PROFILE
北野武監督の映画『キッズ・リターン』(1996年)で俳優デビューし、「日本アカデミー賞」の新人俳優賞を受賞。映画を中心に、テレビドラマやCMにも出演。近年は写真家としても活動し、ファッション誌などで撮影を行う。2021年に公開された短編映画『さくら、』では自ら監督とスチール撮影を担当したことでも話題に。今年の9月21日から10月2日まで「マーク ジェイコブス 表参道」と「BOOKMARC」で写真展を開催予定。そして今秋、出演映画『千夜、一夜』の公開を控える。
1対1の心の共有が大切。それがレンズやフィルムに写る。
ー 安藤さんはどんな服が好きですか?
安藤:写真のなかでも映画のなかでも、デザインやシルエットが素敵な衣装を着て撮影に臨みたいという気持ちはあるんですけど、普段はラフな格好が多いですね。昔はハイブランドの服を着て撮影に行ったこともありました。いまはきれいに着飾るよりも、俳優としていい演技をするとか、写真を撮るときにフレームが美しいことの方が大事だと思っています。
ー お洒落することはあまりないですか?
安藤:あまりないですね。決して服が嫌いというわけではないんだけど、それよりも、自分の頭のなかにあることを美しく具現化したいという気持ちの方が強いんです。
ー 今回の「アダム エ ロペ」の服はどうでしたか?
安藤:すごく派手というわけではないのに、写真映えするような服がたくさんありますね。シルエットもすごくきれいでしたし。

ー 映画やドラマではカメラの前で役を演じていると思うんですが、今回のようなスチールの撮影では安藤政信そのものを撮られるわけですよね。そのとき、頭のなかでどんなことを考えているんですか?
安藤:自分も撮影するのが好きだから、どんな機材を使っているんだろうとか、どこのライトが効いて、どんな風に自然光を活かしてとか、そういう撮影のセッティングを見ています。やっぱり撮ることに興味があるから。
ー 撮影がはじまって「なるべくカメラマンと二人だけの環境にしてほしい」と言っていたのが印象的でした。
安藤:いろんな目線があると、どこに向かっていいか分からなくなるんです。現場にたくさんの目線があると、感情が散漫になってしまうというか。自分が女優さんを撮影するときも、1対1の心の共有を大切にしていて。それがレンズやフィルムに写るから。レンズが自分を見て、そのレンズに自分の想いを返すっていうのが大事だと思うんです。
ー 1対1になることで、素の部分が写るというか。
安藤:そうですね。そこをちゃんと見たいし、そこを引き出したいって俺は思うから。
ー 今回の撮影も安藤さんの素の部分が露わになっているということですよね。
安藤:そこが大事ですからね。
