NO.3
古江優生(ビデオグラファー、フォトグラファー)

軽やかにしなやかに。
信念を胸に作品と向き合う。

ー今回は愛車のプジョー106と一緒にご登場いただきましたが、このクルマとの出会いは?
古江: 2カ月前に購入したばかりの相棒です。実家の父がイタフラ車に乗っていて子どもの頃から慣れ親しんでいたので、迷うことなくプジョーを選びました。あと、これは嘘みたいな話なのですが、子どもの頃から親に言われていたラッキーカラーが黄色だったので、黄色にしました(笑)。職業柄たくさんの荷物を積むので、ハッチバック型の仕様なのもマスト条件でしたね。
ーイタフラ車はメンテナンスが大変なイメージがありますが…。
古江: それがいままで大きなトラブルはないんです。運がいいですよね。むしろ乗れば乗るほど調子が良くなっていく(笑)


ーファッションにも並々ならぬこだわりを感じますが、アパレルの仕事に興味を持ったことは?
古江: 以前は半導体の商社の営業マンをやっていて、全然カメラマンになろうとは思ってもいなくて。でも昔から服が好きで、同じような仲間が集まるコミュニティがあったんですけど、服好きが高じて商品の生産背景を知りたいな、工場を見に行きたいな、みたいな時期があって。友人と一緒にブランドのデザイナーに話を聞いたり、服づくりの現場を見たりしていくなかで、もっといろいろなひとを巻き込んでおもしろいことをしたいと思うようになったんです。
最初に企画したのはコロナ禍前で、山形の〈バトナー〉をつくっている「奥山メリヤス」の工場に行って紡績、染め、編み立ての工程を見学したあとに仙台の洋服店「ナリワイ」で完成品を愛でるというツアーでした。ピーティックスでチケットを販売したら20名くらい集まりましたね。
ーものすごい行動力と探究心ですね。そこからどのようにカメラマンの道へ?
古江: いま話したツアーの参加者を募集するなかで、文章と写真だけではなく映像でもツアーの魅力を伝えようと思い、ビデオを撮りはじめました。最初は自分たちの服装とかを撮ったのが最初ですね。父がカメラ好きで、家にはずっとカメラがあって、抵抗なく入れたのもあります。はじめは触り方や設定すらわからないまま撮りはじめたんですけど(笑)。そこから仕事をしていくなかで師匠に出会って。映像制作会社の方だったんですが、映像のイロハを教えてもらいました。

ー完全に独学とは…。普段はどんなファッションをすることが多いですか?
古江: ビデオグラファーという職業柄、仕事中はオールブラックが基本なので、その反動で休みの日は明るい色を着ることが多いですね。シューズも職業柄気に入ったものを履き潰してしまうことが多いです。普段はイタリアのテクニカルシューズブランド〈ロア〉や〈サロモン〉を愛用しています。あと、雪駄をルーツに持つ京都の〈オジョジョ ナイトー〉も好きですね。
ー玄人目線のセレクトですね。
古江: 個人的に大事にしているのは、なるべくみんなとかぶらないものを選ぶこと。流行れば流行るほど、それを履きたくなくなっちゃう少しひねくれたところがあるので。
ーまさに〈ベネクシー〉は、コンフォートサンダルの “新定番” 的な立ち位置なので古江さんにぴったりです。
古江: ジャパンメイドなのも、ドメスティックブランド贔屓のぼくとしては魅力的です。クロッグに近いシューズタイプの「300(サンマルマル)」は軽いからスニーカー感覚で履けて楽だし、履き込むほどに足の形に馴染むから疲れない。いいこと尽くめです。


ー今日の服はどこのものですか?
古江: 古着のスエットに、〈フェンダール〉のパンツ、〈ウィー・アー・オール・アニマルズ〉のキャップもポイントです。昔はオーバーサイズ一辺倒でしたが、最近は体にあったものを選ぶことが多くなりました。スタイルも良く見えますし。あと、ヘアスタイルとのバランスも大切にしています。ずっと七三分けハードパートスタイルだったのを、3、4年かけてロングに伸ばしたんです。これでも最近30センチくらい切ったばかりですが(笑)
最近はちょっとチープさがあるかわいらしさが好きですね。珍しい型かどうかよりも色や形、着心地などを重視して選びます。ただ、古着ばかりというわけではなくて、〈コモリ〉や〈ヤエカ〉などを着ることもあります。日本のブランドのきめ細やかなモノづくりに惹かれるんです。ぼくもいろいろなブランドと仕事をさせていただく機会がありますが、そのプロダクトが完成するまでの過程を想像して丁寧に仕事をしていきたいと思っています。