環八沿いにオープンした 新しいカタチのアウトドア・ショップ、 NORDISK CAMP SUPPLY STORE by ROOTって?

キャンプに行きたくなるお店。

環八沿いにオープンした 新しいカタチのアウトドア・ショップ、 NORDISK CAMP SUPPLY STORE by ROOTって?

東京都世田谷区砧。閑静な住宅が建ち並ぶこの街に突如として表れた「ノルディスク キャンプ サプライ バイ ルート(NORDISK CAMP SUPPLY STORE by ROOT)」は、世界的なアウトドア・ブランド〈ノルディスク(NORDISK)〉のアイテムを中心に、さまざまなギアやウェアを取り揃えるショップだ。日本におけるリテイル・パートナーとして正式に契約し、プロデュースするのは、〈エフシーイー(F/CE.®)〉や〈ソー・ファー(so far)〉を手掛ける山根敏史氏。今回は、〈ノルディスク〉の拠点であるデンマークからやってきたブランド・オーナーのエリック氏に登場いただき、オープンに込めた想いを語っていただいた。

  • Photo_Kazunobu Yamada
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Komuta
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ー〈ノルディスク〉が設立されたのはいつなんですか?

エリック:我々が生まれたのは1901年です。北欧のデンマークで誕生しました。もともとは寝袋のブランドとしてスタートし、次第にアウトドア・ギア全般を取り扱うようになりました。現在はヨーロッパを中心にディーラーが増え、5年前から日本でも展開をスタートしています。日本はアジアで最も重要な国だと感じていますね。

ーそれはどうして?

エリック:理由は2つあります。ひとつは、そう長くない期間ですが、私は日本に住んでいたことがあったから。だからこの国の文化や風土、国民性に対して少なからず知識があるんです。日本はヨーロッパのデザインに対する理解があるし、品質に対して厳しい目を持っていると感じていて、〈ノルディスク〉はそこに食い込む自信がありました。もうひとつは、日本で成功をすればアジア全体から注目され、韓国、中国、台湾といった国のマーケットにも進出することができるからです。

ー〈ノルディスク〉の魅力はどこにあるとお考えですか?

エリック:デザインがシンプルで優れていること。それに伴って機能にも無駄がなく、高品質であること。この2つが〈ノルディスク〉の魅力ですね。我々が製品を開発するとき、ひとつのことを突き詰めるようにしているんです。例えばこの2人用テントは“軽量”ということを追求し開発されました。持ってみてもらえますか?

ーテントとは思えないほど軽いし、それにとても小さいですね。

エリック:総重量は565グラムなんです。これだけの軽量にするために、我々はまず素材探しからはじめます。テントに使われる素材だけでなく、骨組みやペグに至るすべてのパーツに対して。そして軽量と決めたからには、ロゴや装飾に関しても妥協はしません。このバッグのロゴを見てみてください。プリントになっているでしょう? これを刺繍で表現すると、おそらく5グラムほどの重量がプラスされてしまうでしょう。

ーすごく些細な重さですが、そこが重要なんですか?

エリック:もちろん。この5グラムの差が、長い目で見たときに大きな影響を体に与えるんですよ。探検家やアスリートたちは、つねに重たい荷物を持って山や森といったアウトフィールドを歩きます。朝から晩までずっとです。そうすると、本当に小さな重さでも大きな足枷になってしまう。疲れた足に5グラムという重量が大きく響いてくるんです。その負担を可能な限り小さいものへとするために、我々はロゴプリントにもこだわって製品を開発しているんです。

山根:あとぼくからもいいですか? ぼく自身、このブランドのユーザーなんですけど、まずエリックの話にあるように〈ノルディスク〉のテントはデザインがシンプルですごくかっこいい。あと、組み立てがすごいラクなんですよ。普通のテントって骨組みがいっぱいあって複雑でしょう? どこになにを入れればいいのかわからないんです。でも、〈ノルディスク〉は構造がすごくシンプルだから組み立てやすい。それに居住性がものすごく高くて、居心地もいいんです。お店のなかに大きなテントを立てているんですけど、そのアイテムにはオプションがあって、テントのなかにコロニーのような孤立した部屋をつくることができる。そういう風に自分のスタイルに合わせて使い方を工夫できるブランドって、そう多くないんですよ。

ーそもそも、おふたりが世界初の〈ノルディスク〉のショップ、「ノルディスク キャンプサプライ ストア バイ ルート」を、ここ日本でオープンさせることになった経緯を教えてください。

エリック:なぜヨーロッパではなかったのかといえば、北欧にはアウトドアショップが星の数ほど存在するからです。ヨーロッパではそれだけアウトドアというものが生活の一部になっている。一年中キャンプをしているし、大人も子供も一緒になって楽しんでいます。だから、わざわざ我々が新しくアウトドア・ショップをつくる必要性がないんです。

ーなるほど。

エリック:でも、日本ではどうでしょう? アウトドアのお店はまだ少ないですし、文化としての根付き方もヨーロッパに比べるとまだまだです。とはいえ、潜在的なアウトドア人口は非常に多いように感じた。つまり、アウトドアに対して興味を持ち始めてはいるけど、どうやってはじめたらいいかわからない、そんな人が多くいるように思うんです。私はそういった状況に可能性を感じる。だから、そういった人々の背中を後押しするようなお店を日本で作りたかったんです。でも、ただ単にアウトドアを押し付けるのではなく、“ファッション”と掛け合わせた提案を行いたかった。日本人はスタイルを求めるからです。

