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10周年に、セブン バイ セブンがランウェイと旗艦店に込めた想い。
Decade of Dedicated

10周年に、セブン バイ セブンがランウェイと旗艦店に込めた想い。

初となるショーの開催に、フラッグシップストアのオープン。〈セブン バイ セブン(SEVEN BY SEVEN)〉の周りが、何だかにわかに騒がしい。コンセプトショップとして始まって10年という節目の年に、着実に存在感を強めているこのブランドの現在地とは? デザイナーの川上淳也さんに尋ねます。

みんな、効率性を求めすぎてるのかも。

―今回、ショーピースも多かったですよね。ウエスタンのショートブーツとか。

川上:一番最初に決めたのが靴かもしれないです。それが見えたから、楽だったんですよ。

―あれは既成のブーツをカスタムしているんですか?

川上:そうです。実は、〈セブン バイ セブン〉を始めて2回目のルックの撮影の時にはもうこういうことをやってたんですけど、それがいまに繋がったんですよね。今回はヴィンテージのウエスタンブーツを裁断し、そこにレザーの手編みをしてるんですけど、これは「ルースターキング(アンドカンパニー)」のマツ(松崎幸臣)さんのおかげで。他ではなかなかできないと思います。

―分厚いレザーブーツの手編みですもんね。大変さは想像に難くないですね。

川上:多分、他の生産者だったら相談しても「できません」で終わりだと思います。

―このブーツに限らず、アイデアはあってもそういう背景で実現できないことはこれまでにも結構あったんですか?

川上:たくさんありましたね。でも、それってものづくりの間に入る人たちが、そのレベルで止めてるだけの話なんです。偉そうに聞こえるかもしれないけど、量産性のあるものづくりばかりが増えてきて、おかしくなっちゃってる部分はあるのかなと思います。

―過去の事例の範疇で留めれば楽だし安全でしょうけど、新しいものは産まれにくそうですね。

川上:みんな、効率性を求めすぎてるのかもしれません。最初はできなくてもやってみてる内に、その人にとっても力になるじゃないですか。ウチに関わってくれてる人たちは大体楽しむというか、「やってやろう」とか「どうしたらできるかな?」っていうことを考えてくれてる気がします。

―素敵なチームワークですね。ショーピースというところでいうと、あのペーパーブルゾンのようなアウターもそうですよね。古着でもたまに見かけるスタイルの。

川上: そうですね。ふと「あ、これスカジャンに見えるな」と思ったんですけど、スカジャンだったら刺繍じゃないですか。でも、これはUSメールのペーパーバッグだから折り紙にしようと、そういう単純なことなんですけど。前日、ギリギリまで縫ってました。

―ロゴの入ったトートバッグも、ショーだとパッチワークだということしかわからなかったんですが、手にとって素材を知るとヤバいですね(笑)。

川上: あれも勝手なメッセージというか、気付く人だけ気付いたらおもしろいかなって。ただの自己満かもしれないけど。ああいうのって最後、ギリギリになってひらめくんですよ。あ、こういうのやったらおもしろいかな? って。周りからしたら「うわ、また始まったよ…」みたいな感じだと思いますけど(笑)。最初にいいかもと思ってても、そういうアイデアは大体ダメになっていく場合が多いですね。

レザーを編み込んだメッシュ素材や’40sのアーカイブをパーツまで再現したカービングのバッグなど、手作業によるプロダクトもショーでは多数登場。先述のUSメールペーパーバッグで仕立てたブルゾンをはじめ、ヴィンテージのプリントTを裏返して刺繍を施したトップスなど、趣向を凝らしたスタイルを間近で眺めるランウェイとなった。

―(笑)。あの距離で見れるランウェイだったから、バッグの材料は質感でわかった人もいるかもしれませんね。質感で言えば、フットボールTやコートのメッシュにも驚きました。

川上:あれがレザーの編みだと気付かない人も多くて。「パンチングレザー?」って言われたり。全部手編みですからね。ちょっとあり得ないと思います。

―本当に人の協力があって成り立ってるブランドなんですね。パッチワークというのも、ちょっと深読みしちゃいます。人の縁を紡ぐというか。

川上:それ、いい感じに俺が言ったことにしといてください(笑)。

INFORMATION

セブン バイ セブン

住所:東京都渋谷区元代々木町 22-8 1階
営業時間:12:00〜19:00
定休日:水曜
ホームページ

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