「アートをつくることで誰かを傷つけたりすることはない」。
ーそれはスケートボーディングを続けているのも同じ理由?
ゴンズ: いいや、スケートボードは違うね。スケートをするのは義務って感じになっているんだ。やらないといけないこと。もしスケートボードをやらなければトラブルになってしまうのではないかって思うくらいだよ(笑)。どうしてこう感じるようになったのか理由はわからないんだけどね。
ー“Yes TROUBLE”じゃん! でもスケートボードをすることは今でも好きでしょ?
ゴンズ: 今ではそれもわからなくなってきているな。とにかくスケートボードをやらないと!という気持ちが先に出てきてしまうんだ。今日は滑りたくないなって思ったとしても、その気持ちを抑えてスケートにでかけるんだ。

東京で完成させた、鏡にゴンズの詩のペイントを施した作品を前に、〈シュプリーム〉のフーディに〈アディダス スケートボーディング〉のスニーカーという、ゴンズらしい装いで。
ーまじかっ!「マーク・ゴンザレス」からそんな言葉を聞くなんて!
ゴンズ: そうだよね、良くないね(笑)。そう言いながらもスケートをしているうちに楽しくなって結局はとても幸せな気分になるんだけどね。スケートしていて良かったなって思う。
ーそうだよね、スケートしていて苦痛なんて思うことはほとんどないはずだよね。それが聞けて良かったよ。今回の展示のテーマは『NO TROUBLE』とはどういう意味があるの?
ゴンズ: さっきも言ったけど、この会場や展示にはなにもトラブルがないってことなんだ。アートをつくることで誰かを傷つけたりすることはないっていうところと繋がっているんだ。”NO TROUBLE is better than TROUBLE” 、そうでしょ?
ーなるほどね、それは誰が聞いても納得だね。だいぶ前だけどサンフランシスコのテンダーロインのエリアでスケートしようとしていて、治安の悪いエリアだからそこでスケートすると他の人に迷惑になるから違うところへ行こうってマークが言ったのを覚えているよ。
ゴンズ: “NO TROUBLE is always good”。 誰かの迷惑になっては楽しめないから。あの時のスケートは楽しかったね。

ー今回の作品にはトイレのシーンが多いけど、それはどうして?
ゴンズ: トイレをしている作品には衝撃効果があると思うんだ。みんながその作品を見たときにちょっとしたショックを感じるように。いま卓が質問したように、どうして?って思うでしょ。それと同時にこの作品は自分らしくないところもあるなとも感じているんだ。その衝撃効果というのも他の人に迷惑をかけていないことだしね。
今回のショーでは3つのテーマに分かれているよ。ペイントマーカーで描いたトイレやスケートボードに乗っている作品。日本に到着してから水彩絵の具で描いた作品、それとキャンバスに描かれている作品。キャンバスの作品は〈アディダス(adidas)〉と打ち合わせをしていたときに考えたシリーズで、強くてはっきりとした色を組み合わせて描いた作品なんだ。あっ、あともう一つは鏡に詩を書いた作品の”poem on mirrors”。
これは90年代につくったことのある作品を再度つくってみた作品だよ。当時はニューヨークのミートパッキングディストリクトにあったスポーツジムが閉店になってそのジムの壁にあったたくさんの鏡が捨てられていたんだ。その鏡をもらってきて書いた作品だったんだ。その時はスプレーペイントで描いたんだけどね。そういえばタクは蜘蛛は好き?
ー蜘蛛? 考えたこともないなー。特に好きではないけど、嫌いって訳でもないよ。
ゴンズ: 蜘蛛といってもタランチュラだよ。
ーえっ! タランチュラ!? それは好きではないかも、というより怖いよね。わっ、もうインタビューの時間も終わりだって。最後の質問! もう明日帰国するんでしょう?それまでに日本で楽しみにしていることは?
ゴンズ: ホテルで和朝食を食べることだね。特に鮭と納豆が楽しみなんだ。
ーえっ!? 納豆好きなの? 外国人にとって納豆はかなりハードコアな食べ物だと思うんだけど。
ゴンズ: あの粘りが好きなんだ! でも出発が早いんだけれど朝ご飯はしっかり食べて帰りたいと思っているよ。
ーさっき言いかけたタランチュラの話…。また次に会ったときにね!

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