ーだから山根さんをパートナーに迎えたわけですね。

エリック:そうです。彼とはふとしたきっかけで出会ったんですが、すぐに意気投合しました。すごくクリエイティブでアイデアが豊富だし、ファッションのことをよく知っている。それにファミリーもいて、コンフォートなライフスタイルを送っている。このお店に来て欲しいのは、まさに彼のような人物なんです。

ーパートナーとして理想の人物であるわけですね。

エリック:まさに。彼と出会い、色んな話をした後に、このお店をつくろうという話になりました。山根さんは去年、ヨーロッパに訪れてきてくれて一緒にキャンプをしたんですよ。そこでこのお店のコンセプトや具体的なアイデアを交換しながら、話を煮詰めていきました。

山根:そのキャンプのときにプレゼンテーションをしたんです。ギアの品揃えはこうして、ウェアはこういうブランドを置いて、というような具体的なアイデアを。エリックと話をしながら思い浮かんだのは、お客さんがこのお店に入った瞬間に「キャンプへ行きたい!」と思うようなショップにしようということでした。

ーアイテムのラインナップはすべて山根さんがセレクトしているんですか?

山根:そうですね。内装からセレクトに至るまで、すべてを任せてもらっています。内装はメトロノームの山嵜くんにお願いして、素晴らしい設計にしてもらいました。置いてあるギアに関しては、デザインがかっこよくて、なおかつ使いやすいものを厳選しました。というのも、いま日本のアウトドアショップへ行くとすごく商品の品揃えがいいんですよね。ガス缶ひとつを取っても豊富なラインナップがある。でも、それにはデメリットもあると思う。なぜなら、初心者のキャンパーからすれば選択肢が多過ぎてどれを選んだらいいのかわからないという状況でもあると思うからです。ぼくたちのお店ではそういう状況にならないようにしっかりと理由のある買い付けを行っています。キャンプへ行くならコレとコレがあれば大丈夫、といったように、初心者でもラクに買い物ができるお店づくりを意識しているんです。

ーウェア類に関しても、〈ホワイトマウンテニアリング〉や〈ナナミカ〉、〈マウンテンリサーチ〉など、キャンプシーンとなじみ深いブランドが揃っていますね。

山根:そうですね、アウトドアとの関連性のあるブランドをセレクトしました。とはいえ、すべてのブランドに共通するのは、都会でもスマートに着こなせるブランドだということ。ぼく自身、キャンプをするときは、ガチガチのギアホリックなウェアで全身を固めるようなことはしません。日常でも着れるようなデザイン性のあるウェアを着ているんです。キャンプは過酷なものじゃなくて、もっとハッピーで楽しいものだから。そのマインドをお客さんと共有できるように意識していますね。

ーお店の場所を世田谷の砧にしたのは、どうしてなんですか?

山根:東名高速と中央自動車道が近くを通っているからです。朝ここへ来て道具を揃えてからキャンプへ出掛けることができるでしょう? この近くにはぼくらとおなじ年代のファミリーがたくさん住んでいるし、そういったお客さんに来て欲しいという願いもあります。砧公園も近くにあるし、ピクニックのついでに寄ってもらうのもいい。土曜日は朝8時からオープンしているので、店内にあるカフェでゆっくりとコーヒーを飲んでから一日をはじめることもできます。

ーエリックさんはこのお店の商品のラインナップや内装をご覧になられて、どんなことを感じましたか?

エリック:すごくバランスがいいですよね。アウトドアにより過ぎず、かといってファッション的でもない。最初に思い描いた理想がここにあります。オープン前日に行われたレセプションパーティーでは、来場者たちの楽しそうな顔をたくさん見ることができました。その光景は、まるで我々の未来を映し出しているようでとても幸せな気持ちになりました。あと子供たちのはしゃぐ姿にも勇気をもらいました。大人も子供も関係なく、楽しい時間を過ごしてもらうためのアイデアがこのお店には詰まっているので、是非多くの人に足を運んで欲しいですね。

ーこれから日本のアウトドアシーンを盛り上げるために、なにかアドバイスはありますか?

エリック:とにかく外へ出て、自然を享受することです。日本のなかでもとくに東京は空間が区切られていて、みんな狭い部屋のなかに閉じこもりがちです。自分の世界に留まって、隣人の顔ですら知らないという人も多いように思います。でも、キャンプでは広い自然のなかで、隣のテントで過ごす人たちと交流を持ったりすることができます。きっとコミュニケーションが豊かになるはずですよ。

あとは子供たちがいれば、彼らにとってもその時間は有意義になります。北欧ではアウトドアは生活の一部になっていると話しましたが、それは子供にとってもおなじで、小さな子供がキャンプしたり、河でカヌーを楽しんだりするのは当たり前の光景なんです。そして夜になれば家族みんなでテントに入り、寝袋にくるまって寝る。キャンプは、リラックスしたかけがえのない時間をつくることができます。

ーこのお店は、そういった文化を伝えるのにすごく重要なポジションにありますね。

山根:ぼくたちの使命だと思っています。もっと広くアウトドア・カルチャーの魅力を伝えていかなければ、という話を実際にエリックともしますし。本当にこれからだと思ってます。

エリック:我々がそれをサポートして、日本の人たちに〈ノルディスク〉の製品を使ってもらって、そのフィードバックをどんどん活かしていきたいですね。一方的にではなく相互でシーンを築いていけたらいいと思ってます。

NORDISK CAMP SUPPLY STORE by ROOT

住所:東京都世田谷区砧2-21-17
電話:03-5429-6909
営業:11:00~19:00(土曜 8:00~) / 月曜定休(月曜が祝日の場合は火曜が休み)
http://root-store.com/
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