを知ることができた。

倉石一樹(Kappa×A.FOUR LABS デザイナー)

カッパはどのスポーツブランドよりもやっていることが早かった。
(倉石一樹)

ヒストリーブックを制作するきっかけとなったのは、〈エー.フォー・ラブス〉デザイナーの倉石一樹さんが〈カッパ〉創業の場所であるイタリア本社を訪れたことだった。「僕は〈エー.フォー・ラブス〉で、〈カッパ〉のデザインの一部をやらせていただいているんですけど、イタリア本社へ行ったときに、アーカイブを見せてもらったんです。その時に思ったのが、〈カッパ〉はどのスポーツブランドよりもやっていることが早いということでした。実はスポーツが始まりではなく、靴下から始まっていて、後にポロシャツを作って、洋服からスポーツをスポンサードしていったことが分かり、その歴史が面白いなと思ったんです。だけどその歴史があまり世に知られていないので、何かしらの方法で教えることができたらいいなと思って、本を作ることを提案しました」。倉石さんが〈カッパ〉の存在を知ったのは、1985年に開催された「TOYOTA CAP」で、ユヴェントスの選手が着ていたユニフォームだった。「オフサイドでゴールが取り消しになってしまい、プラティニ選手が芝生の上に寝転んだシーンが忘れられない」と、脳裏に焼き付いているという。

セシリア・ボッタ(「ベーシック・ギャラリー」ディレクター)

1967年、イタリア・トリノにて靴下・下着ブランドとしてスタート。

さて、一体どんな歴史が〈カッパ〉にはあるのだろうか。今回のエキシビションをキュレーションした「ベーシック・ギャラリー」ディレクターのセシリア・ボッタさんに話を聞いてみた。「ブランドの起源を辿ると、はじまりは1916年になるんです。第一次世界対戦中にはじまって、初めはストッキングを作り始めたんです。第二次世界大戦中には、靴下や下着を軍へ支給していたこともあったんですよ」。そもそもの始まりは靴下・下着メーカーとしてスタート。1956年に〈ケー・コントロール(K.KONTROL)〉というブランド名となり、後の〈カッパ〉へと繋がっていくことになる。「ある日、商品にミスがありすべての靴下を回収をしたことがあったんです。そこでブランド名を新しく変えて、再スタートさせたんです。”KONTROL”ってドイツ語の発音なんですが、ドイツは高品質な商品を生み出している国だったので、それに影響を受けて付けたそうです」。〈カッパ〉が正式にスタートしたのは、1967年(確認)。そしてあの有名なロゴが誕生したのは翌年1968年のこと。別ブランドの水着のカタログの撮影をしていたときに、男女が背中合わせで座っているシルエットの写真が、デザインの原型になっているんです」。

刺激的な広告でセンセーショナルを起こした70年代。

〈ケー・コントロール〉発足以降にリリースされた商品のパッケージは、デザイン性に長けたものが多く、また1970年に制作された少しエロティックに感じる刺激的な広告ポスターは、当時イタリアでセンセーショナルを巻き起こしたそうだ。「カメラマンは超有名なオリビエーロ・トスカーニ。映画『ラスト・イン・タンゴ・パリ』に影響を受けて製作されたんです。ちなみに1977年に製作された、カッパスートラ(Kappasutora)と名付けられポスターは、結果世に出ることはなかったのですが、当時〈カッパ〉の社長だったモーリッツィオ・ヴィターレ氏は、刺激的なブランドの方向を伝えるためにこのようなタイプのポスターを広告に起用することを望んでいたんです」。そして60年~70年代、アメリカではウッド・ストックなどがありラブ&ピースな空気が若者たちの間で流れていた時代。しかし、イタリアにはそのムードはなく、ファッションもコンサバだったそうだ。そんなときにイタリアにやってきたのがジョン・レノン。1968年にイタリアのTV番組に出演したジョン・レノンは、グリーンのミリタリーシャツを着て戦争について話をしたそうだ…。「それまでアンフォーマルなスタイルが存在しなかったイタリアに、ジョン・レノンは火を付けたのよ。そこで〈カッパ〉もカジュアルなポロシャツやパンツを作り始め、それがスポーツへと繋がっていったんです」。

