PROFILE
フランス生まれ、日本在住。自身のブランド〈シアージ(Sillage)〉をディレクションし、そのオンラインショップやセレクトショップ#whatwewear storeを主宰する傍ら、フォトグラファーとしても活躍するマルチプレーヤー。インスタグラムアカウント@yuthanan__で更新されるコンテンツに多くのファンを持つ。愛称は“ニコ”もしくは“ユタナン”。
スニーカーを見れば、それだけでその人の色んなことがわかるんだ。

ー まず、キーワードのひとつにスニーカーを選んだのはなぜですか?
ユタナン:スニーカーは、スタイリングのキーアイテムだと思うんだ。ぼくにとって一番大事なエレメントと言ってもいいかもしれない。人に会ったら、ぼくはまずその人の足元を見る。
ー どきっ!
ユタナン:(笑)。いやいや、それで批評するわけじゃなくて、スニーカーのデザイン、コンディション、服との合わせ方、それだけでその人の色んなことがわかるでしょ? だからぼくのスタイルとかファッションについて話すなら、スニーカーは外せないキーワードだって思ったんだ。ぼくはまず、自分の履いてるスニーカーに満足していたいって思う。
ー なるほど。フランスにいた時はスニーカーショップで働いていたこともあったと伺いましたが、いま持っているのは何足くらいですか?
ユタナン:前は200足くらいあったと思うけど、いま日本の自宅にあるのは60足くらいかな? スニーカーショップで働いてた頃は、割引もあったし年間で50足買ったこともあったよ。でもぼくは、所謂スニーカーヘッズってわけじゃない。普段履くのも買うのも、個人的にデザインに惹かれるかどうかが判断基準で、話題だからとか、転売で高く売れそうなレアなコラボだからとかっていう理由ではないよ。全く履かずに飾っておくだけっていうこともしないかな。

ー ユタナンのインスタグラムに出てくる限定モデルなどは、どうやって手に入れているんですか?
ユタナン:ぼくの場合そういう話どれも似ているんだけど、たまたまファッションニュースサイトとかで見た限定モデルを、いいなって思ってインスタグラムでストーリー投稿したりすると、そのブランドや関連ショップで働いている友達が連絡してくれることが結構あるんだ。
ー 逆に言うと、本当に好きなものや自分が欲しいものじゃないとソーシャルメディアには投稿しないってことだから、説得力はありますよね。世代的なものかもしれないけど、ユタナンはソーシャルメディアの活用がすごく上手ですが、心がけていることはありますか?
ユタナン:ぼくは2012年くらいからインスタグラムを使っていたし、ソーシャルメディアへの順応は早い方だったと思う。もともと名の知れたブランドと違って、ぼくみたいな無名な人間がやっているブランドは、取り上げてくれるメディアもあまりなかったから、必然的にソーシャルメディアで認知度を上げるしかなかった。いまやっていることができているのは、ソーシャルメディアのおかげだよ。少し前までは、日本のビジネスの必須アイテムだと思って名刺を持ち歩いてたけど、もう名刺を持つこともやめたんだ。それよりも、インスタグラムでフォローしてくれている人がハッピーになるコンテンツを発信していくべきだと思うし、いいと思ったアイディアを形にし続けることが大事だと思う。

ー 今回紹介してくれるスニーカーも、インスタグラムを通して手に入れたものがあるんですか?
ユタナン:もちろん! あ! インスタグラムがきっかけと言えば、大事なスニーカーを持ってくるの忘れた!
ー え!(笑)
ユタナン:〈ナイキ〉が1970年代に出した「STING」 っていうモデルがあるんだ。グリーンとオレンジの明るいカラーウェイなんだけど、そのスニーカーが好きで、自宅のブルーの椅子の上に置いた写真を、去年インスタグラムにアップしたことがあるんだ。そしたら今年の9月にポートランドから、「君の写真にインスパイアされたんだよ」っていうメッセージと一緒に、グリーン、オレンジ、そして僕の家の椅子みたいなブルー「D/MS/X Sting」っていう新しいモデルが送られてきたんだ! あ〜、持ってくればよかった。
ー すごいですね! 〈ナイキ〉の友達がユタナンの写真を見てデザインしたってことですよね?
ユタナン:そう!めちゃくちゃ嬉しかった。
ー 残念ながらそのスニーカーを履いたスタイリングはまた今度ということになりそうですが(笑)、気を取り直して今日持ってきた5足について教えて下さい。
ユタナン:うん、そうだね。[めちゃくちゃ残念そう]