フットボールだけでなく、陸上競技もスポンサード。

「1978年に〈カッパ〉は、ユヴェントスをスポンサードし始めたのですが、世界で初めてフットボールチームにスポンサードをしたブランドが〈カッパ〉でした。これを機に、1981年に〈カッパ・スポーツ(Kappa Sports)〉がスタートしたんです」。この時期から、 現在CEOであるマルコ・ポリオーネがブランドの舵を取り、ブランドはフットボールをはじめ、陸上、ゴルフ、山岳などのスポーツウエアに力を注ぐようになる。陸上に関しては、アメリカ陸上競技のナショナルチームをサポートし、1984年のロサンゼルスオリンピック、1988年のソウルオリンピックに関与。エドウィン・モーゼス、グレッグ・フォスター、カール・ルイスなどの陸上の歴史に名を刻んだスーパースター選手たちが、〈カッパ・スポーツ〉のウエアを着て競技に参加した。ブランドとして機能面に関して本格的に取り組み、1984年のロサンゼルスオリンピックでは、NASA所属の科学者であるローレンス・クズネッツをアドバイザーに招聘。外の温度調節に対応する素材を開発した。シルバーの生地に赤い文字の「USA」が入った機能性とデザイン性に長けたユニフォームが話題を呼んだ。

MADE IN ITALYにプライドを持ち、さらなる機能性を求めて。

〈カッパ・スポーツ〉を語る上で欠かせないのが、やはりフットボールだ。ユヴェントス、FCバルセロナ、アヤックス、そしてイタリア・ナショナルチームをスポンサードしてきた。エキシビション開催中は、ジネディーヌ・ジダン、アレッサンドロ・デル・ピエロ、エリアス・バルボサ・デ・ソウザ、フランチェスコ・トッティなどの選手のユニフォームを展示。開催期間中、ユニフォームを観にやってくる人たちも多くいた。「1985年~1987年あたりのユニフォームは、コットン生地だったんです。ドゥビエット(Dubiet)と呼ばれる特別な編み機で編まれていました。それと〈カッパ〉が生み出した画期的なユニフォームがコンバット(KOMBAT™)です。身体にほどよくフィットし、異常なまでに伸びる素材を開発して、それをイタリアのナショナルチームが着ています。100%イタリア製であることなどは、マルコ・ポリオーネならではのこだわりでもあります」。ズラッと並んだ名選手たちのユニフォームは、実際に目にすると、いかに精密に作られているのかがわかる。そしてともかく、美しいプロダクトであったことをお伝えしたい。

OKADADA

スポーツからファッションまで。幅広いアプローチで世界を魅了。

約100年前に下着・靴下から始まり、ポロシャツ、ユニセックスなカジュアルウエア、そこからスポーツウエアへ。そして現在は、スポーツだけでなく、ハイブランドとのコラボレーションを行うなどして、ファッション的な面でも高い人気を呼んでいる〈カッパ〉。展示開催中は、ファッションに興味のある若者から、フットボール好きまで幅広い人々が来場。オープニングイベントでは、現在最も注目を集めるDJのひとり、okadadaがプレイをするなどして会場を盛り上げていた。過去の素敵なデザインのポスターから、高機能なスポーツウエアまで、そして最新ファションプロダクトを観て、〈カッパ〉がいかに魅力的なブランドなのか知ることができたのではないでしょうか。

Profile

倉石一樹

1975年生まれ。東京出身。スノーボードや自転車でのコロラド留学を経た後、グラフィックアートを学ぶためにニューヨークへ。帰国後は、ファッションを中心にブランドディレクターとして活躍。これまでに〈アディダス・オリジナルス〉や〈カシュカ〉のクリエイティブディレクターを担当。現在は、自身のブランド〈A.FOUR LABS〉を展開するほか、2017年秋冬より〈Kappa〉×〈A.FOUR LABS〉のデザインを企画。

セシリア・ボッタ

1984年生まれ。イタリア・トリノ出身。ベーシックギャラリーのディレクターとして活躍し、数々の展示会をキュレーション。なかでも2017年にサンパウロで開催された「Steve Jobs, OVisionario」の展示会が話題を呼ぶ。シリコンバレーのデジタル革命を題材にしたドキュメンタリー・シリーズ「8bit Generation」の制作にも関わっている他、『Bip Bop Revolution, The hippies who invented the future』の著者としても活躍。

HOUYNHNM SKATEBOARD CLUB VOL.8 「スケートボードと写真」

INFORMATION

『Kappa AUTHENTIC SPORTSWEAR BRAND Since 1967 -Kappa完全マニュアル-』
¥2,000+TAX
【目次】
第1章:Kappa本社への取材&インタビュー
第2章:フットボールとKAPPAの関係
第3章:オリンピックなど、輝かしい栄光について
第4章:ファッション。人気デザイナーなどへのインタビューや新作紹介など
www.amazon.co.jp/dp/488144249X
www.kappa.ne.jp

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